世界中から熱苦しく・・・「ふじもん世界放学ブログ」

元「変な学校先生」私ふじもんが、ただ今世界を駆け巡っています!世界の今と僕の魂をお届けしますので、ぜひお読み下さ~い!

【ふじもん世界放浪「放学記」第4章中東編 パレスチナ難民キャンプレポートvol.1「Who is right?」】

2013-11-02 20:27:57 | 日記
2013年11月2日。

《ヨルダンには、およそ170万人のパレスチナ難民の登録者がいると言われている。彼らは各地に集団で住みつき、そこは難民居住区(キャンプ)と呼ばれている。僕はそのうちの1つ、ワヒダット・キャンプを訪問した。》


アンマン市内からバスでおよそ15分。ダウンタウンの南側に位置するこの難民居住区は「ワヒダット・キャンプ」と呼ばれている。ここには約5万人が登録をされており、パレスチナから逃れてきた人々が身を寄せ合って生活をしている。

「難民キャンプ」と聞くと、ボロボロのテントに極貧の生活・・・というのをイメージするかもしれないが、一見するとそうは見えない。そこは巨大なスーク(市場)になっていて、活気もある。その様子だけを見ていると「あれ?難民キャンプってこんな感じなの?」という錯覚さえ覚えてしまいそうになる。


「ワヒダット・キャンプ」の中には数か所に学校があって、男子と女子が完全に分けられて学習をしている。そのことを事前に知っていたわけではないのだが(笑)、キャンプの中を歩いていたら学校を見つけたので、僕は「お、これは覗いてみよう!」と、ちょっとだけ中に上がらせていただいた。


すると!

寄って来る寄って来る!子ども達の群れ!


おかしを売っている大人まで、ガンガン絡んでくるではないか!


彼らは僕の腕を引っ張り、「welcome!welcome!」と、頼んでもいないのに僕を校内に引っ張っていく。何なんだ、この異様なまでの人懐っこさは?そして僕を、校庭の隅っこにいた先生の前に連れて行ってくれた。

でもね、子ども達は要注意なんですよ、どこの国にいっても。その可愛さを利用して、彼らはわんさか寄って来る。そして気を引いている間にバッグを開けたり、ポケットからお金を抜き取る。だから、子どもが大量に寄って来たときは要注意!絶対に必要以上に絡ませないことが大事なのだ。

だが、そうは言ってもやっぱり子どもは可愛い!みんな綺麗な目をしてるんだな~!

僕は注意を払いながら、彼らの案内に従った。「何か言われるかな・・・」とちょっと恐れていたら、「ヨルダンへようこそ!ささ、中に入って!」と、校長室まで案内してくれるではないか!


たまたま通りがかったどこの馬の骨とも分からない旅人の僕なのに、こんなに親切に対応していただいて・・・と思いつつも、こんなに簡単に中に入れて、俺がテロリストだったらど~すんだ?とか、何か裏があるんじゃないか?とか、色々詮索をする自分がいた。


人の親切心を疑うのって良くないですけど、親切な人には絶対に注意をしないといけないんですよね。下心いっぱいの人もたくさんいるので。僕たちは「親切心」に助けられて旅をしているのに、でもその「親切心」を疑わなければならない。その矛盾が、本当はとても嫌なんですけどね・・・。


校長室の中には数人の先生方がいて、そのうちの一人の先生(なのかな?)が、僕の案内をしてくれた。彼の名はYahiaさん。校内のことはもちろん、ワヒダット・キャンプのことも詳しく案内してくれた。


しかし、彼との会話が、僕にパレスチナ問題の根深さをまじまじと感じさせた。ああ、やっぱりここは難民キャンプなんだな・・・と、僕はハッとした。「なんだ、ただのスークみたいじゃないか」と僕は思ってしまったのだが、やはりここに住んでいるのは「パレスチナ人」だったのだ。


僕が「イスラエルに・・・」と発言したとき・・・

彼の目つきが変わった。「イスラエル?なんだその国家は?そんなもの、この世には存在しない!」と、口で言ったわけではないが、彼の目はそう語っているようだった。

彼は僕に諭すように教えてくれた。「ここはイスラエルじゃない、パレスタインという国家だ」と。

わずかなやり取りだった。でも、「イスラエルを認めない」その姿勢を感じたとき、僕は未だに続く紛争を肌で感じたような気がした。


僕が「この状況について、僕は少しでも理解しているつもりです」と発言したとき・・・

彼の目つきが変わった。「理解している?でも、あなたの国はイスラエルを支援しているのを知っているのか?」と、今度はしっかり発言をした。

それは知っている。日本とアメリカは同盟関係にあり、国策としてはアメリカ側に付く他はないのだろう。

僕は説明をした。国民感情としては色々な考え方がある。全ての日本国民が、全面的にイスラエルを支持しているなんてことはないし、日本人もそれなりに中東紛争については学んでいると。

しかし、彼の目つきは厳つかった。僕は未だに続く紛争を肌で感じたような気がした。


僕が「パレスチナの難民キャンプに、少しでも力になりたいと思っているんです」と発言したとき・・・

彼の目つきが変わった。「力になりたい?じゃあ、今あなたは何をしてくれるんだ?」と、これもハッキリと発言した。

僕は・・・すぐに何も言い返せなかった。そして、少し間を空けて僕は言った。「僕は日本で教員をしている。だからここでの現状を少しでも日本の子ども達に伝えて、関心を持たせたい。それが一番の貢献だと思っている」と。

彼は少しだけ笑った。そして、「ぜひそうしてほしい。ここでの真実を、何が正しいのかを、パレスタインの現実を、日本に伝えてほしい」と、彼は小さな声で力強く話してくれた。僕は未だに続く紛争を肌で感じたような気がした。


やはり、ここは「パレスチナ紛争の難民が居住している難民キャンプ」なのだ。一見すると、平和なスークにしか見えない。活気もある。でも、ちょっと踏み込んで話をすると・・・そこには言葉にならない感情と数十年続く対立がある。

大量の血が流され、多くを失った人々がここにいる。僕は日本人で、正直パレスチナ紛争の痛みを直接味わったことはない。しかしここには、その「痛み」の真っ只中にいる人々が住んでいる。今、この目の前にいる。

正しいのはどちらなのか?イスラエル?パレスチナ?ユダヤ人?アラブ人?

もし僕が同じような状況でユダヤ人と話をしたら、きっとまた全然違う答えが出てくるのだろう。

あまりにも深い、この歴史。何でこうなってしまうんだろう。何がいけないんだろう。誰のせいなんだろう。僕たちに出来ることは何があるんだろう。

パレスチナ難民キャンプの学校を訪問させていただけたことは、僕にとっては本当に大きな財産になった。でも、心の中はモヤモヤガ張りつめていた。

帰りのバスの中で、1人考える。「俺って何なんだろう・・・。」

2013年11月2日。夜になると何故かフロアに水が溜まり、滑ってこけそうになるアンマンの安宿にて。




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【ふじもん世界放浪「放学記」第4章中東編 We have 『偏見・先入観・思い込み』?】

2013-11-02 03:28:29 | 日記

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2013年11月1日。

《中東の小国・ヨルダン。言わずと知れたイスラム国家。僕たち日本人は、この「イスラム教」をどう捉えているのいるのだろう。報道、イメージ、先入観、しかし真実・・・。僕たちが中東から感じ取らなければならないことは多い。》


11月1日、午前0時30分。僕はヨルダンの首都・アンマンの空港に到着した。

日本人はヨルダンビザの事前取得は必要なく、空港の入国審査ですぐにスタンプを押してくれる。到着後、僕はすぐにカウンターに向かい、入国審査はあっという間に終了。晴れてヨルダンへの入国を果たした。

しかし、時間は午前1時前。さすがに初めての国でこの時間に動き出すのはキツイ。ということで、僕は空港のロビーで夜明けを待って動き出すことにした。ま、これは予定通りなのだが。


夜明けまで5時間以上ある。幸いなことに空港ではフリーWi-Fiが飛んでいたので、色々と調べもの等をしながら夜明けを待つことにした。

そして僕はこのヨルダンの空港で、本当に温かいヨルダン人の優しさに何度も触れることになる。

事前に色々調べたとしても、初めての国はやっぱり来てみないと分からないことが多い。分からないことがあると、僕はけっこうすぐ地元の人に聞いてしまう。時間はたっぷりある。インフォメーションも24時間空いているし、スタッフもウロウロしている。眠気も吹っ飛んでしまったので、分からないことは今のうちに聞いてしまおうと決めた。


ヨルダン。ほとんどの人がイスラム教を信仰している。

イスラム教徒。僕たちは、間違ったイメージを持ちすぎなのではないだろうか。


ハッキリ言って、ヨルダン人ってメッチャ優しい!何を聞いても必ず一緒に考えて答えてくれるし、同じような質問を繰り返してしまってもちゃんと返してくれる。

すごい親日的で、日本人や日本の技術力にものすごく敬意を表してくれる。僕の質問に色々答えてくれたある空港のスタッフは、「日本のテクノロジーは世界一だ。本当に尊敬しているよ」と言い、僕が「ヨルダンの人はとても親切だ。困っている僕を必ず助けてくれて本当に有り難いよ」と言うと、「いや、ヨルダン人より日本人の方が親切ですよ!」とまで答えてくれた。

お店で買い物をすると、「Where are you from?」とよく聞かれるが、「Japan1」と答えると、ほとんどの人が笑顔で「Japanese!Welcome!」と返してくれる。


2001年9月11日。イスラム過激派。自爆テロ・・・。

特にあの日以来、僕たちは「イスラム教」を大きく歪められて捉えてしまっているのではないか。

確かにイスラム教徒の一部がテロなどの過激な行動をしているのは事実であろう。でも、それは本当にごく一部であって、大半のイスラム教徒は穏健で優しく、情に厚くて人懐っこいのだ。

確かにイスラム教徒もキリスト教徒も、何百年に渡って争いを繰り返してきた。それは歴史的事実であるが、個人として見たら、キリスト教徒もイスラム教徒も本当に優しくて温かい。


世界は偏見と先入観と思い込みに満ちている。人は見てもいないのに見たように語るし、感じてもいないのに感じたように心に落とし込む。

イスラム教徒は野蛮で過激?誰がそんなことを言ったの?

イスラム教徒はすぐ自爆テロ?誰がそんなことを教えたの?



僕はイスラム教圏には何度か行ったことがあるが、いつも本当に温かい気持ちになる。今回も同じだ。特にヨルダン人の情の厚さと人懐っこさはとても深い。街中の警察官が「ヘイ、ジャパニーズ!」と、手を振ってくれることさえある。

旅の価値はここにある。魂が、自ら感じ取るのだ。イスラム教圏を歩いてみれば、日本での「なんとなく」の偏見と先入観と思い込みなど、すぐに吹き飛ぶはずだ。

かの大日本帝国海軍連合艦隊総司令官・山本五十六長官は、ある若い新聞記者にこう語った。

「世界をよ~く見なさい。その目で、その耳で、その心で。」

かの元埼玉県中学校教員であった藤本正樹氏は、次のように生徒に語った。

「自分の魂で感じなさい。自分の魂で世界を見つめなさい。」


旅に出ると分かる、いかに僕たちは偏見と先入観と思い込みに支配されているかということを。

旅に出ると分かる、いかに僕たちは全てを理解することが不可能であるかということを。



旅に出ると気付く、自分の無力さに。

旅に出ると気付く、世界の理不尽に。



だから、旅の価値がある。それを知るから、心の枠が広がる。心のゆとりが大きくなる。すると、ものの見方が必ず変わる。

ヨルダンはたった1日で、僕に色々なことを教えてくれた。今ここは、僕の「放学」の時と場。まだまだ。そう、まだまだなのだ。

2013年11月1日。アンマン市内で最も安いと言われている、ベッドから南京虫が多数発見された恐怖の安宿にて。