2014年3月21日。
《久し振りの「チャイナ!」「ニーハオ!」からまさかの自己反省へ・・・。ベルギーで起きた、とある日本人青年(中年?)の小話でございます。》
その日、彼はベルギーの首都ブリュッセルに到着した。
時間は朝の6時半。例によって夜行バスでの移動だった。昨夜はドーバー海峡をフェリーで越えたため、バスからも降ろされほぼ全く寝ることができなかった。彼はかなりの疲労困憊で辿り着いたのだった。
「うお~、ようやく着いたぜブリュッセル!しかし眠いぜ・・・。」
久し振りに彼は本当に眠かった。それに追い打ちをかけるように、暗闇の中を霧雨が待っていた。堕ちかける眼とテンションに負けまいと、彼はバックパックを背負い駅へと向かった。
とその時・・・。
久し振りに、あの声を掛けられたのだ。
「ヘイ!チャイナ!」
彼はビックリした。ヨーロッパでは決して掛けられることのなかったあの声。まさかベルギーで最初に話し掛けられた言葉が、あの言葉になるとは・・・。
眠くてイライラしていた彼は、思わず返してしまった。
「シャラップ!」
すると、間髪入れずにこう帰ってきた。
「ファックユー、チャイニーズ!」
「ファックユーと来たか・・・。しまった、思わずシャラップと言ってしまった。いかんいかん、それは良くないぞ。」
彼はちょっと反省した。眠くてイライラしていたのもあり、思わず感情的になってしまった自分を省みていた。しかし、こんなこともあるのだろうか、またすぐに彼に例の言葉を浴びせてきたオッサンがいたのだ。
「ハーイ、ニーハオ!」
彼は無視をした。そして考えた。ベルギーとはいったいどういう国なのかと。もちろんたかが2回例の言葉を言われただけでどうこう判断できるものではないが、入国後わずか10分足らずの間での出来事であり、彼に与えたインパクトは大きかったのだ。
ボーッとした頭を何とか立て直しながら宿まで辿り着いた彼は、荷物を置き、早速街に繰り出した。本当は少し寝てから動きたかったのだが、なんとこの宿は10時から14時まで清掃のため完全に退館せねばならず、ロビーなどにさえいることができなかったのだ。
「こりゃしんどいな、早めに帰ってきてちょっと寝ようかな。」
そう思って街に出たものの・・・今日はついてないようだ。小降りだった雨が徐々に強くなってきたのだ。
宿に戻ろうとも中に入ることも出来ない。仕方ないので彼は安い折り畳み傘を買うことにした。これから旅の続きもまだあるし、傘は1つあった方がよい。そう考えた彼はある店に入ったのだが・・・。
ここからが事件だ。
彼は店員に「チャイニーズ?」と質問された。
当然彼は「ノー、ジャパニーズ」と答えた。するとその店員は世にもムカつく態度を取ったのだ。
両手を左右に広げ、「いいや、アナタはチャイニーズだ。ジャパニーズじゃない。」と言い張るのだ。
「は?何言ってんだこいつ?」と思いながら、彼はもう一度自分はジャパニーズだと言った。
それでも彼は認めない。「いや、アナタはチャイニーズだ。」と言い切る。
彼は「なんで俺の言うことを信じないんだ?」と問いただしてみた。その解答に、彼は彼は困惑した。
「ジャパニーズはもっと穏やかだ。いつもリラックスしている。でもアナタはイライラしている。だからジャパニーズじゃない、私には分かる。」
彼は憤慨した。買おうとしていた傘をレジに叩き付け、店を出た。
彼は怒りを感じてはいたが、それ以上に自らを振り返っていた。それには理由があるのだ。
理由①:スペインでの安宿。
彼はスペインの安宿に宿泊するとき、2回も同じことを聞かれたことを思い出した。「どうしたの?怒っているの?」と。いずれも夜行バス明けで街に着いた時のことである。もちろん怒ってなどいない。今回だってそうだ。
「ヤバイな俺、そんなに怒っているように見えるのかな・・・。」
理由②:イライラいしている=チャイニーズ、という偏見。
イライラしているからチャイニーズだというのはあくまであの店員が言ったことでさて置き、もしそれほどまでにイライラした態度を表に出していたのだとしたら・・・僕はここしばらく、嫌なオーラを出し続けていたことになる。それにそれで「自分は日本人だ」」と語っていたとしたら、「嫌な日本人」を世界に広げていたことになる。
しかもフェイスブックを通じて、ある知人から「最近目つきがきついですね」と、冗談半分でメッセージをもらっていたりもしたのだ。
「ヤバイ、俺そんなに嫌な感じになっていたのかな・・・。」
彼は自分でも分かっていた。ここのところのハードな移動と、ちょっと何かと上手くいかないことがしばらく重なっていて、彼自身イライラしていたことを。
彼は思った。
「チャイナ!」とか「ニーハオ!」とか言われてイライラする前に、まずは己を省みなければならないと。店員の発言や態度は確かにムカつくものだったし、恐らくアジア人そのものをバカにしていたと思う。しかし、その言葉にイラつく前に、己をよ~く見つめなさい、だと。
彼の好きな言葉に、相田みつを氏のこんな詩がある。
「良いことはおかげさま。悪いことは身から出た錆。」
良いことが起きた時は周りに感謝し、逆に悪いことが起きた時は周りのせいにするのではなく、己の責を考えなさい、という意味だ。
掛けられた声にいちいちイライラするのではなく、せっかくやって来た新しい国に疑問を感じるのではなく、まずは自分を見つめ直せということ。悪いことが起きた時は、自分にも何かしらの非がある。周りにイライラするのではなく、自分にも何か悪いところがあるのではないかと真摯に見つめ直しなさい。
最初はイライラしまくっていた彼だが、冷静に考えるようになった。
「人のせいにしても何も始まらんよな。人より自分。まずは自分をしっかり立て直さないと・・・!」
ヨーロッパ中央部にある小国・ベルギー。とっても刺激的な初日になった。
「よし、まずは人より自分!」夕方から晴れてきたブリュッセルの夕日を見つめながら、彼は改めて思うのだった。
以上、とある日本人青年(中年?)の小話でございました・・・。
※なんかスッキリしたので、あの有名な小便小僧の前でベルギーワッフルを食ってやりました~(笑)!
2014年3月21日。合宿所みたいでちょっと微妙な雰囲気のブリュッセルの安宿にて。
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《久し振りの「チャイナ!」「ニーハオ!」からまさかの自己反省へ・・・。ベルギーで起きた、とある日本人青年(中年?)の小話でございます。》
その日、彼はベルギーの首都ブリュッセルに到着した。
時間は朝の6時半。例によって夜行バスでの移動だった。昨夜はドーバー海峡をフェリーで越えたため、バスからも降ろされほぼ全く寝ることができなかった。彼はかなりの疲労困憊で辿り着いたのだった。
「うお~、ようやく着いたぜブリュッセル!しかし眠いぜ・・・。」
久し振りに彼は本当に眠かった。それに追い打ちをかけるように、暗闇の中を霧雨が待っていた。堕ちかける眼とテンションに負けまいと、彼はバックパックを背負い駅へと向かった。
とその時・・・。
久し振りに、あの声を掛けられたのだ。
「ヘイ!チャイナ!」
彼はビックリした。ヨーロッパでは決して掛けられることのなかったあの声。まさかベルギーで最初に話し掛けられた言葉が、あの言葉になるとは・・・。
眠くてイライラしていた彼は、思わず返してしまった。
「シャラップ!」
すると、間髪入れずにこう帰ってきた。
「ファックユー、チャイニーズ!」
「ファックユーと来たか・・・。しまった、思わずシャラップと言ってしまった。いかんいかん、それは良くないぞ。」
彼はちょっと反省した。眠くてイライラしていたのもあり、思わず感情的になってしまった自分を省みていた。しかし、こんなこともあるのだろうか、またすぐに彼に例の言葉を浴びせてきたオッサンがいたのだ。
「ハーイ、ニーハオ!」
彼は無視をした。そして考えた。ベルギーとはいったいどういう国なのかと。もちろんたかが2回例の言葉を言われただけでどうこう判断できるものではないが、入国後わずか10分足らずの間での出来事であり、彼に与えたインパクトは大きかったのだ。
ボーッとした頭を何とか立て直しながら宿まで辿り着いた彼は、荷物を置き、早速街に繰り出した。本当は少し寝てから動きたかったのだが、なんとこの宿は10時から14時まで清掃のため完全に退館せねばならず、ロビーなどにさえいることができなかったのだ。
「こりゃしんどいな、早めに帰ってきてちょっと寝ようかな。」
そう思って街に出たものの・・・今日はついてないようだ。小降りだった雨が徐々に強くなってきたのだ。
宿に戻ろうとも中に入ることも出来ない。仕方ないので彼は安い折り畳み傘を買うことにした。これから旅の続きもまだあるし、傘は1つあった方がよい。そう考えた彼はある店に入ったのだが・・・。
ここからが事件だ。
彼は店員に「チャイニーズ?」と質問された。
当然彼は「ノー、ジャパニーズ」と答えた。するとその店員は世にもムカつく態度を取ったのだ。
両手を左右に広げ、「いいや、アナタはチャイニーズだ。ジャパニーズじゃない。」と言い張るのだ。
「は?何言ってんだこいつ?」と思いながら、彼はもう一度自分はジャパニーズだと言った。
それでも彼は認めない。「いや、アナタはチャイニーズだ。」と言い切る。
彼は「なんで俺の言うことを信じないんだ?」と問いただしてみた。その解答に、彼は彼は困惑した。
「ジャパニーズはもっと穏やかだ。いつもリラックスしている。でもアナタはイライラしている。だからジャパニーズじゃない、私には分かる。」
彼は憤慨した。買おうとしていた傘をレジに叩き付け、店を出た。
彼は怒りを感じてはいたが、それ以上に自らを振り返っていた。それには理由があるのだ。
理由①:スペインでの安宿。
彼はスペインの安宿に宿泊するとき、2回も同じことを聞かれたことを思い出した。「どうしたの?怒っているの?」と。いずれも夜行バス明けで街に着いた時のことである。もちろん怒ってなどいない。今回だってそうだ。
「ヤバイな俺、そんなに怒っているように見えるのかな・・・。」
理由②:イライラいしている=チャイニーズ、という偏見。
イライラしているからチャイニーズだというのはあくまであの店員が言ったことでさて置き、もしそれほどまでにイライラした態度を表に出していたのだとしたら・・・僕はここしばらく、嫌なオーラを出し続けていたことになる。それにそれで「自分は日本人だ」」と語っていたとしたら、「嫌な日本人」を世界に広げていたことになる。
しかもフェイスブックを通じて、ある知人から「最近目つきがきついですね」と、冗談半分でメッセージをもらっていたりもしたのだ。
「ヤバイ、俺そんなに嫌な感じになっていたのかな・・・。」
彼は自分でも分かっていた。ここのところのハードな移動と、ちょっと何かと上手くいかないことがしばらく重なっていて、彼自身イライラしていたことを。
彼は思った。
「チャイナ!」とか「ニーハオ!」とか言われてイライラする前に、まずは己を省みなければならないと。店員の発言や態度は確かにムカつくものだったし、恐らくアジア人そのものをバカにしていたと思う。しかし、その言葉にイラつく前に、己をよ~く見つめなさい、だと。
彼の好きな言葉に、相田みつを氏のこんな詩がある。
「良いことはおかげさま。悪いことは身から出た錆。」
良いことが起きた時は周りに感謝し、逆に悪いことが起きた時は周りのせいにするのではなく、己の責を考えなさい、という意味だ。
掛けられた声にいちいちイライラするのではなく、せっかくやって来た新しい国に疑問を感じるのではなく、まずは自分を見つめ直せということ。悪いことが起きた時は、自分にも何かしらの非がある。周りにイライラするのではなく、自分にも何か悪いところがあるのではないかと真摯に見つめ直しなさい。
最初はイライラしまくっていた彼だが、冷静に考えるようになった。
「人のせいにしても何も始まらんよな。人より自分。まずは自分をしっかり立て直さないと・・・!」
ヨーロッパ中央部にある小国・ベルギー。とっても刺激的な初日になった。
「よし、まずは人より自分!」夕方から晴れてきたブリュッセルの夕日を見つめながら、彼は改めて思うのだった。
以上、とある日本人青年(中年?)の小話でございました・・・。
※なんかスッキリしたので、あの有名な小便小僧の前でベルギーワッフルを食ってやりました~(笑)!
2014年3月21日。合宿所みたいでちょっと微妙な雰囲気のブリュッセルの安宿にて。
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