徳永写真美術研究所 Column


徳永写真美術研究所(TIPA)の日常コラムです。

真夏の美術鑑賞 in 京都

2010-07-29 | 写真に関するお話


今週の火・水・木と
Takayuki は京都の大学で授業でした。
私はこの機会に一緒に京都へ行き
ギャラリー巡りをしようと計画を立てました。

先日の熱中症に懲りた私は
まず、天気予報を確認。
火→晴れ ・ 水→曇り ・ 木→雨のち曇り
この並びであれば
水曜日だと考え
昨日、京都中のギャラリーを巡ってきました!
巡ったギャラリーは20箇所は軽く越えたはず。



スタート地点は京都造形芸術大学。
学内では「全国教育美術展」が開催されていました。
幼稚園・小学校・中学校のこどもの絵の展覧会です。
展示されている作品数は何百点
もしかしたら千点を越えていたかもしれません。
膨大な作品点数に後退りしながらも
こどもの天衣無縫な筆運びに魅了されました。
しかし、気になるところは
学校ごとに
描き方に型があったり
絵になるモチーフに限定されていたり
教える側の手ほどきが強く感じられるものが
そこそこ多かったこと。
良い作品というよりも、上手い作品が多いと感じました。
教える側の立場としては微妙・・・。



その後
大学を出て京都の街を南下し
京都駅の裏のエリアまでに点在する
ギャラリーを巡りました。

その中で写真展を中心に幾つか紹介します。





JPS(日本写真家協会)展

会場:京都市立美術館別館2F 8月1日まで

公募部門・学校部門・会員部門の3部構成の写真展です。
この展覧会は仕事先の学校が出品しているため、ほぼ毎年見ています。

今年は公募部門で知人の作品が優秀賞でした。
受賞すると副賞がもらえるのですが
知人には六切印画紙100枚入が5箱。
金額にするとなかなか高価な副賞です。
しかし、ご本人は、今春から
デジタルで作品制作を進めはじめたところ。
微妙な副賞。

この展覧会も展示点数が多く
数に圧倒されました。





鶴居佳代子展

会場:ギャラリーはねうさぎ 8月1日まで

私が訪れた時、作者は不在でしたが
ギャラリーのオーナーより解説がありました。

まず
被爆体験者からの聞き取りをもとに
その状況を再現したジオラマを制作。
ジオラマは着色されることなく白色です。
この白色は何色にでも染まる色として
不安定さを増幅しているように感じました。

最終的にはジオラマを撮影して
写真作品として展示されていました。
撮影時のライティングの効果により
惨状が不思議な表情に変化し
架空の国の出来事のような印象を受けました。





堀江美佳展 「Pig Story」

会場:ギャラリーはねうさぎ 8月1日まで

昨年、ロンドンの大学院を修了し
帰国後、初めての個展との事でした。

今回の展覧会は
大学院の修了制作作品と
帰国してからの新作とで構成。

作者の堀江さんは
留学先のロンドン市内で
ピンクの豚のマスクを被り、体操服姿で
人がクスっと笑うパフォーマンスをおこないました。
他者とコミュニケーションをとる手段としてのパフォーマンスです。

展覧会場には
パフォーマンスの様子を撮影した映像作品と
恥ずかしかった話を聞き取り
その話とパフォーマンス中の写真とを組み合わせた
写真作品が展示されていました。

人との関係性の持ち方に「笑い」を含めると
世界平和へと繋ぐ事ができるのではないかという主旨の取り組みです。

私は彼女を大学生時代から知っていて
作家活動を精力的におこなう姿にうれしく思いました。
余談になりますが
在廊中
大学院の入学試験について
面白い話を聞きました。
ポートフォリオ審査を通過した後
ロンドンと日本を繋ぐ電話での面接試験で
合格が決まったそうです。
電話試験には驚きました。

会期中に
鉄棒にぶら下がるパフォーマンスがあるそうです。
タイミングがよければ見れるかもしれません。
7月31日(土)14時からはメインパフォーマンスが開催されます。





田村尚子展「ソローニュの森」

会場:タカ・イシイギャラリー京都 7月31日まで

田村さんはコンスタントに展覧会をされているにも関らず
長らく作品を拝見する機会を逸していました。
彼女の写真集“Voice”を持っているので
身近に田村さんの作品を感じていましたが
久しぶりに
作品を目の当たりにして感じる
“気配”の魅力に触れました。

今回の展示は
フランスのソローニュの森にある
精神科の病院
ラ・ボルド・クリニックを撮影したシリーズです。

撮影地はお城を病院とした環境です。

精神医学とフランス哲学の思想を基にする
このクリニックの実践は
日本でも大きな関心が寄せられているとの事。

ゆるやかに流れる時間のなかで
人が自然に溶け込むように過ごす様子が描写されています。
過度に白い画面からは
別次元に魂が昇華していくさまではないかと感じました。





以上
真夏の美術鑑賞でした。



Yoshie


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徳永写真美術研究所
大阪・鶴橋にて、写真・写真表現・シルクスクリーンの研究活動をおこなっています。
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