カッちゃんの高校時代の友人にホシノという男がいた。
ホシノは気持ちが優しすぎるので、
敵がいない人間関係を築いていた。
このホシノが勤める会社に、
厳しくも人間性が出来上がっている課長がいた。
そして、
誰とも友達感覚で接することから若い社員は親しくオヤジと呼んでいた。
課長の家は、
妻と娘の三人暮らしやったから、
男性社員はよく課長に可愛がられた。
ある日、
ホシノは、
熱は無いけど咳が止まらない風邪の症状に悩まされた。
そして、
食欲はあるんやけど、
食べ物の味の感覚がナニかミョーやった。
そこに課長が来て、
どんな具合か尋ねたところ、
ホシノは前記した症状を課長に語った。
課長はしばらく考え込んで、
「それはコロナじゃないかな?」と言ってきたので、
ホシノは驚いて、
「課長!ぼくから離れてください!うつると困ります。それにぼくは休職届け出しますから」と言った。
課長は、
「大丈夫だよ!今のコロナは弱毒化しているから。けど、君の健康の為にも休職しなさい」と答えた。
ホシノは、
「課長もさっきからマスク無しでぼくと話してますので医療機関に行かれてください」と言った。
課長は元気そうに笑い、
「私の自慢はね、いっさい風邪をひかないことさ。インフルエンザもコロナもへっちゃらだね」と答えた。
ホシノは1週間休職して、
元気になって会社に戻ってきた。
が、
課長の姿が見えない。
同僚に尋ねると、
体調不良で2日前から休んでいるとのことやった。
その時、
別の同僚が来て、
「オヤジが死んだ」と悲しく言った。
詳しいことを尋ねると、
2日前から高熱が出て、
寝込んだままで、
イマ、
息を引き取ったとのことやった🙏
ホシノ達か通夜に行くと、
一人娘が課長の棺に泣き崩れていた。
課長の奥さんの話しでは、
「死因はコロナとのことやった」
ホシノの同僚達は、
通夜の会場を後にしながら、
夜空を見つめ、
「オヤジは星になったんだ🌟」と呟き合った。
ところが、
最初に書いていたように、
ホシノは気持ちが優しすぎる男やった。
課長の死を自分のせいだと思い込んだ。
そして会社を退職して、
比叡山に登り、
坊主🧑🦲になった。
僧侶としてのホシノは、
課長の命日は、
夜空の星供養をすることで、
課長の魂を弔った。