㈱音楽出版社から本年7月に発刊された本である。
いくら山下洋輔トリオがデビュー40周年を迎えたと言っても、
定価1,905円+消費税もかかる本が書店に並べられたのである。
しかも、10冊ほど山積みである。
となりのマイケル・ジャクソンの追悼誌は種類が豊富なのは理解できるが、
これらより高く積み上げられていたのである。
山下洋輔(p)氏が日本のジャズ界を代表する一人であるとしても、
こんな目を引くような置き方をされたことに敬意を表するつもりで、購入した。
いつか読むつもりで購入したその本を、前回の経緯で立ち寄った図書館で借りた
『キアズマ』(’98年発売、ポリドール)を聴きながら読んだ。
このアルバムは、’75年6月にドイツで行われたライブの録音盤である。
メンバーは、坂田明(ts)、森山威男(ds)とのトリオである。
かの『読本』の冒頭は、ステージの写真が並べられているが、本文は第1章『踊る小説、飛ぶエッセイ』で「さらば碧眼聖歌隊 小説コンバット・ツアー PART 0」(山下洋輔著『ピアニストを笑え!』新潮文庫から再録)から始まっている。
有名な著作ではあるが、読んだことはない。
書店で手に取ったこともない。
しかし、読んで面白かった。
なぜか。
偶然とは言え、この文章の内容が、ちょうど『キアズマ』のライブ・ツアーと重なったからである。
本文に出てくるホルスト・ウェーバーは、同ツアーのマネージャーではあるが、本職はレコード・プロデューサーである。
アルバムに関するデータを見てみると、おぉっ、ホルストが記載されている。
思わず、にやぁっとしてしまった。
バックでは、坂田と森山の力強い演奏が聞こえている。
心がシビレた瞬間である。
こういう偶然を、私は大切にしている。
『キアズマ』と一緒に借りたアルバムが『Field of Grooves』(’01年発売、ユニバーサル盤)である。
ジョー・ロヴァーノ(ts)をゲストに迎えとジャケ帯に記載されているが、
私が注目したのは、
ティム・リースTim Ries(ts)とトニー・マラビーTony Malaby(ts)である。
ティム・リースは、ローリング・ストーンズのコンサート・メンバー。
トニー・マラビーは、『ジャズ徒然草』で紹介されていた注目のミュージシャンである。
そして、先日、さらに山下作品を図書館で借りてきた。
山下氏のソロピアノ・アルバム『レゾナント・メモリーズ』(’00年9月発売、ヴァーブ盤)と、
ニューヨーク・トリオ+川嶋哲郎(ts、ss、fl)『ミスティック・レイヤー』である。
今日は、これを楽しむとするか。笑!!!