十年前の話。
夏の終わりに台風が来た。
ここに、
オカダという、
わがままな男が、
泥酔して、
窓を背に、
うつ伏せに寝ていた。
凄まじい風雨の中、
何かが、
窓ガラス突き破って、
オカダのケツの穴に、
勢いよく挟まった!
それは、
新品の夏用スリッパやった。
オカダは目を覚まし、
悲鳴を上げた。
両親がオカダの悲鳴に気付き、
部屋に入ってきた。
そして、
ケツの穴に食い込んだスリッパを取ろうとしたが、
取れない😱
オカダは「痛い!痛い!」と悶絶する。
結局、
そのまま、
救急病棟へと運ばれ、
スリッパを取り上げるための手術が行われることになった。
オカダとダチやった俺も、
病院へと駆けつけた。
モチ、
風雨が止んでやけど。
ここに、
小柄ながら人懐っこい笑顔を浮かべてる男がいた。
オカダのいとこで、
探偵学を勉強してるとのことやった。
ここで、
俺は、
後々世話になる、
道頓堀川痴歩と知り合った。
ケツの穴が倍になるほどの重傷を負ったオカダが、
俺と道頓堀川痴歩を自室にあげて、
ことの成り行きを説明した。
すると、
道頓堀川痴歩は、
オカダのケツに食い込んだスリッパを割れた窓にかざして、
片目を閉じた。
そして、
「ただの事故じゃないよ。計画的犯行や」と言った。
そして、
窓のすぐそばにある隣の部屋を見つめ、
ついには、
隣に、
事情聴取へと向かった。
俺とオカダも同行した。
なんでも、
この家は、
オカダの高校の後輩がいるとのことやった。
その後輩が応対に出たので、
道頓堀川痴歩が、
「ご両親に話しがあります」と伝えた。
相手は「お待ちください」言うて、
「お母さん!」と叫んで、
家の中へと入って行った。
しばらくしたら、
どう見ても、
厚化粧に女装した後輩が現れて、
「わたしが母でございます」と言った。
そこに、
「何ふざけてんの!!」と言う怒声とともに、
本物の母親が現れた。
この後、
道頓堀川痴歩は語った。
「母親の証言からも、あの台風の日、後輩さんの部屋は、風雨が入り込んでいたことがわかります。そして、母親の証言で、あのスリッパを後輩さんが購入されたこともわかりました。そして、このスリッパ購入の前日に、テレビで風速実験の番組があり、その衝撃度の目安として、スリッパが使われたんですよ」
オカダが口を挟んだ。
「だけど、あいつはどうやって俺のケツにスリッパを突っ込んだんや❓」
道頓堀川痴歩は、
「当時の台風は、このスリッパで窓ガラス貫通の可能性のある風速でした。犯人はあらかじめ用意していたものを、テレビ番組のように飛ばすために、窓を開け、そして飛ばしました!」
俺が口を挟んだ。
「ナンデそんなことしはるの❓」
道頓堀川痴歩は、
「怨恨ですよ。それ以上の動機はありません」
オカダは怒りに震えた💢
縫ったばかりのケツの穴から血がにじんだ❗️
道頓堀川痴歩は続けて、
「でも、まさか犯人も、君のケツの穴にスリッパが食い込むことは想定していなかったでしょう❓」
後にオカダの後輩は、
動機を語った。
------後輩は、英検3級の試験(高校生は2級受けろよ😶‼️)前日に、Macで注文しようと並んでた。
そこに、
DAISOでスリッパ買ったオカダが割り込んだので、
後輩は、
「並んでください!」と言った。
オカダは「せからしか‼️」と叫んで、
後輩の頭をスリッパ出で叩いた!
後輩の頭に激痛が走り、
翌試験の日も痛みが取れることなく、
試験に落ちた。
その仕返しやったと言う------
十年も昔の高校時代の怨念は、
こうして、
はらされた!
道頓堀川痴歩とは、
この日以来親しくなり、
十年の付き合いとなった。
いつもながらの名推理を俺がほめると、
道頓堀川痴歩は決まって言う。
「でも、わたしの知らないこともあります」
と言って微笑み、
「それは人の心です」
ここに、
古き中国の仏典があり、
こう記されている、
『風吹かず、旗なびかず、ただ揺れるは人の心のみ』