[後書き]
先年、双子の兄が妹に恋をする、というコミックが評判になり、映画化までされました。主役の双子の兄に、某アイドルグループの人気メンバーが映画初主演で扮し、妹を、ドラマ初出演のモデルの女の子が演じました。その某アイドルの名前と、本編の兄の名前が、偶然にも同じ発音になるのですが、これは全くの偶然です。こちらの方は、僕が当時使用していたペンネームから取ったもので、何にしてもアイドルタレントが生まれる前からこの名前でした。
このタレントがグループ結成前から出演した映画を見て知っていたと言うこともあって、この映画を見に行ったのですが、正直、確か設定は中学生のはずなのに、とてもそんな風には見えないし、女性の方も、ただ背が高いだけの影の薄い印象しかありませんでした。その後いろいろなドラマに出演していってどんどん演技が磨かれ、今では立派な女優に育っているのは印象深いですが。
同じ屋根の下で育った兄妹が恋人関係になることに、なんとなくモラル的に気にはなります。これがもし、兄妹と知らないで出会ってしまったのなら、それだけでドラマにはなるのですが、血のつながった兄妹でも結婚が可能という世界になると、まったく主人公が悩む必要もなくなって、ドラマにはならなくなるのですが。
この物語でも、この部分がテーマになっていたのですが、戸籍上では何の問題もないけれど、モラル的にどうなのか、という問いかけがあります。もっとも元々の原作では主人公の二人が肉体的にも結ばれておしまい、という終わり方にしてしまったのですが、この結末に40年間悩んでいました。他の終わり方はなかったのかと。そんなわけで、今回、結末を変更することを条件に書き改めることにしたわけです。結果、後半は大幅改訂です。というよりも元の文章は廃棄して、まるまる書き下ろしと同じことになってしまいました。
タイトルの「白夜の人」というのには、何の意味もありません。
一番最初に考えたストーリーでは、白夜の国に旅行に行った主人公が、そこで出会った男性と恋に陥るのですが、実はその男性が双子の兄だった、という設定でした。そして、どちらかが亡くなってしまうと言う悲劇の物語だったのですが、さすがに中学生には、外国の描写やら書きにくい状況が多すぎて断念しました。で、設定を国内に変え、期間も1年ということにし、将来「結婚」ということも意識する高校生の物語にしました。この時点でも、まだこじつけ的に白夜を取り入れる案もあったのですが、めちゃくちゃ無理矢理な設定になってしまったので、とうとう最後には白夜にはこだわらないことにしました。もっとも、裏テーマとして、白夜のように、昼間だけのつきあいであればいいのに。夜のつきあいがなければ良いのに、ということも含めてはいますが。
設定を変えた結果、当初はちょい役でしかなかった主人公の友人の出番が増えました。主人公に弟か妹がほしいな、と考えて、妹を登場させることにしたのですが、この妹が予定以上に頑張ってくれました。当初の予定よりかなり出番が増えました。今回の改訂版ではさらに、元の原作以上に増えました。よく考えれば、亡くなった女の子はこの妹の実の姉なんだから、もっとこだわってもいいんじゃないかと思い直したからなんですが。
40年前と比べて現在は便利な時代になった物です。妹がどうして姉の秘密を知ったのか、作者も忘れていて、読み進めていくのが楽しみではあったのですが、原作では3人の幼児が一緒に写っている写真を偶然に見つけて、裏書きから3人とも同じ誕生日であることを知り、そこから秘密を知るという展開になっていたのですが、それではまだ無理があるように思ってはいました。現代なら、インターネットで記事の検索を行う過程で、偶然個人の秘密を知ることもあり得るのではないのか、個人情報がけっこうその気になれば手に入る時代なのかもしれません。もっとも本編のような、ここまで個人の事情を調べ尽くすことは無理だとは信じてはいますが。
6章以降、話がどんどんふくらんで、どんどん元のストーリーから離れていきました。自分で一番なっとくできる形におさまったような気がします。6章は元を手直しした結果、1章におさまりきらなくなって、二つに分けました。元の章タイトルを残したかったからですが。
本当はこれで言えば9章で終わっていたはずでしたが、主人公の二人が一緒にならないのなば、一体どういう形になっていくのだろうか、ある設定を考えついて、10年後を書いてみたくなりました。3行くらいの追加で終わる予定だったのですが、読者の想像にまかせて、あえて書かない方が良いのではないかとも思ったのですが、どんどん話がふくらんで、丸々1章分の長さになってしまったので、新しく章を付け加えてみました。蛇足です。ない方がよかったと感じる人もいると思いますが、自分の意識の中では、ありきたりではありますが、すっきりまとまった気がします。
平成22年7月12日脱稿
先年、双子の兄が妹に恋をする、というコミックが評判になり、映画化までされました。主役の双子の兄に、某アイドルグループの人気メンバーが映画初主演で扮し、妹を、ドラマ初出演のモデルの女の子が演じました。その某アイドルの名前と、本編の兄の名前が、偶然にも同じ発音になるのですが、これは全くの偶然です。こちらの方は、僕が当時使用していたペンネームから取ったもので、何にしてもアイドルタレントが生まれる前からこの名前でした。
このタレントがグループ結成前から出演した映画を見て知っていたと言うこともあって、この映画を見に行ったのですが、正直、確か設定は中学生のはずなのに、とてもそんな風には見えないし、女性の方も、ただ背が高いだけの影の薄い印象しかありませんでした。その後いろいろなドラマに出演していってどんどん演技が磨かれ、今では立派な女優に育っているのは印象深いですが。
同じ屋根の下で育った兄妹が恋人関係になることに、なんとなくモラル的に気にはなります。これがもし、兄妹と知らないで出会ってしまったのなら、それだけでドラマにはなるのですが、血のつながった兄妹でも結婚が可能という世界になると、まったく主人公が悩む必要もなくなって、ドラマにはならなくなるのですが。
この物語でも、この部分がテーマになっていたのですが、戸籍上では何の問題もないけれど、モラル的にどうなのか、という問いかけがあります。もっとも元々の原作では主人公の二人が肉体的にも結ばれておしまい、という終わり方にしてしまったのですが、この結末に40年間悩んでいました。他の終わり方はなかったのかと。そんなわけで、今回、結末を変更することを条件に書き改めることにしたわけです。結果、後半は大幅改訂です。というよりも元の文章は廃棄して、まるまる書き下ろしと同じことになってしまいました。
タイトルの「白夜の人」というのには、何の意味もありません。
一番最初に考えたストーリーでは、白夜の国に旅行に行った主人公が、そこで出会った男性と恋に陥るのですが、実はその男性が双子の兄だった、という設定でした。そして、どちらかが亡くなってしまうと言う悲劇の物語だったのですが、さすがに中学生には、外国の描写やら書きにくい状況が多すぎて断念しました。で、設定を国内に変え、期間も1年ということにし、将来「結婚」ということも意識する高校生の物語にしました。この時点でも、まだこじつけ的に白夜を取り入れる案もあったのですが、めちゃくちゃ無理矢理な設定になってしまったので、とうとう最後には白夜にはこだわらないことにしました。もっとも、裏テーマとして、白夜のように、昼間だけのつきあいであればいいのに。夜のつきあいがなければ良いのに、ということも含めてはいますが。
設定を変えた結果、当初はちょい役でしかなかった主人公の友人の出番が増えました。主人公に弟か妹がほしいな、と考えて、妹を登場させることにしたのですが、この妹が予定以上に頑張ってくれました。当初の予定よりかなり出番が増えました。今回の改訂版ではさらに、元の原作以上に増えました。よく考えれば、亡くなった女の子はこの妹の実の姉なんだから、もっとこだわってもいいんじゃないかと思い直したからなんですが。
40年前と比べて現在は便利な時代になった物です。妹がどうして姉の秘密を知ったのか、作者も忘れていて、読み進めていくのが楽しみではあったのですが、原作では3人の幼児が一緒に写っている写真を偶然に見つけて、裏書きから3人とも同じ誕生日であることを知り、そこから秘密を知るという展開になっていたのですが、それではまだ無理があるように思ってはいました。現代なら、インターネットで記事の検索を行う過程で、偶然個人の秘密を知ることもあり得るのではないのか、個人情報がけっこうその気になれば手に入る時代なのかもしれません。もっとも本編のような、ここまで個人の事情を調べ尽くすことは無理だとは信じてはいますが。
6章以降、話がどんどんふくらんで、どんどん元のストーリーから離れていきました。自分で一番なっとくできる形におさまったような気がします。6章は元を手直しした結果、1章におさまりきらなくなって、二つに分けました。元の章タイトルを残したかったからですが。
本当はこれで言えば9章で終わっていたはずでしたが、主人公の二人が一緒にならないのなば、一体どういう形になっていくのだろうか、ある設定を考えついて、10年後を書いてみたくなりました。3行くらいの追加で終わる予定だったのですが、読者の想像にまかせて、あえて書かない方が良いのではないかとも思ったのですが、どんどん話がふくらんで、丸々1章分の長さになってしまったので、新しく章を付け加えてみました。蛇足です。ない方がよかったと感じる人もいると思いますが、自分の意識の中では、ありきたりではありますが、すっきりまとまった気がします。
平成22年7月12日脱稿