ケイシロウとトークアバウト

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その手紙を手にすると------

2023-07-08 19:34:00 | 日記




牧カオリの会社の同僚で同じ歳のハルコに不幸があった。
アンと😳
アラビア旅行に行った両親が行方不明。
また、
大好きな従姉妹が焼き芋を喉に詰まらせて意識不明の重体。
更に、
3日前から迷子になってたペットの柴犬の迷い犬のチラシを持ったホットドッグ🌭ショップのオヤジが、
「犬🐶のこと、すんませんでした」と頭を下げてホットドッグを手渡しに来た。
こうした不幸とショック😨が一度に来たもんやから、
ハルコは大ウツ入って緊急入院となった。
そんなハルコを気に掛けた会社側は、
牧カオリに見舞いに行くように言いつけた。

たいしてハルコと仲良しでもない牧カオリは、
仏頂面して、
ハルコの病室に入って来た。
ハルコは宙を見つめながら、
「私の一番の親友からお手紙が来たんだけど、誰も読んでくれないの。あなた、読んでくださらない」と呟くので、
牧カオリがテーブルに目をやると、
確かに、
封を切られた手紙があった。

牧カオリは、
ハルコに舌👅を出して馬鹿にしたように、
手紙を手にした。
そして読み上げ始めたんやけど------、
「背景、この馬鹿タレが!家族も従姉妹も犬🐶もエエ気味やないか!」と朗読して、
顔が青ざめてしまった。
が、
ハルコは宙を見つめたまま、
「そのまま続けて」とお願いした。

牧カオリは仕方なく朗読、
「お前は自分が不幸のど真ん中にいると思ってるけど、おっとどっこい!二人でおでん食いに行った時、たったひとつしかなかったがんもどきを勝手に食ったわね!あたしのかわいいペットのニワトリの権左衛門が死んだ時、お前は唐揚げ太郎に行って唐揚げ弁当を買ったわ」
と区切り、
更に顔が青ざめるんやった。

ハルコは変わらず宙を見つめたまま、
「お願い。続けて」と頼み込む。
牧カオリは続けた、
「ずっとお前を呪い続けて三千日。丑の刻参りをしてたところを宮司に見つかって怒鳴られたわ!毒を盛ろうとしてフグチリセットをお歳暮で送った後で、フグの毒は卵巣にあって料理人が取り除いていたことも後で知ったのよ」

牧カオリは朗読を中断してハルコに、
「ホンマにこの手紙、親友なの?」と問うと、
ハルコはそのままの姿勢で、
「続けて」と言うだけやった。

牧カオリが朗読を再開、
「けど、お前も年貢の納め時というより税金の納め時よ❗️もう元には戻らないのよ馬鹿タレが❗️」と、
ここまで読んで、
さすがにハンカチ出して汗を拭いて、
読み続けた------

「お前は死ねばすべて解決すると思ってるわね。フツーの人ならそうかもしれない。けどあたしは、お前が死んだら完璧確実に地獄に落ちることを寺の和尚から聞いたのよ!そう。お前は死からも見放され、災いすべてがお前を憐れんでる惨めさのかけらさえないオンナなんだからね!この馬鹿タレが!」と、
読み終えてしまった。

牧カオリが、
手紙の内容に戦慄していると、
ハルコはいきなり嗚咽して、
「やっぱりあたしの大親友だわ!災いや不幸のどん底にあったら後は幸せになる以外ナニもないじゃないの!」と、
うれし泣きに身を震わせるんやった。

この出来事の後、
アラビアで行方不明になってた両親は、
砂漠で迷っていたところを、
現地の人が救出したという知らせが届いた。
また、
焼き芋が喉に詰まった従姉妹が一命をとりとめ、
「もうさつまいも🍠は食べない❗️これからはジャガイモ🥔を食うわ❗️」と元気に語った知らせも届いた。
更に、
ホットドッグショップのオヤジが、
やっとで見つけた愛犬を確保した知らせまで届いた。
(この前このホットドッグショップのオヤジが詫びてホットドッグを手渡したのは愛犬を見つけたのに見失ったことへのお詫びの気持ちからやったらしい。愛犬をホットドッグにしたなどの発想の方が常識を外れている)
ハルコは、
一度に失ったと思ったものを、
すべて見出した。

牧カオリは、
この出来事を通して、
人生は将棋のようなもので、
どこで失いどこで手に入れるかがわからない、
神々のゲームだと語った。

(ハルコは手紙の主の親友とその後も深い友情で結ばれているけど、牧カオリが言うには、あの手紙は間違いなくトドメを刺しにきたと信じて疑わないらしい❗️)