モノトーンでのときめき

ときめかなくなって久しいことに気づいた私は、ときめきの探検を始める。

レオノチスセージ(Leonotis sage)の花

2011-11-06 16:06:32 | セージ&サルビア
好天気が続いたので霜が落ちる前にすべり込みセーフで開花した。

(写真)レオノチスセージの花


Lion's Tail(ライオンの尻尾)と呼ばれる「レオノチスセージ(Leonotis sage)」、 どこが“ライオンの尻尾”なのだろうかと考えていたが、その立ち姿にあるのだろうと思うようになって来た。

200cm程に直立に伸び、基部は木質化しライオンが尻尾を立てたときの姿に似る。
上部に花が輪生しオレンジ色の大きな花が咲く。まるで尻尾に結んだリボンのようで、タイヨウチョウ(sunbird)をひきつける。
花は上部に向って咲き、タイヨウチョウが空中で停止(ホバリング)しながら長いくちばしを使い花の蜜を吸うときに花粉を着けやすい形をしている。しかも移動を少なくするため輪生して咲く。ぱっと見た目が奇抜でも、生き残った形には合理的な理由があることがわかる。
葉は対生し、細長い披針形のダークグリーン色でシャープでスリムな全体の印象をかもし出している。

このレオノチスセージ、セージと呼ばれているがサルビア属の植物ではない。
薬草として使われていたのでセージと名づけられているが、レオノチス属(Leonotis)に分類され、属名はブラウン(Brown, Robert 1773-1858)によって1810年に命名され、レオノチスセージ(Leonotis leonurus (L.) R.Br. (1811))は、翌年1811年にブラウンによって命名された。

命名者ロバート・ブラウンと採取者?
 
(出典)Australian National University

このブラウンはスコットランド生まれの植物学者で、多くのプラントハンターを海外に派遣したバンクス卿の支援を受け1801-1805年までオーストラリア探検隊に加わり数多くの新種の標本を持ち帰り、その成果を1810年に「Prodromus Florae Novae Hollandiae」として発表した。
帰国後はバンクス卿のアシスタントとしてバンクス卿が集めた植物コレクションの分類・研究を行い、1825年に被子植物と裸子植物の違いを最初に見分け、1827年には“ブラウン運動”として有名になる水面上に浮かべた花粉が破裂すると中から出てきた微粒子が不規則に動くことを発見した。ブラウン運動の原因は、ブラウンの没後1905年にアインシュタインによって解明された。

ブラウンは南アフリカに旅行していないので彼が採取して命名したわけではない。命名したのが1811年なので、これ以前に南アフリカにプラントハンティングに出かけ、バンクス卿に植物標本を送った人物となる。

(地図)フランシス・マッソンのプラトハンティングの旅

(出典)モノトーンでのときめき

可能性があるのは、マッソン(Masson, Francis 1741-1805)だろう。彼は、二回(1772-1775年、1786-1795年)南アフリカに旅していて、ケープタウンを基地として南部アフリカの奥地までプラントハンティングをしたので住民に重宝な薬草として使われていたこの植物が目に留まらないわけがない。そしてキューガーデンに採取した植物を送っていたのでその中に紛れ込んでいた可能性がある。
しかし、確証がない。

キューガーデンの記録にレオノチスセージ(Leonotis leonurus)の採取者としてあげられている中で、採取した時期は不明だがもう一人可能性がありそうな人物がいた。
バーチェル・ウイリアム(Burchell, William John 1781-1863)だ。
彼は、1810年に南アフリカケープに旅立ち、この地で5年間もの間内陸部を探検して5万もの標本を採取し1815年に英国のフルハムに戻っているので、可能性として否定できない。

Wild Dagga(野生のマリファナ)
南アフリカの伝統的な薬草として、咳、寒さ、インフルエンザ、胸部感染症、糖尿病、高血圧、湿疹、癲癇、遅れる月経、回虫、便秘、クモ、サソリ、蛇にかまれた傷に対する特効薬として使われていたようだが、効果がないところまで使われていたようだ。
また、Wild Dagga(野生のマリファナ)と呼ばれているように、アメリカ大陸以外にはタバコの原種がなかったので、タバコとして乾燥させた葉を喫煙していたようだが、煙は、不快な味覚があって、肺とのどへの刺激物であることが報告されている。(これをタバコというんだけど・・・)

いずれにしても、この薬草を大量に使用すると、器官・赤血球・白血球等に毒物的な悪い作用があることをネズミを使った動物実験であったようなので、花としての鑑賞にとどめた方がよさそうだ。

(写真)レオノチスセージの立ち姿
 

レオノチスセージ(Leonotis leonurus)
・ シソ科レオノチス属の耐寒性が弱い小潅木。
・ 学名はLeonotis leonurus (L.) R.Br. (1811)。英名はLion's Tail(ライオンの尻尾) Wild Dagga(野生のマリファナ)。日本の園芸市場では“レオノチスセージ”で流通。
・ 学名の命名者「R.Br.」は、Brown, Robert (1773-1858)
・ 原産地は南アフリカ、アンゴラで、草原、岩の多い荒地に生息する。
・ タバコのように喫煙される比較的無毒な南アフリカのハーブ
・ 樹高120-200cmで直立に育つ。ダークグリーンで披針形の細長い葉は対生し、葉の付け根に輪生して蕾をつける。
・ 開花期は晩夏から霜が落ちる晩秋にオレンジ色の花が咲く。
・ 土壌は、乾燥気味に育てる。
・ 関東以北では鉢植えで冬場は軒下・室内・温室で育てる。
・ 南アフリカではあらゆる病気に使われた薬草で、抗炎症性・低血糖特性効果があるようだ。

Leonotis は、“Lion's ear”を意味するラテンでシソ科レオノチス属の植物の総称。南アフリカに約20種が分布し、葉は披針形、花は白か橙色で葉腋(ようえき)に密につく。花後も萼(がく)が葉腋ごとに球状に残る。この属名はRobert Brown によって1810年に名づけられた。
Leonurusは、“Lion's tail(ライオンの尻尾)”を意味する。


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