天津ドーナツ

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天津視覚障害者日本語訓練学校の青木先生のホームページです。

2011-08-18 06:53:42 | 顧問・アドバイザーから
天津視覚障害者日本語訓練学校の青木先生のホームページです。

http://safina.jp/


目が見えない人がどうやって日本語を勉強しているのか、気になりませんか?

天津の大学日本語科の学生は、こういう人たちと交流し、
お互いに磨きあっていってほしいと願っています。

五十音図の落とし穴…「ニッポンかニホンか」 もとNHKアナウンサー塚越恒爾さんのブログから

2011-08-14 12:51:30 | 日本語学習法
先月は、討論の特集で、この項目は休みました。ごめんなさい。今月からは第二週にアップします。では・・・
 (前回の文末でも書いたように、「ニッポンかニホンか」論争、「・・・・は」と書いて「・・・・ワ」、「・・・・へ」と書いて「・・・・エ」と読むのはどうしてかなど・・・50音図が混乱した原因の多くは、唇の音“ハ行・(PH)”が、何故か口腔の奥で出だす“ハ行・(H)”へと集団移転したことにあるらしい)
 
 
 少し前のこと。朝日新聞09年7月1日朝刊に、こんな小さな記事が載っていた。
 ・・・6月30日 閣議で「国名についての読み方」の答弁書を決定した。
 民主党の岩国哲人衆議院議員の質問への答弁。(文部省は、今の文科省)
 岩国氏「日本の読み方を統一する意向はあるか」
 文部省「にほん にっぽん いずれも広く通用しており、どちらか一方に統一する必要はない」
 岩国氏「70年7月に、佐藤内閣で日本に統一する旨の閣議決定をしたのではないか」
 文部省「そのような閣議決定はしていない」・・・
 
 さて、あなたは“ニッポン”派ですか、それとも“ニホン”派かな。
 実は、この論争、明治開国以来100年以上も連綿と続いてきた。そして、いまだに結論がでない。結論が出ないのではなく「どちらでも良い」というのが、政府の見解なんですな。あるいは、「どちらとも決めかねている」と言うところが、文科省の本音なのかも知れんが・・・
 そこで質問。
 あなたも、政府と同様、漢字で「日本」と書いてありさえすれば、どう読もうと構わぬとでも思っておられるのかどうか・・・如何。
 ことは一国の名前です。国名には、その国のアイデンティティがあってしかるべきではないでそうかな。
改めて、つくづくと思うね。全く持って、音を大事にしない国なんだよ、この国は。
 
 昔、NHKに入ったとき、固有名詞としてのニホンとニッポンの使い分けについて、複雑な慣用基準を学んだことを覚えている。
 曰く、日本海、東日本、西日本・・・など「地名」については原則「ニホン」、国名は「ニッポン」と一応は教わった。
 そして、日本放送協会や日本銀行・日本航空などの会社名は「ニッポン」、だが日本社会党や日本共産党はいずれも「ニホン」、その他の団体については、固有名詞として、当事者の呼び習わしに従うという。しかし、これでは、例外が多すぎて、とてもルールと言えた代物ではないね。(一説には、保守系はポンで、革新系はホンが傾向としてある)
 事実私たちは、日本という文字が出てくる度に、会社や団体に問い合わせたもんですよ。ところが、電話してみると、てんでばらばら、ひどいところは上司と担当との意見が違うらしく、問い合わせる度に、ニホンになったりニッポンになったりするところさえある始末。
 ことは固有名詞だから、当人次第ということだけどねえ。
 でもね、固有名詞だって日本語のうちだからね。勝手に発音していいわけがない。
 
 山田という人がいる。ヤマダと発音しようが、サンデンと名乗ろうが、どちらでもお好きなようにと言うだろうか。
 三田(地名)と書いても日本語には幾つかの読み方がある。でも固有名詞であるならば、それは一つの原則があるものだ。例えば、関東人ならミタだろうし、関西の人ならサンダでしょう。
 日本橋は、東京ならニホンバシで、大阪ならニッポンバシです。当然のこととして、自分の名前を「勝手にお読み下さい」と仰る人がいる筈がない。
 それを、国会で100年議論をして、まだ「どちらとも決めかねる」というのは、理解しかねるね。
 文字王国日本というか、音を軽視する傾向は甚だしいと思うね。坂本龍馬なら「こんなことをしちょったら『若者ことば』を嘆く資格もないぜよ!」。
 “ことば”の本質である「音を置き忘れた言語」が、これからどうなるのか、ワシの心配は尽きないね。
 
 ところで、なぜ、こんな事になったのか。
 問題は、「ポン」と「ホン」二つの音の、音の出し方・出し処が、まるで異なっているところにあると思う。カナで書けば、似ているけれど、音としては全く違うもんだから「どちらとも決めかねる」ということになる。あいまいにしたまま100年一歩も進まない。
 「先月も書いたように、昔の“ハ行”は“pha phi phu phe pho”だった。その頃ならば問題はなかった。穏やかに話すときは、両唇を軽く摩擦して出す“ニホン・niphon”だし、元気よく言えば、前に“促音のンがついて”“nippon”と破裂音になる。いずれも両唇音ですから、無理のない自然な成り行きだ。だから、昔は「ホンでもポン」でも、日本語のルール通りで良かった。
 ところが、「ホン」の方が、何故か外来語の“h音”に、その席を奪われて、口の一番奥に移転してしまった。だから、似ても似つかない音になったのだ。
 さて、あなたなら、どっちをとりますかな・・・歴史的に言えば結論は明らかなんですね。
 さらに、この“h”の音というのは、喉チンコの上の軟口蓋と、舌の奥の間に隙間を空けたままで出すという、難しい音だから、ことは更に複雑になる。フランス語では「アッシュ ムエ」といって、“h”は発音しないで済ます位のもんなんだな。なぜ、そんな難しい音に集団移転したのだろうか。
 
 この“ハ行音”の大移転については、江戸時代の中頃に起こっているらしいのだが、この現象の原因究明となると、小生の“推論”を交えなければなるまいね。
 ま、私としては、当時の漢学者達が犯人だと睨んでいるのだが・・・それは来月・・・

日本語らしさ…「体ことば」(鼻)  もとNHKアナウンサー塚越恒爾さんのブログから

2011-08-08 03:56:19 | ドーナツの宝
* 鼻(はな・び)・・・・ 「体ことば」ファンのみなさま、お待ちどうさま。先月は、「討論」という、やや堅い話を特集しましたが、今月から第一週は、日本語のセンスがみなぎる、体ことばを再開することと致しました。
 なお、◎のところは、日本語を学んでいるひとのための、日本語慣用語で、組み立ててみました。 

◎ 鼻高々と鼻にかけ、出鼻叩いて鼻あかし、出鼻くじいて鼻を折る、鼻っ柱をへし折られ、鼻についたぞ嫌みの鈎鼻、赤鼻・ワシ鼻・団子鼻、アグラかいてるのぞき鼻、小鼻ひくひくうごめかし、嗅いだ匂いはハナグスリ。  註:ハナグスリには、ちょっとしたワイロの意味もある。

* 鼻の脂をチョと付けて、鼻がきくのか鼻鳴らし、鼻元思案は鼻紙同然、目くそが鼻くそ笑ってる、思わず膨らむ鼻提灯。(因みに英語では、目やに:アイ・バター、耳クソ:イヤー・ワックス、鼻クソ:ノーズ・ダスト)

* 鼻筋通った目鼻立ち、木で鼻括って鼻つまみ、鼻で笑って鼻うごめかし、水の出鼻に花粉症、ハックショ・ハクション、阿鼻叫喚の水っ鼻、鼻も曲がる悪臭で、鼻もひっかけちゃ貰えない。  

* たかが鼻先というなかれ 鮭の美味いは鼻曲がり、鼻高面は天狗さま、クレオパトラの鼻の高さも何のその、鼻の差で取った勝ち馬は 鼻歌交じりの万馬券。

* 逆さに振っても鼻血も出ない、出ないはずだよ二段鼻に承っ鼻、鼻であしらう付けっ鼻、息も絶え絶え鼻づまり。

* 四十五十は鼻垂れ小僧、二本洟か青っ鼻、鼻の穴を天井向けてサブちゃん熱唱、鼻の嵐は獅子っ鼻、鼻息荒れて怒り鼻、飛んで外れる鼻眼鏡。

* 苗代田圃で牛の鼻綱 鼻取り役は八杯めし めんこい奴と鼻づら撫でて あぜ道目がけ、チーンとばかりに手鼻を飛ばす。 
 
* 鼻高々の鼻下長さん、鼻持ちならぬザクロ鼻、寝息伺う暗闇で、鼻つままれても分からない、あげくのはては鼻ッ先、鼻毛読まれて鼻白む。 

* 鬼も十八、番茶も出鼻 ♪♪ゲタの鼻緒がぷつんと切れて、すげてくれる人ありゃしない♪♪ 鼻くそ金に欺されて、鼻毛伸ばしたヒヒオヤジと、鼻付き合わせて鼻毛抜く。

* 〃水洟や鼻の先だけ暮れ残る〃 (芥川龍之介が医師に託した最後の短冊に)

* ♪♪ 雪のだるまに炭団の目鼻 とけてながれりゃ 墨衣 ♪♪


ステップアップ

2011-08-02 15:28:52 | ドーナツの宝
去年のドーナツ副会長Zさん、河南省から来ているLさん、学内の新聞記者として私にインタビューをしにきたWさんは、今、日系のコンサルティング会社で実習をしています。(アルバイトではありません)



先日、その会社が行った日本企業の管理職が対象のセミナーに参加された方が、

「実習生の3人のうち、誰か一人をうちの実習生にしたい」と申し出てくださり、

帰省の予定のないZさんが行くことになりました。



「ドーナツなんて…」という人も多いのかもしれませんが、

日本語科の問題点を改善するいちばん大変でいちばん非効率で、一番効果のあるやり方だと

私は思います。

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8月に天津で行われる世界日本語教育研究大会に日本から出席される方から、

会合やインタビューのお話をいただきました。

なんでも、「中国で活躍する日本人」というテーマでインタビューをしたい

とのことです。

嬉しい気持ちもありますが、「活躍って何だろう?」「本当にドーナツのことを

理解してくれるのだろうか」という気持ちもあります。



私自身は、メディアに取り上げられるような立派な人ではありません。

いつも、「おいしいものが食べたいな」とか、「あ、あの人きれいだな」とか、

そんなことばかり考えています。

何しろ、幼稚園のときから食いしんぼで、あだ名は「横綱」だったのですから、

写真だって撮られたくないと思います。



でも、もし、日本の大学の先生が、ドーナツを認めてくれたら、

やっぱり嬉しいです。

そして、Zさんや他の二人のように、日本企業にも認められる学生が少しずつ増えてくれたら、

それが日本語教師としての一番嬉しいことです。



ドーナツも、私も、学生も、こうやってステップアップしていけばいいのかな、と思います。