モノトーンでのときめき

ときめかなくなって久しいことに気づいた私は、ときめきの探検を始める。

スノーフレーク・ゼラニウム(Pelargonium graveolens 'Snowflake')の花

2014-05-06 06:11:21 | ペラルゴニウム&ゼラニウム
(写真)Pelargonium graveolens 'Snowflake'の花
 
日本での流通名のスノーフレークゼラニウム(学名:Pelargonium graveolens 'Snowflake'、ペラルゴニウム・グラビオレンス"スノーフレーク")は、香りゼラニウムの仲間であり葉に特色がある。
明るい緑色の大き目の葉からはローズの香りがし、3月頃まではその葉に白い斑が入っていた。

この白い斑入りを雪の結晶が葉に舞い落ちた様と見て"スノーフレーク"(雪片、せっぺん)と名付けたようだが、陽の光が強い四月ともなると淡雪が溶けるがごとく消えてしまった。ここまでを含めて"スノーフレーク"と名付けたとしたら素晴らしいセンスだ。

ピンクの花はちょっと大きめで、全体の姿としてはバランスが取れていて美しい。

スノーフレークの親に当たるPelargonium graveolensは、バラの香りがするのでローズゼラニウムとも呼ばれ、葉・茎を蒸留して精油を精製するのに使われる。
特に、アフリカ東岸にあるマダガスカル島からさらに東方のインド洋上に浮かぶ火山島レユニオン島(旧、ブルボン島)は高品質な精油が取れるので知られており、この精油をゼラニウム・ブルボンと呼ばれている。

このフランスの海外にある県レユニオン島は、現在の我々が享受しているコーヒー、バラ及びローズゼラニウムで重要な品種を産出している。
外界から隔離された島という環境が限りなく原種に近いコーヒーのブルボン種を守り育て、余計な品種が入ってこなかったがゆえに近代のバラ、ティーローズの一方の親となるブルボン・ローズという自然交配種を生み出し、原種に近いローズゼラニウムがあったところとして知られている。

外界からの新規参入がなく進化もせず古色蒼然としているものを“ガラパゴス化”といっているようであり、日本独特の規格である携帯電話もガラケイ(ガラパゴス携帯)などと呼ばれている。
しかし、植物の世界では、原種及び原種に近いものが生き残っている価値ある状況が考えられるので、マダガスカル島、レユニオン島など実に素晴らしい。

(写真)Pelargonium graveolens 'Snowflake'の立ち姿
 

スノーフレーク・ゼラニウム
・フウロソウ科ペラルゴニウム属の耐寒性が弱い多年草
・学名は、Pelargonium graveolens 'Snowflake'。南アフリカ原産のPelargonium graveolensの園芸品種。
・チョコレートミントゼラニウムと同じように、葉に白い斑入(ふいり)になるところからSnowflake(雪片)と命名された。
・しかし、葉に不規則に入る斑は消えてしまった。夏時期の強い日差しに当たると薄くなったり場合によっては完全に消えてしまい、夏のあと日差しが弱くなってから新たに伸びた葉には斑が出来るという。
・大きく丸く広がった明るい緑色の葉からはローズの香りがする。
・開花期は春から夏で明るい緑の大きな葉に似合うピンクのやさしい花が咲く。
・草丈30~60cm
・枝の老化を防ぐために、開花後の初夏から秋に収穫を兼ねて剪定を行い、地面から5~10cm残して切る。

【付録】江戸時代から珍重されるようになった斑入り(ふいり)
淡雪のように溶ける“斑入り”というのが気になったが、本来は緑であるところが、突然変異で変色する現象を“斑入り”と呼んでいる。病気や害虫で変色することもあるが、これで出来た白斑などを斑入りとは呼ばない。

園芸的には、突然変異で出来た新しい品種の誕生であり珍重されているが、この価値を見つけたのは江戸の園芸マニアだったようだ。当時のヨーロッパだけでなく現代でも斑入りを気持ち悪いと感じる人がいるだろうから、相当なマニアックな審美眼だったのだろう。

江戸時代は日本の園芸が発達し、世界最高水準ではないかといわれているが、珍しい品種としての“斑入り”は特に珍重され、1829年(文政12年)には江戸四谷大木戸住まいで五百石を拝領した旗本、水野 忠暁(みずのただとし、1767-1834)が自ら集め栽培していた斑入り植物1000種を解説する植物図鑑「草木錦葉集」を出版した。

この図鑑の植物画を描いたのが関根雲停(せきね うんてい、1804-81877)で、ボタニカルアートとしても素晴らしいので、シーボルトの日本植物誌にも含まれているカノコユリを例示しておく。

(ポストカード)関根雲停作 スカシユリ
 
出典:牧野ミュージアムショップ


(写真)シーボルトがヨーロッパに持って言ったギボウシ(Hosta undulata)
 

水野忠暁が活躍していた頃の1823年に長崎出島オランダ商館の医者としてシーボルト(Philipp Franz Balthasar von Siebold, 1796 - 1866)が来日した。
シーボルトは多くの日本の植物をヨーロッパに紹介したが、その中に斑入りの植物も入っていてヨーロッパでも注目され栽培されるようになったという。

鎖国でガラパゴス化していた江戸の園芸はいつか正面から取り上げてみたいと思っているが、ここまでたどり着くだろうか・・・・・。


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2 コメント

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Unknown (lotosblume)
2017-04-25 21:17:21
初めてのコメントです。

スノーフレークゼラニウムを検索していてこちらに辿り着きました。詳しく説明されていましたからよくわかりました。
斑入り葉の植物は庭が明るい感じになるので好んで植えています。斑入りの入り方の模様がそれぞれ異なるのでそれを見る楽しみがあります。

またこちらのブログで学ばせて頂きますね。

ありがとうございました。
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lotosblumeさんへ (キャスパー)
2017-04-26 07:59:25
コメントありがとうございます。
草むしりは大好きな作業です。唯ひたすら何も考えずにもくもくと草を取る。幸せな時間です。
唯最近は足腰が弱くなったせいか、立ち上がったときに関節が悲鳴をあげるようになり、もくもくと長時間出来なくなりました。残念なことに!
幸せな時間は努力無しには享受できないという現実に直面しております。
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