2014年3月13日。
《ちょっと前の出来事ですが、悲しい物語を1つ。スペインには日本人観光客がたくさんいるので、ふと思い出してしまいました。三十路男の悲哀ストーリー。どうぞお読み下さい・・・。》
ドバイ空港でのことだ。その日、僕は予定していた飛行機がまさかの欠航になり、1人途方に暮れていた。
航空会社からの情報も確かなものはなく、乗客はみんなイライラをつのらせていた。もちろん僕もそうだった。困ったなぁ・・・と1人思っていたところ、同じ便に乗っていた日本人女性2人組を発見した。
とりあえず一度全員レストランに集まって、今後のことについては説明があるという情報だけは入手していたので、僕はその2人に伝えに行った。もちろん何の下心もない。彼女だちが日本人だというのは、日本語のガイドブックを読んでいたのを見ていたので知っていたのだ。敢えて言うなら、ちょっと1人で寂しかったので、日本人と話したいな~くらいには思っていたのは事実だが・・・。
その後少しだけ、彼女たちと行動を共にした。とにかく航空会社からの情報が何もなかったので、みんな困り果てていたのだ。とりあえずもらうことができた食事券で一緒に食事をしたり、色々と世間話をしていた。繰り返すが、もちろん下心などなかった。
夜の9時を回っていたであろうか、何やら動きがあった。僕は「ちょっと様子を見てきますね」と立ち上がり、航空会社のカウンターに行った。
彼女たちは「はい、じゃあ待ってます」と返事をしてくれた。
カウンターに行くと、翌日の便が確保できたのだ。僕は急いで彼女たちと一緒にいた場所に戻り、今カウンターに行けばチケットがゲット出来ることを伝えに行った。しかし・・・。
その場所に、2人はいなかった。
そこそこ長い時間カウンターにいたし、トイレにでも行ったのかな~と思いつつ、彼女たちもチケットが早く取れるようにと、その付近を探し回った。こういうケースでは航空会社は平気でオーバーブッキングをやらかしてきやがるので、早くにチケットを取っておかないと危険だからだ。
しかし彼女たちを見つけることができなかった。一言伝えたかったのだが、いないものは仕方ない。僕は空港の端の方の座席に横になり、一夜を明かした。
翌日。
僕は確保したフライトの搭乗口に向かった。すると、その2人がいたのだ。「ああ、チケット取れたんだな、よかったよかった」と思って話し掛けようと思ったその時・・・。
サササッと逃げられたのだ。
悲しかった。
やっぱり変なオッサンと思われたのかな・・・。
繰り返すが、僕に下心なんて全くなかった。数少ない日本人の乗客だったので話し掛けただけで、それ以上でもそれ以下でもない。自分に怪しい雰囲気が出ていたのか、それとも本当に怪しいオッサンに本当になってしまったのか・・・。
でも、冷静に考えてみた。
僕は長く旅をしているバックパッカーだ。僕らみたいな旅人にとっては日本人の旅人というのはまさに「同志」であって、そこで交わされる情報などはとても重要なのだ。場合によってはそのままタクシーや宿の部屋をシェアし、値段を安く抑えたりもする。困っている状況でお互いに話をして助け合うのは、とても重要なことなのだ。
しかし、彼女たちはそういう立場ではない。彼女たちは大学生で、1週間程度の旅行だと言っていた。つまり、次にどこに泊まるかということや移動の手配、あるいはツアーまで、ビッチリ決めて日本を出ているわけだ。
嫌な言い方になってしまうが、わざわざ他の日本人と関わる必要もないわけだ。それなのに、僕はそこに割って入ってしまった。せっかく仲の良い女の子2人で旅行をしているのに、でっかいバックパックを担いだ変なおっちゃんが話し掛けてきたら、そりゃウザイよな・・・。
ということは、彼女たちはそんなウザイオッサンの僕と一緒に、昨夜はメシを食べてくれたわけだ。なんと心の広い御二方ではないか・・・!
最初は「なんだよコラ!こんちくしょーめ!」くらいに思ってしまったが、冷静に考えたら、僕が彼女たちの旅行のリズムを狂わせてしまったのかもしれない。そう思うと、オッサンは1人悲しくなってしまった。
そして皮肉なことに、その日の飛行機の座席は割と近い席だったのだ。しかし、僕らはもう話すことはなかった。僕も申し訳ない気持ちになってしまったし、ちょいちょいすれ違っても目を合わせることもなかった。
「だから何?」って話ですよね?いや、でもですね、なんか色々考えさせられたんですよ。ぶっちゃけちょっと寂しかったし(笑)。
ただ改めて思いました。旅人と旅行者は違うんだって。同じ感覚で見ちゃいけないんだなって・・・。
スペインの街を歩いていると、驚くほどたくさんの日本人観光客がいる。でも、彼ら彼女らはみんな「旅行者」であって、「旅人」ではない。同じに見てはいけないのだ。
スペインの街を歩いていて、そんな「ドバイ空港・悲哀物語」を思い出しました。ご精読、ありがとうございました・・・(笑)。
2014年3月13日。とっても綺麗で雰囲気も良い、バルセロナの安宿にて。
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《ちょっと前の出来事ですが、悲しい物語を1つ。スペインには日本人観光客がたくさんいるので、ふと思い出してしまいました。三十路男の悲哀ストーリー。どうぞお読み下さい・・・。》
ドバイ空港でのことだ。その日、僕は予定していた飛行機がまさかの欠航になり、1人途方に暮れていた。
航空会社からの情報も確かなものはなく、乗客はみんなイライラをつのらせていた。もちろん僕もそうだった。困ったなぁ・・・と1人思っていたところ、同じ便に乗っていた日本人女性2人組を発見した。
とりあえず一度全員レストランに集まって、今後のことについては説明があるという情報だけは入手していたので、僕はその2人に伝えに行った。もちろん何の下心もない。彼女だちが日本人だというのは、日本語のガイドブックを読んでいたのを見ていたので知っていたのだ。敢えて言うなら、ちょっと1人で寂しかったので、日本人と話したいな~くらいには思っていたのは事実だが・・・。
その後少しだけ、彼女たちと行動を共にした。とにかく航空会社からの情報が何もなかったので、みんな困り果てていたのだ。とりあえずもらうことができた食事券で一緒に食事をしたり、色々と世間話をしていた。繰り返すが、もちろん下心などなかった。
夜の9時を回っていたであろうか、何やら動きがあった。僕は「ちょっと様子を見てきますね」と立ち上がり、航空会社のカウンターに行った。
彼女たちは「はい、じゃあ待ってます」と返事をしてくれた。
カウンターに行くと、翌日の便が確保できたのだ。僕は急いで彼女たちと一緒にいた場所に戻り、今カウンターに行けばチケットがゲット出来ることを伝えに行った。しかし・・・。
その場所に、2人はいなかった。
そこそこ長い時間カウンターにいたし、トイレにでも行ったのかな~と思いつつ、彼女たちもチケットが早く取れるようにと、その付近を探し回った。こういうケースでは航空会社は平気でオーバーブッキングをやらかしてきやがるので、早くにチケットを取っておかないと危険だからだ。
しかし彼女たちを見つけることができなかった。一言伝えたかったのだが、いないものは仕方ない。僕は空港の端の方の座席に横になり、一夜を明かした。
翌日。
僕は確保したフライトの搭乗口に向かった。すると、その2人がいたのだ。「ああ、チケット取れたんだな、よかったよかった」と思って話し掛けようと思ったその時・・・。
サササッと逃げられたのだ。
悲しかった。
やっぱり変なオッサンと思われたのかな・・・。
繰り返すが、僕に下心なんて全くなかった。数少ない日本人の乗客だったので話し掛けただけで、それ以上でもそれ以下でもない。自分に怪しい雰囲気が出ていたのか、それとも本当に怪しいオッサンに本当になってしまったのか・・・。
でも、冷静に考えてみた。
僕は長く旅をしているバックパッカーだ。僕らみたいな旅人にとっては日本人の旅人というのはまさに「同志」であって、そこで交わされる情報などはとても重要なのだ。場合によってはそのままタクシーや宿の部屋をシェアし、値段を安く抑えたりもする。困っている状況でお互いに話をして助け合うのは、とても重要なことなのだ。
しかし、彼女たちはそういう立場ではない。彼女たちは大学生で、1週間程度の旅行だと言っていた。つまり、次にどこに泊まるかということや移動の手配、あるいはツアーまで、ビッチリ決めて日本を出ているわけだ。
嫌な言い方になってしまうが、わざわざ他の日本人と関わる必要もないわけだ。それなのに、僕はそこに割って入ってしまった。せっかく仲の良い女の子2人で旅行をしているのに、でっかいバックパックを担いだ変なおっちゃんが話し掛けてきたら、そりゃウザイよな・・・。
ということは、彼女たちはそんなウザイオッサンの僕と一緒に、昨夜はメシを食べてくれたわけだ。なんと心の広い御二方ではないか・・・!
最初は「なんだよコラ!こんちくしょーめ!」くらいに思ってしまったが、冷静に考えたら、僕が彼女たちの旅行のリズムを狂わせてしまったのかもしれない。そう思うと、オッサンは1人悲しくなってしまった。
そして皮肉なことに、その日の飛行機の座席は割と近い席だったのだ。しかし、僕らはもう話すことはなかった。僕も申し訳ない気持ちになってしまったし、ちょいちょいすれ違っても目を合わせることもなかった。
「だから何?」って話ですよね?いや、でもですね、なんか色々考えさせられたんですよ。ぶっちゃけちょっと寂しかったし(笑)。
ただ改めて思いました。旅人と旅行者は違うんだって。同じ感覚で見ちゃいけないんだなって・・・。
スペインの街を歩いていると、驚くほどたくさんの日本人観光客がいる。でも、彼ら彼女らはみんな「旅行者」であって、「旅人」ではない。同じに見てはいけないのだ。
スペインの街を歩いていて、そんな「ドバイ空港・悲哀物語」を思い出しました。ご精読、ありがとうございました・・・(笑)。
2014年3月13日。とっても綺麗で雰囲気も良い、バルセロナの安宿にて。
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