2013年11月27日。
《エジプトとは本当に面白い国で、買い物1つするのにも「交渉」が必要な国である。これがまた面白おかしくできるときもあるし、イライラの頂点に上り詰めるときもある。そんなエジプトのルクソールで僕は自転車をレンタルしたのだが、これがまた一筋縄にはいかないから、この国は面白い。》
※写真は、今日問題の自転車で駆け抜けた、ルクソール西岸の遺跡群の間の道のりです!
エジプト南部の街、ルクソール。数多くの古代エジプト遺跡が残るこの街には、たくさんの観光客が訪れる。
ルクソールに到着した翌日、僕は自転車で遺跡巡りをしようと思い、自転車を借りることに決めた。安宿のおっちゃんに自転車を借りたいと相談したら、すぐ前の自転車屋で安く貸してくれるから言ってみな、ということだった。
以前出会った日本人が「1日10ポンド(約150円)で借りられるよ」と言っていたので、僕も交渉して10ポンドまで下げるつもりでいた。
エジプトという国は「値段の無い国」である。つまり、ほとんどの商品に値札は貼られていない。極端に言えば「客と相談して、お互いに納得出来たらそれが値段」という国である。
もちろん、全てがそうであるわけではないし、現地の方と観光客とでは当然店側の対応も違ってくる。観光客に対しては、地元の方が取り引きしている価格の何倍もふっかけてくる。
そこで観光客側が納得して金を出せば、それが値段として成立するということなのだ。悪く言えば「ただのぼったくり」だし、良く言えば「交渉性の国」とも言えるだろうか。
本当にとんでもないふっかけ方をしてくる人もいる。3ポンドの水なのに15ポンドだと言ってきたり、1ポンドのボート料金を10ポンドだと言ってきたり。それをいちいち交渉して値下げをしていくのだから、体力を使う国なのだ(笑)。
さてそれはいいとして、僕は安宿から歩いて1分の自転車屋へと足を運んだ。
なかなかに年季の入った自転車屋だ。良く言えば老舗、悪く言えばボロボロなだけとでも言うべきか。お店の中には、これまた年季の入った自転車が上から吊るされている。その台数はけっこうなもので、小さな店内に20台くらいあっただろうか。
「すいません、明日1日自転車を借りたいんですが・・・」
「いいよ、大丈夫だぞ日本人!」
なんか感じのいいおっちゃんだ。これならスムーズに話が進むかな?
「いくらですか?」
「1日だと30ポンドだな。」
当然こう来る。ここからが交渉だ。
「あれ?僕の日本人の友達は、一昨日1日10ポンドで借りてますよ。30は高過ぎですよ!」
「10ポンド?そりゃダメだよ。20ポンドでどうだ?」
「いや、10ポンドで!」
「・・・15ポンドだ!」
「いや、10ポンド!ダメなら他の店に行きますよ?」
「・・・よし、10ポンドでいいよ・・・。」
という感じのやりとりを繰り返し、無事に目標の10ポンドを獲得!よし、サクサク値下げしてくれたし、順調な交渉だった!
さて自転車を借りて10ポンド払って、今日はもう終わりだな~と考えていたのだが、甘かった。ここからが、このおっちゃんとの戦いの幕開けだった。
おっちゃんは徐に1台の自転車を壁から降ろした。こいつぁまた古いやつを選びやがったな!まぁでも1日だけだし10ポンドだし、一応走れればそれでいいだろう。
ということで、降ろされた自転車を受け取り、さて乗るか・・・と思ったところでビックリ。あれ?何かおかしいぞ?
おいおいおい!サドルがねぇじゃねぇか!
いや、まぁ正確に言えばあるのだが、まるで針金の親分のようなイスらしき物体がついているだけではないか!こんなのに座って1日こいでいたら、俺の肛門が張り裂けて違う世界に行ってしまうわ!
「あの~すいません、サドルがないんですけど・・・。」
「サドル?あるじゃないか、ここが。」
と言って、針金の親分の先っぽを指さす。さすがはエジプト人。
「ちょっと待ってやおっちゃん、そりゃ無理でしょ!何とかして下さい!」
おっちゃんもさすがに分かっていたのだろう、奥から布に巻かれたサドルというか何というか・・・言葉では表現し難いイスを持ってきた。そして何分からないが、それはその自転車のサドルにバッチリフィットしたのだ。
やれやれ、これで解決だな、と思ったら・・・あれ?何かおかしいぞ?
おいおいおい、このチャリンコブレーキついてねぇぞ!いくらなんでもこれはシャレにならない。このオヤジはいったい何を考えて、この自転車を僕に渡したのだろう?
「コラおっちゃん!ブレーキがねぇぞ!こりゃいくらなんでもヤバイでしょ!」
「ブレーキ?大丈夫、足で止めればいいんだから!」
このセリフ、マジで言いましたからね(笑)!さて、第2ラウンドだな!
「ちょっとアンタはマジでアホですか?そんな危ない自転車乗れるわけないでしょう!今すぐブレーキつけて下さい!」
「・・・オッケー、10分待ってろ・・・!」
おっちゃんはしぶしぶ重い腰を上げ、ブレーキを取り付ける作業を始めた。こいつはもし僕が文句を言わなかったら、本当にこのまま貸すつもりだったのだろう、さっきのサドルの件も含めて。いや~エジプトってすごい国だね。
でも1つ凄かったのは、このおっちゃんお作業の速さ!本当にあっという間にブレーキを取り付けてしまった。その作業の手際の良さだけは誉めてやろう。ていうか、それが出来るんだったら、初めから取り付けておけ!
やれやれ、これで本当にオッケーだな、と思ったら・・・あれ?何かおかしいぞ?
おいおいおい、ペダル!片方ペダルがないよ!これじゃ漕げないよ!もう何なのよ、この自転車屋!
よ~し、やるか!第3ラウンド!もう腹くくったぜ!
「コラおっちゃん!これ見てみろこれ!どうやって漕ぐんだよ!」
「ペダルか?大丈夫、左側はあるじゃないか、それで行けるよ!」
このおっちゃん、マジで「You have left,no problem」って言いましたからね!最初はいいおっちゃんだから笑顔でしたが、段々闘志が沸いてきちゃいましたよホントに!
ということで、しぶしぶペダルを付け始めたおっちゃん。何やらアラビア語でブツブツ言っているし。何言ってても構わないですが、僕は間違ってないですよ、おっちゃん!
ということで、たった1台の自転車を借りるのに1時間以上かかってしまった。10ポンドに落ちるまでは順調だったのが、そこからが長い戦いだった・・・。
そしてようやく完成した我が自転車!とは言っても、ベースがボロボロの自転車であることに変わりはない。明日1日もつだろうか・・・。そんな不安を抱えながら、僕は自転車に試し乗りをしながら、安宿に戻った。(結果的には最後の最後で後輪がパンクをし、ちょっと苦労しましたが、何とか1日無事に任務を達成してくれました(笑)!)
夕方、1日一緒に戦ってくれた自転車を返しに、僕は自転車屋へと向かった。お店では、昨日のおっちゃんが何やら怒鳴り声を上げながら電話をしていた。
それを見て僕は「もういいや、一応軽く知らせるだけ知らせて、置いていってしまおう。」と思った。自転車がパンクしてしまったので、また「修理代で5ポンド払え!」とか言われた面倒臭いし・・・(笑)!そして僕は、おっちゃんに軽く目で合図を送って、自転車はお店の前に立てかけてそそくさと立ち去ってしまった。
ごめんねおっちゃん。でもおっちゃんだって、最初にとんでもない自転車をそのまま貸そうとしたんだから、おあいこでしょ!
いやいやいや、エジプトってホントに面白い国だ。こんなに面倒臭いのに、何故か憎めない。きっとまたいつか、この国に来るんだろうな~と思いながら、僕は夕飯の「コシャリ」を食べに街の中へ向かった。
2013年11月27日。昨日は全然いなかったのに、今日は天敵の蚊に苦しめられている、ルクソールの安宿にて。
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《エジプトとは本当に面白い国で、買い物1つするのにも「交渉」が必要な国である。これがまた面白おかしくできるときもあるし、イライラの頂点に上り詰めるときもある。そんなエジプトのルクソールで僕は自転車をレンタルしたのだが、これがまた一筋縄にはいかないから、この国は面白い。》
※写真は、今日問題の自転車で駆け抜けた、ルクソール西岸の遺跡群の間の道のりです!
エジプト南部の街、ルクソール。数多くの古代エジプト遺跡が残るこの街には、たくさんの観光客が訪れる。
ルクソールに到着した翌日、僕は自転車で遺跡巡りをしようと思い、自転車を借りることに決めた。安宿のおっちゃんに自転車を借りたいと相談したら、すぐ前の自転車屋で安く貸してくれるから言ってみな、ということだった。
以前出会った日本人が「1日10ポンド(約150円)で借りられるよ」と言っていたので、僕も交渉して10ポンドまで下げるつもりでいた。
エジプトという国は「値段の無い国」である。つまり、ほとんどの商品に値札は貼られていない。極端に言えば「客と相談して、お互いに納得出来たらそれが値段」という国である。
もちろん、全てがそうであるわけではないし、現地の方と観光客とでは当然店側の対応も違ってくる。観光客に対しては、地元の方が取り引きしている価格の何倍もふっかけてくる。
そこで観光客側が納得して金を出せば、それが値段として成立するということなのだ。悪く言えば「ただのぼったくり」だし、良く言えば「交渉性の国」とも言えるだろうか。
本当にとんでもないふっかけ方をしてくる人もいる。3ポンドの水なのに15ポンドだと言ってきたり、1ポンドのボート料金を10ポンドだと言ってきたり。それをいちいち交渉して値下げをしていくのだから、体力を使う国なのだ(笑)。
さてそれはいいとして、僕は安宿から歩いて1分の自転車屋へと足を運んだ。
なかなかに年季の入った自転車屋だ。良く言えば老舗、悪く言えばボロボロなだけとでも言うべきか。お店の中には、これまた年季の入った自転車が上から吊るされている。その台数はけっこうなもので、小さな店内に20台くらいあっただろうか。
「すいません、明日1日自転車を借りたいんですが・・・」
「いいよ、大丈夫だぞ日本人!」
なんか感じのいいおっちゃんだ。これならスムーズに話が進むかな?
「いくらですか?」
「1日だと30ポンドだな。」
当然こう来る。ここからが交渉だ。
「あれ?僕の日本人の友達は、一昨日1日10ポンドで借りてますよ。30は高過ぎですよ!」
「10ポンド?そりゃダメだよ。20ポンドでどうだ?」
「いや、10ポンドで!」
「・・・15ポンドだ!」
「いや、10ポンド!ダメなら他の店に行きますよ?」
「・・・よし、10ポンドでいいよ・・・。」
という感じのやりとりを繰り返し、無事に目標の10ポンドを獲得!よし、サクサク値下げしてくれたし、順調な交渉だった!
さて自転車を借りて10ポンド払って、今日はもう終わりだな~と考えていたのだが、甘かった。ここからが、このおっちゃんとの戦いの幕開けだった。
おっちゃんは徐に1台の自転車を壁から降ろした。こいつぁまた古いやつを選びやがったな!まぁでも1日だけだし10ポンドだし、一応走れればそれでいいだろう。
ということで、降ろされた自転車を受け取り、さて乗るか・・・と思ったところでビックリ。あれ?何かおかしいぞ?
おいおいおい!サドルがねぇじゃねぇか!
いや、まぁ正確に言えばあるのだが、まるで針金の親分のようなイスらしき物体がついているだけではないか!こんなのに座って1日こいでいたら、俺の肛門が張り裂けて違う世界に行ってしまうわ!
「あの~すいません、サドルがないんですけど・・・。」
「サドル?あるじゃないか、ここが。」
と言って、針金の親分の先っぽを指さす。さすがはエジプト人。
「ちょっと待ってやおっちゃん、そりゃ無理でしょ!何とかして下さい!」
おっちゃんもさすがに分かっていたのだろう、奥から布に巻かれたサドルというか何というか・・・言葉では表現し難いイスを持ってきた。そして何分からないが、それはその自転車のサドルにバッチリフィットしたのだ。
やれやれ、これで解決だな、と思ったら・・・あれ?何かおかしいぞ?
おいおいおい、このチャリンコブレーキついてねぇぞ!いくらなんでもこれはシャレにならない。このオヤジはいったい何を考えて、この自転車を僕に渡したのだろう?
「コラおっちゃん!ブレーキがねぇぞ!こりゃいくらなんでもヤバイでしょ!」
「ブレーキ?大丈夫、足で止めればいいんだから!」
このセリフ、マジで言いましたからね(笑)!さて、第2ラウンドだな!
「ちょっとアンタはマジでアホですか?そんな危ない自転車乗れるわけないでしょう!今すぐブレーキつけて下さい!」
「・・・オッケー、10分待ってろ・・・!」
おっちゃんはしぶしぶ重い腰を上げ、ブレーキを取り付ける作業を始めた。こいつはもし僕が文句を言わなかったら、本当にこのまま貸すつもりだったのだろう、さっきのサドルの件も含めて。いや~エジプトってすごい国だね。
でも1つ凄かったのは、このおっちゃんお作業の速さ!本当にあっという間にブレーキを取り付けてしまった。その作業の手際の良さだけは誉めてやろう。ていうか、それが出来るんだったら、初めから取り付けておけ!
やれやれ、これで本当にオッケーだな、と思ったら・・・あれ?何かおかしいぞ?
おいおいおい、ペダル!片方ペダルがないよ!これじゃ漕げないよ!もう何なのよ、この自転車屋!
よ~し、やるか!第3ラウンド!もう腹くくったぜ!
「コラおっちゃん!これ見てみろこれ!どうやって漕ぐんだよ!」
「ペダルか?大丈夫、左側はあるじゃないか、それで行けるよ!」
このおっちゃん、マジで「You have left,no problem」って言いましたからね!最初はいいおっちゃんだから笑顔でしたが、段々闘志が沸いてきちゃいましたよホントに!
ということで、しぶしぶペダルを付け始めたおっちゃん。何やらアラビア語でブツブツ言っているし。何言ってても構わないですが、僕は間違ってないですよ、おっちゃん!
ということで、たった1台の自転車を借りるのに1時間以上かかってしまった。10ポンドに落ちるまでは順調だったのが、そこからが長い戦いだった・・・。
そしてようやく完成した我が自転車!とは言っても、ベースがボロボロの自転車であることに変わりはない。明日1日もつだろうか・・・。そんな不安を抱えながら、僕は自転車に試し乗りをしながら、安宿に戻った。(結果的には最後の最後で後輪がパンクをし、ちょっと苦労しましたが、何とか1日無事に任務を達成してくれました(笑)!)
夕方、1日一緒に戦ってくれた自転車を返しに、僕は自転車屋へと向かった。お店では、昨日のおっちゃんが何やら怒鳴り声を上げながら電話をしていた。
それを見て僕は「もういいや、一応軽く知らせるだけ知らせて、置いていってしまおう。」と思った。自転車がパンクしてしまったので、また「修理代で5ポンド払え!」とか言われた面倒臭いし・・・(笑)!そして僕は、おっちゃんに軽く目で合図を送って、自転車はお店の前に立てかけてそそくさと立ち去ってしまった。
ごめんねおっちゃん。でもおっちゃんだって、最初にとんでもない自転車をそのまま貸そうとしたんだから、おあいこでしょ!
いやいやいや、エジプトってホントに面白い国だ。こんなに面倒臭いのに、何故か憎めない。きっとまたいつか、この国に来るんだろうな~と思いながら、僕は夕飯の「コシャリ」を食べに街の中へ向かった。
2013年11月27日。昨日は全然いなかったのに、今日は天敵の蚊に苦しめられている、ルクソールの安宿にて。
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