カズヒサという大学生がいた。
就活を成功させて、
一流不動産企業での採用が決まった。
カズヒサは、
フツーの一軒家に、
両親と暮らしていたが、
森林伐採職人の父親の身分を恥じていた。
父親は、
家庭では、
カズヒサに小言ひとつ言わない優しい性格やったけど、
子供時代から、
ダチに、
「木こりパパ👨」と馬鹿にされてきたことが、
父親との距離を置く一因となった。
そんな父親に、
気丈な母親は文句ひとつ言わずに、
連れ添っていたんやった。
カズヒサ初出勤の日、
父親の同僚のヘイジが、
いつものように、
軽トラで迎えに来てた。
そして、
いつものように、
ヘイジの挨拶をスルーして、
カズヒサは、
会社への初一歩を踏まんがために、
駅へと歩いて行った。
大きな会社の総務部に通されたカズヒサは、
ひととおりの仕事の工程を説明され、
営業企画部への配属が決まった。
その前に、
社長との面談を済ますように言われて、
カズヒサは、
社長室の前に来て、
ノックした。
「どうぞ」という声に甘えて、
中に入ったカズヒサは、
凄まじく驚愕してしまった。
社長は、
森林伐採職人であるはずの父親やった。
カズヒサはうれしくなって、
「なんだ!父さんじゃないか!」と言うと、
父である社長は、
「馬鹿者が❗️初日から社長への敬意が足らん❗️」と怒鳴って、
カズヒサを壁に叩きつけた!
カズヒサはガチギレ😡して、
「ナニすんだよ‼️ブラック企業か⁉️」と言い返したので、
社長は、
「だからどうした馬鹿者が‼️」と怒鳴って、
再びカズヒサを壁に叩きつけた!
心に絶ギレ🤬しながらも、
家庭では、
怒ったことのない父親の側面を知らされ、
不思議な感を受けた。
営業企画室に入ると、
スーツ姿のヘイジがいた。
カズヒサは驚いて、
「ヘイジ😳!」と言うと、
ヘイジは、
「専務に向かって呼び捨てするとは無礼な‼️」と怒鳴って、
カズヒサを壁に叩きつけた!
心に超ギレ🤬💯しながら、
デスクワークしてると、
休憩になったので、
2年先輩に当たるヒライから、
社内を案内された。
いろいろな部屋に案内される中、
ひとつだけ、
不思議な部屋があった。
それは、
内鍵かけられた、
薄暗い部屋で、
全身猫の着ぐるみした者が、
ドアの小窓に背を向けていた。
カズヒサの驚きに気付いたヒライは、
「あいつは猫丸っていうんだよ。秘密社員なんだって。結構なやり手らしいよ」
と説明した。
カズヒサは、
「猫の全身着ぐるみして勤務出来るの😦❓」と問うと、
ヒライは、
「さあな。誰も猫丸とは口きいたことないし、それに、いつ出勤していつ退社するかも誰も知らない。けど、猫丸のおかげで、この会社は、業界の先頭行ってるんだもんね」と、
語る。
その日カズヒサは、
ふてて帰宅した。
しばらくして父親が帰宅して、
カズヒサにやさしく「おつかれさん」と言ったが、
カズヒサはシカトした。
父親はそのまま自室に入った。
カズヒサがなおもふてて、
ビール飲みながらテレビ見ていると、
母親が来て、
「お前、父さんに失礼じゃないか!ちっとは気を使っとくれ!」とつっけんどんに言うから、
カズヒサは、
「ナンデ最初っから教えてくれなかったんだよ❗️」と吐き捨てた!
母親は、
「教えるも教えないもしと(人)の勝手じゃないか⁉️そんなにふて腐れて、今にバチが当たるよ!」と声を荒げる。
カズヒサは悔しそうに、
「おやじが会社の社長なら、馬鹿にされなかったのに。ナンデ森林伐採職人とか言ったのさ!」と言うと、
母親はしばらく黙り、
「まあお聞きな。お前みたいなプライドの高い子は、親が社長してるとか知ってたなら、差別して嫌われてるか、変な取り巻き作って人間腐っちまうことをあたしたちは心配してたんだよ」と言う。
カズヒサはツンツンしながら、
「俺、もう会社行かないから」と言うと、
母親は、
「それはお前さんの勝手さ!ただ、お天道さまに顔向け出来るのか、よぉ〜く考えて決めな!」と言い、
出て行った。
カズヒサは、
そのままふてた。
けど、
翌日も、
その翌日も、
カズヒサは、
出勤して、
無遅刻無欠勤に公私混同を避けて、
地道に勤務した。
カズヒサは、
猫丸から寄せられるデータを忠実に経営戦略に活かし、
昇給した。
翌年、
係長に抜擢!
父親に、
お礼を言おうとしたが、
仕事の忙しさに忘れた。
時が過ぎた。
その日は仕事が早く終わったので、
父親に、
衝動的にお礼が言いたくなった。
社長室に行ったが、
父親の姿は無い。
しかし、
机の横の、
いつも閉まってるドアが小開きになっていた。
カズヒサは、
叱られ覚悟で中に入った。
暗くて狭い廊下を進むと、
薄暗い部屋に出た。
そこでは猫丸が必死にパソコン打っていた。
カズヒサは、
猫丸の後ろ姿に、
「あのさあ。めっちゃ恥ずかしいんだけど!おふくろは知ってんの😡⁉️」と食ってかかった。
猫丸こと父親は、
カズヒサに向き直り、
「お前は見かけで判断するのか⁉️立派な実績をあげれば、それでいいことじゃないか」と言い返した。
カズヒサは帰宅するとふて寝した。
そこに母親が来て、
「情けない子だね!外見ばっかり気にして。お前みたいな強情っぱりはろくな目に合わないよ!」と言うと、
カズヒサは、
「父親が猫の着ぐるみしてパソコン打ってたんだよ!」と言い返すと、
母親は、
「だからなんなのさ!それでお前さんの命でも奪われたと言うのかい⁉️馬鹿におしいでないよ❗️あの人は、あたしの良い亭主でお前の父親なんだよ!」と強く言い張った。
カズヒサは、
「俺、もう会社行かないから」と言うと、
母親は、
「勝手におし‼️」と言って、
出て行った。
けど、
翌日も、
気にすることなくカズヒサは出勤。
無遅刻無欠勤を貫き、
コロナ禍に直面した現在にあっても、
サクセスロードを行く!!