2013年11月24日。
《日本人にはよく「おもてなし」の心があると言うけれど、そういう心を持つ人は、世界中にきっとたくさんいる。僕が今日訪れたのは、かつてエジプトの南部地域を支配していたと言われている「ヌビア人」の村。そこでの温かい「おもてなし」に、僕は心を奪われた。そして、大事なことに気付かされた。》
よっさんへ。
よっさん!元気してますか?
東京も徐々に寒くなってきてるみたいだけど、寒さに弱いよっさんが布団の中でまた「眠い寒い病」にかかっていないか心配です。
夏休みに続いて、今度は冬休みもよっさんが会いに来てくれることがメッチャ嬉しいです!今度はアフリカだね!夏のメキシコとはだいぶ違う場所だけど、どんな旅になるか楽しみだね!
さてよっさん、今日僕は「ヌビア人」という人々が住む村に行ってきました。このヌビア人という人々は、かつてエジプトの南部地域を支配していた黒人たちで、自分たちは「ヌビア人」としての高いアイデンティティを持って生きているそうです。
アスワンの街から船でナイル河を渡ってこのヌビア人の村に行くんだけど、村についてビックリ。本当にのどかな場所でした。
強い日差しの下に広がる田園風景・・・。まるで東南アジアを思わせるような景観でした。あ、でも東南アジアはもっと湿気が多くて大変だけど、ここは乾燥してるから全然暑苦しくないんだけどね。
建物は青を基調にした家が多くて、それが青空に映えて綺麗なんだよ。ヌビアの村は遠くから見ると青く光って見えるくらい、青い建物が多いんです。歩いていてとっても気持ちよかったね!
村に着いて、まずはもっと村の奥まで行こうと歩いていたんだけど、僕は本当にビックリしました。会う人会う人が、みんな僕に話し掛けてくるんです。「ハロー、ウェルカム!」って。そして日本人だと答えると「ジャパニーズ、グッドピープル!」と、笑顔で答えてくれるんです。それだけで、何だか嬉しくなっちゃうよね。
そしてある小さな家の前を通っていたら、その家のおじさんが「おーい、寄っていけ!」って声をかけてくれるんです。どうしようかと迷ったんだけど、せっかくお声掛けをいただいたんだしと、僕はその家にお邪魔してしまいました。
そしてら、その家のおじさんがさっそく紅茶を持ってきてくれて「疲れただろう、一休みしていけ!」と言ってくれるんです。僕はすっかり甘えてしまって、腰を下ろして紅茶を楽しんでしまいました。
そこにはとってもささやかな幸せの形がありました。家は決して豪華ではないんだけど、家族がそろって和気あいあいと紅茶を飲み、笑顔の時間が過ぎていく。言葉はサッパリ分からないのだけど、和やかな空気が僕の心に伝わってきました。「俺も将来はこういう家庭にしてぇな・・・」と、マジで思っていました。
紅茶をご馳走になったぼくは、また村を歩き出しました。時間はもう昼の12時。そしたらほどなくして、1人のおじさんが話し掛けてきました。
「どこから来たんだ?日本か。よし、メシでも食っていけ!」
ええ?メシ?って思ったんだけど、メッチャお腹が空いていたので、僕は「YES!」と答えてしまいました(笑)。そしたら家の中に案内されて床にゴザ(って言っていいのかな)を敷いてくれて、本当に食事を出してくれたんです。
この家には子どもがたくさんいて、いっつも僕にまとわりついてきました。世界は矛盾に満ちていて不条理だらけだけど、子ども達の笑顔を見ていると、そんな世界も悪いことばっかじゃないなって感じられます。子どもの笑顔って本当に不思議だよね。
そこにはとっても温かい家庭がありました。最近の日本が忘れてしまっているような気がする大事なもの。でも、かつての日本にもあったような気がするもの。子ども達は僕にしきりに話し掛けてくるんだけど、何を言っているのかはサッパリ分からない。でも、とっても温かい。「俺も将来はこういう家庭にしてぇな・・・」と、マジで思っていました。
この家にすっかり長居してしまった僕は、相乗りトラックの荷台に乗ってボート乗り場に向かおうと思ってました。そしたら、また別の兄ちゃんが話し掛けてきたんです。
「どこから来たの?日本人なんだ!よし、俺と一緒に畑に行って、紅茶でも飲もうぜ!」
ええ?また紅茶?と思いつつも、「よし、こうなりゃとことん甘えてしまえ!」と腹を決め、僕はその兄ちゃんについて行きました。
畑では、その兄ちゃんの親戚一同が集まって仕事をしつつ、紅茶を飲みつつ時間を過ごしていました。「まぁここに座れ、日本人!」と威勢よく案内され、僕はそれにすっかり甘えて床にあぐら。いつも通りの甘~い紅茶を楽しんでしまいました。
「よし、うちの畑を案内するから一緒に来な!」と、その兄ちゃんといとこの兄ちゃんと3人で、畑やその周辺を案内してくれたんです。
そしたら「一人旅なのか?じゃあ食うものもないだろう。これを持っていけ!」と、みかんやらミントやら名前は忘れてしまったのですがちょっと甘い木の実やら、バンバン僕のバッグに入れてくれるんです。
そこには古き良き「兄貴分」の姿がありました。冗談を交えながら勢いよく話し、それでいて優しさがある。何だかこういう良い兄貴肌の日本人も少なくなってきている気がします。僕自身にもそういう「兄貴分」的要素が欲しいし、自分の子にもそうなってほしい。「将来はこういう家庭にしてぇな・・・」と、マジで思っていました。
僕は2~3時間で、このヌビアの村を去る予定だったんです。でも、結局夕方までずっといてしまいました。何だか、出ていくことができなくなってしまった。そのれくらいこの村の人たちは温かかったんです。
でもよっさん、僕は大事なことに気付いたんです。
今日、僕はこの村でこんなに温かく迎えていただいた。見ず知らずのただの旅人の僕なのに、こんなに僕をもてなしてくれた。
とっても感謝している。だけど、何だかその優しさに「慣れてしまっている」自分がいるんです。
僕はこの旅の中で、本当に何度も人の優しさに助けられてきた。人の温かさのおかげで、僕はここまで歩いて来られた。それなのに、その温かさや優しさに「慣れ」を感じてしまっている気がするんです。
全ては一期一会で、偶然の出会いの中で僕は生かされているだけなのに、何だか助けてもらっていることがさも当然のように感じてしまっている自分がいる。優しさを享受することが当然のように感じてしまっている自分がいる。そんな気がするんです。
どれほど多くの「優しさ」に出会い続けてこられたおかげで旅ができているのか。そのことを頭では分かっているはずなのに、心では「慣れ」が生じてきている気がするんです。何だか、そんな自分に危機感を感じているんです。
僕が旅に出るとき「生きて帰って来い!」と、よっさんは背中を押してくれました。とっても嬉しかった。マジで嬉しかった。それなのに、最近その感謝を忘れてしまっている気がするんです。いい年こいたおっさんが旅に出ると言って、それを温かく受け入れてくれた人がいるのに、僕はその気持ちを失いかけていた気がするんです。
僕は本当に人の「温かさ」の中で生かされている。その感謝を、今一度刻まなければいけないと感じています。こんな文章でなく、頭でなく、心と魂に。
またよっさんが会いに来てくれる。今度はアフリカにまで。こんなに素晴らしいことなんてない。こんなに有り難いことなんてない。そのことを、僕は「魂で」感じなきゃいけないと思うんです。
よっさん、本当にどうもありがとう!
よっさんに対して、そして全ての人・もの・出来事に対して、もう一度「感謝」を刻んで、また明日から歩いていきます。
2013年11月24日。暑さの割に蚊が全然いなくてとても助かる、アスワンの安宿にて。
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《日本人にはよく「おもてなし」の心があると言うけれど、そういう心を持つ人は、世界中にきっとたくさんいる。僕が今日訪れたのは、かつてエジプトの南部地域を支配していたと言われている「ヌビア人」の村。そこでの温かい「おもてなし」に、僕は心を奪われた。そして、大事なことに気付かされた。》
よっさんへ。
よっさん!元気してますか?
東京も徐々に寒くなってきてるみたいだけど、寒さに弱いよっさんが布団の中でまた「眠い寒い病」にかかっていないか心配です。
夏休みに続いて、今度は冬休みもよっさんが会いに来てくれることがメッチャ嬉しいです!今度はアフリカだね!夏のメキシコとはだいぶ違う場所だけど、どんな旅になるか楽しみだね!
さてよっさん、今日僕は「ヌビア人」という人々が住む村に行ってきました。このヌビア人という人々は、かつてエジプトの南部地域を支配していた黒人たちで、自分たちは「ヌビア人」としての高いアイデンティティを持って生きているそうです。
アスワンの街から船でナイル河を渡ってこのヌビア人の村に行くんだけど、村についてビックリ。本当にのどかな場所でした。
強い日差しの下に広がる田園風景・・・。まるで東南アジアを思わせるような景観でした。あ、でも東南アジアはもっと湿気が多くて大変だけど、ここは乾燥してるから全然暑苦しくないんだけどね。
建物は青を基調にした家が多くて、それが青空に映えて綺麗なんだよ。ヌビアの村は遠くから見ると青く光って見えるくらい、青い建物が多いんです。歩いていてとっても気持ちよかったね!
村に着いて、まずはもっと村の奥まで行こうと歩いていたんだけど、僕は本当にビックリしました。会う人会う人が、みんな僕に話し掛けてくるんです。「ハロー、ウェルカム!」って。そして日本人だと答えると「ジャパニーズ、グッドピープル!」と、笑顔で答えてくれるんです。それだけで、何だか嬉しくなっちゃうよね。
そしてある小さな家の前を通っていたら、その家のおじさんが「おーい、寄っていけ!」って声をかけてくれるんです。どうしようかと迷ったんだけど、せっかくお声掛けをいただいたんだしと、僕はその家にお邪魔してしまいました。
そしてら、その家のおじさんがさっそく紅茶を持ってきてくれて「疲れただろう、一休みしていけ!」と言ってくれるんです。僕はすっかり甘えてしまって、腰を下ろして紅茶を楽しんでしまいました。
そこにはとってもささやかな幸せの形がありました。家は決して豪華ではないんだけど、家族がそろって和気あいあいと紅茶を飲み、笑顔の時間が過ぎていく。言葉はサッパリ分からないのだけど、和やかな空気が僕の心に伝わってきました。「俺も将来はこういう家庭にしてぇな・・・」と、マジで思っていました。
紅茶をご馳走になったぼくは、また村を歩き出しました。時間はもう昼の12時。そしたらほどなくして、1人のおじさんが話し掛けてきました。
「どこから来たんだ?日本か。よし、メシでも食っていけ!」
ええ?メシ?って思ったんだけど、メッチャお腹が空いていたので、僕は「YES!」と答えてしまいました(笑)。そしたら家の中に案内されて床にゴザ(って言っていいのかな)を敷いてくれて、本当に食事を出してくれたんです。
この家には子どもがたくさんいて、いっつも僕にまとわりついてきました。世界は矛盾に満ちていて不条理だらけだけど、子ども達の笑顔を見ていると、そんな世界も悪いことばっかじゃないなって感じられます。子どもの笑顔って本当に不思議だよね。
そこにはとっても温かい家庭がありました。最近の日本が忘れてしまっているような気がする大事なもの。でも、かつての日本にもあったような気がするもの。子ども達は僕にしきりに話し掛けてくるんだけど、何を言っているのかはサッパリ分からない。でも、とっても温かい。「俺も将来はこういう家庭にしてぇな・・・」と、マジで思っていました。
この家にすっかり長居してしまった僕は、相乗りトラックの荷台に乗ってボート乗り場に向かおうと思ってました。そしたら、また別の兄ちゃんが話し掛けてきたんです。
「どこから来たの?日本人なんだ!よし、俺と一緒に畑に行って、紅茶でも飲もうぜ!」
ええ?また紅茶?と思いつつも、「よし、こうなりゃとことん甘えてしまえ!」と腹を決め、僕はその兄ちゃんについて行きました。
畑では、その兄ちゃんの親戚一同が集まって仕事をしつつ、紅茶を飲みつつ時間を過ごしていました。「まぁここに座れ、日本人!」と威勢よく案内され、僕はそれにすっかり甘えて床にあぐら。いつも通りの甘~い紅茶を楽しんでしまいました。
「よし、うちの畑を案内するから一緒に来な!」と、その兄ちゃんといとこの兄ちゃんと3人で、畑やその周辺を案内してくれたんです。
そしたら「一人旅なのか?じゃあ食うものもないだろう。これを持っていけ!」と、みかんやらミントやら名前は忘れてしまったのですがちょっと甘い木の実やら、バンバン僕のバッグに入れてくれるんです。
そこには古き良き「兄貴分」の姿がありました。冗談を交えながら勢いよく話し、それでいて優しさがある。何だかこういう良い兄貴肌の日本人も少なくなってきている気がします。僕自身にもそういう「兄貴分」的要素が欲しいし、自分の子にもそうなってほしい。「将来はこういう家庭にしてぇな・・・」と、マジで思っていました。
僕は2~3時間で、このヌビアの村を去る予定だったんです。でも、結局夕方までずっといてしまいました。何だか、出ていくことができなくなってしまった。そのれくらいこの村の人たちは温かかったんです。
でもよっさん、僕は大事なことに気付いたんです。
今日、僕はこの村でこんなに温かく迎えていただいた。見ず知らずのただの旅人の僕なのに、こんなに僕をもてなしてくれた。
とっても感謝している。だけど、何だかその優しさに「慣れてしまっている」自分がいるんです。
僕はこの旅の中で、本当に何度も人の優しさに助けられてきた。人の温かさのおかげで、僕はここまで歩いて来られた。それなのに、その温かさや優しさに「慣れ」を感じてしまっている気がするんです。
全ては一期一会で、偶然の出会いの中で僕は生かされているだけなのに、何だか助けてもらっていることがさも当然のように感じてしまっている自分がいる。優しさを享受することが当然のように感じてしまっている自分がいる。そんな気がするんです。
どれほど多くの「優しさ」に出会い続けてこられたおかげで旅ができているのか。そのことを頭では分かっているはずなのに、心では「慣れ」が生じてきている気がするんです。何だか、そんな自分に危機感を感じているんです。
僕が旅に出るとき「生きて帰って来い!」と、よっさんは背中を押してくれました。とっても嬉しかった。マジで嬉しかった。それなのに、最近その感謝を忘れてしまっている気がするんです。いい年こいたおっさんが旅に出ると言って、それを温かく受け入れてくれた人がいるのに、僕はその気持ちを失いかけていた気がするんです。
僕は本当に人の「温かさ」の中で生かされている。その感謝を、今一度刻まなければいけないと感じています。こんな文章でなく、頭でなく、心と魂に。
またよっさんが会いに来てくれる。今度はアフリカにまで。こんなに素晴らしいことなんてない。こんなに有り難いことなんてない。そのことを、僕は「魂で」感じなきゃいけないと思うんです。
よっさん、本当にどうもありがとう!
よっさんに対して、そして全ての人・もの・出来事に対して、もう一度「感謝」を刻んで、また明日から歩いていきます。
2013年11月24日。暑さの割に蚊が全然いなくてとても助かる、アスワンの安宿にて。
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