ミヒャエル・ハネケ監督が、『白いリボン』に続き、カンヌ国際映画祭パルムドールを受賞した作品。2作品連続。その他アカデミー賞外国語賞などなど。
やっぱり、悲しい気持ちになってしまうけど。
一言で言えば、老・老・在宅介護のお話。ということだけれど、三面記事や、テレビでは絶対に描かれないことだけを、描いている。とりこぼされた(重要でないとみなされた)ことだけで、この映画は作られているように見える。前作の『白いリボン』でも言えるけれど、ハネケ監督は、三面記事的な出来事を、三面記事的でなく描き上げる才能があるみたいだ。
とりこぼされること。それはもしかしたら個人のわがままに関することなのかな。それぞれのエゴが明確にその形を成している時には、人生かくも長くて豊かだと感じられるし、形を整え合うことに美しさも感じる。
イザベル・ユペール演ずる娘や介護人の言葉に、とっさに反発を覚えた。その他の誰の言葉にも、「知らないのに」となぜか私が反発する。それも不思議だった。自分だって語られないのだから知らないし、自分が娘だったら、ほぼ同じ反応をするだろうと思う。
家に迷い込んだ鳩を、つかまえて外へ追い払う。そしてその事を手紙に書いている。「信じないかもしれないけれど、」という前置きで。
二度もそんなことがあっただなんて、信じられないでしょう、でもつかまえるのは、そんなに難しくはなかったよ。
誰に宛てた手紙か分からないけど、音楽家の夫がそう書いている時、彼は満足感とか達成感の中にいるように見えた。
2012年、フランス・ドイツ・オーストリア。
やっぱり、悲しい気持ちになってしまうけど。
一言で言えば、老・老・在宅介護のお話。ということだけれど、三面記事や、テレビでは絶対に描かれないことだけを、描いている。とりこぼされた(重要でないとみなされた)ことだけで、この映画は作られているように見える。前作の『白いリボン』でも言えるけれど、ハネケ監督は、三面記事的な出来事を、三面記事的でなく描き上げる才能があるみたいだ。
とりこぼされること。それはもしかしたら個人のわがままに関することなのかな。それぞれのエゴが明確にその形を成している時には、人生かくも長くて豊かだと感じられるし、形を整え合うことに美しさも感じる。
イザベル・ユペール演ずる娘や介護人の言葉に、とっさに反発を覚えた。その他の誰の言葉にも、「知らないのに」となぜか私が反発する。それも不思議だった。自分だって語られないのだから知らないし、自分が娘だったら、ほぼ同じ反応をするだろうと思う。
家に迷い込んだ鳩を、つかまえて外へ追い払う。そしてその事を手紙に書いている。「信じないかもしれないけれど、」という前置きで。
二度もそんなことがあっただなんて、信じられないでしょう、でもつかまえるのは、そんなに難しくはなかったよ。
誰に宛てた手紙か分からないけど、音楽家の夫がそう書いている時、彼は満足感とか達成感の中にいるように見えた。
2012年、フランス・ドイツ・オーストリア。