ときぶーの時間

募金の受付先 東邦銀行 安積支店 普通0644994 名義がんばる福島
みなさんご支援宜しくお願いいたします。

見えなくなった。

2016-07-29 05:27:26 | 日記
みなさん、おはようございます。
僕は友人から今の富岡駅の話しを聞き、その姿を見たくて松ちゃんに一緒に行こうよと無理を言い走ってもらった。


友人から「富岡駅の線路がきれいになくなっている」と聞いたので見に行ったら、本当に枕木やレールがなくなっていた。

松ちゃんに富岡駅は何処に再建設されるのか聞いてみたけど彼は口を濁していた。


外された元線路の先の黒いピラミッドの塊は、かなり少ない量になっていた。
「大型処分場で処理してんだ」と松ちゃん。

震災後、町の復興計画で富岡駅は別の場所に移転するとなっていたけど、どうなるのかな?
計画どおりに進むのかな?

松ちゃんは僕を乗せたまま富岡漁港にトラックを走らせた。


広野・楢葉と見て来たが海岸線はどこも高い防波堤が建設されていて、富岡も同じように海が見えない様相を呈していた。


何処でも作業員の方たちが懸命に仕事をしている。
この暑さの中、ご苦労様です。


大きなテトラポットがたくさん積まれていましたが、近くで見ると凄い量のテトラでしたね。

松ちゃんは口を開き「何でもここの予算が50億って聞いたぞ」と護岸工事を見ながら「放射能ごみ処理場で500億入ったし、赤木の工業団地も3000人規模の誘致に成功したから、町の税収も大幅にアップしたべ~」と笑って言った。


娘が幼いころ良く遊んだ小さな海水浴場は跡形もなく、近くでは大きなクレーンが配置されダンプカーなどが行き来する工事現場と化していた。

こうした現場を二人で見ながら、何故か原発の話になった。

松ちゃんは「俺は原発を肯定しないけど、今いきなり全部ストップさせたら廃炉はどうする。急にやめたら廃炉の予算も作れなくなるぞ~、そうなったらまた問題だべ、なくなるのはいい事だけど徐々になくなるのがいいんでねぇ~か?流れってあるべ」と言った。

聞いていて、その通りだと思った。
毛嫌いしてきた原発だけど機構そのものが停止したり解体してしたりして予算も取れないようになったら、廃炉の道も作れないよなぁ~。


新しい富岡漁港。

漁師さんはこの漁港に戻って来るのだろうか????と思ったけど、またあのような大津波がやって来るとしたら、こうして工事してもらっておいた方がいいと素直に思った。

地震と津波と原発事故はもうこりごりだ。


海側から町の方を撮った写真。

以前と違って海からは町の姿は見えません。
当然、町から見ても海は見えなくなっています。

陸前高田とか津波被害のあった東北の沿岸部は、以前の姿を想像出来ないほど変わっている。
それに比べたら富岡の変化はまだ小さいもの。

工事が終わったら、すぐにでも新しい富岡漁港の姿を見たいと思う。
どんな漁港になるのか楽しみ。

原発事故から来春で6年。
被災地が変わりゆく姿を見て、自分もそろそろ動かねばと思った僕でした。

今日はこの辺で失礼します。
それではみなさん、またお会いしましょう。

























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怯まずにやる。

2016-07-28 05:27:17 | 日記
みなさん、おはようございます。
今週、月曜日から3日間福島に行ってました。

パソコンを持って行ったのですが、夕方は友人と酒を飲んでしまい更新出来ませんでした。


さびが迎えてくれた。
その後ろに石松君。

松ちゃんは朝飯も食わず僕を待っていて何度も僕の携帯に電話してくれたのだけど、気が付かず悪いことしてしまった。

この日は少し遅れて10時頃着いた。

「松ちゃん、一緒に飯食おうよ」って前日に電話したので、松ちゃんは飯も食わず餌やり作業もせずにいてほんとに申し訳なかったです。


プチ家出をしていたシロも家で迎えてくれた。

スーパーの580円弁当を朝食にし食べ終えたら早速作業を開始した。


まず始めに家の裏の水道へ向かった。
如雨露に水を入れて石松君や猫たちの水遣りにしては大量の水と思った。

どうするのかと思ったら、松ちゃんの家の敷地のあちこちを回り始めた。


前回、忙しくて植えられず苗をダメにした経緯があって、家には新しい苗がたくさんあった。

その後、帰還困難区域の牧場に向かう前に家の上の道路脇に作った畑に連れて行ってくれた。


畑は結構広かった。
前回までは途中でストップしていたけど完成系?に。

だけど、すぐに松ちゃんはぼやき始めた。
「昨日、夕方ここで作業始めたら目の前にイノシシがいてよ~、逃げねぇ~でこっち見てやがって、あやまっちまった~」と。


白い粉は化成肥料。
松ちゃんは化成肥料や科学肥料を撒いた時はイノシシが悪さをしないと言った。

続けて「だけど雨が降って化成肥料が流れたり、しみ込んでしまったらやりたい放題やられっぺな」と松ちゃん。

イノシシは科学肥料を食べると死んでしまう事を知っているので絶対に食べないそうです。


松ちゃんの長靴とイノシシの足跡です。

「ほれっ、見てみぃ~、イノシシの足跡あっぺ~、畝のロープ張ったのにあいつら食いちぎってやがり、やり直しだべ~、参っちまう」と。


「多分、植えつけても1週間であいつらにやられっちまうべな」と言い、半ば諦めた感じで耕した畑を見ていた松ちゃん。

野菜を作る目的は放射能検査もあるけど、ミツバチのための花作りもあり一石二鳥の仕事なんです。
だけど、この先はイノシシたちとの戦いもあり前途多難。

彼はイノシシを捕まえたり傷つける事など絶対にしないので、彼の言うとおりになると思います。
それでも怯まずにやる。
そう決めた松ちゃんでした。

今回は本当に充実した3日間を過ごすことが出来ました。

いろいろと次回書きますので、今日はこの辺で失礼します。
それではみなさん、またお会いしましょう。







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女郎蜘蛛

2016-07-20 21:03:27 | 日記
みなさん、こんばんは。
今日も少し時間が取れたので更新させて頂きます。
宜しくおつきあいください。


午前中の餌やりの写真。
松ちゃんは家の下の牧場の牛たちに餌をやり、それが終わると帰還困難区域の牧場へ走る。

今回も餌やりをしながら色々と話してくれた。
彼は養蜂の事を話した。

「今、咲いてる花がなくなってこれから蜂に餌をやんなきゃなんねぇ~んだ」と。
えっ、今の時期に蜂の餌作り???いくらなんでも早すぎでしょ!と目を丸くした僕。

松ちゃんの説明を聞いて事情を察し納得したのですが・・・

蜂の餌は水2Lに対して上白糖1kgを溶かし、冷やしてから餌箱に入れてあげるんです。
この暑さの中、家でガスコンロの前に付きっきりで砂糖を溶かして砂糖水を作らなきゃならないのです。考えただけでも暑っ・・・・
普通は冬前の11月ごろからなんですけどね。

松ちゃんが餌やりの作業の合間に僕をある場所に連れて行った。

松ちゃんの友人がある植物の種を撒いた場所だった。
何のために撒いたのかは聞かなかったんだけど、友人がひまわりの種を撒いたと教えてくれた。


友人が巻いた種は、たくさん発芽していた。

蜂の餌作りの手間が増え更に忙しい毎日を送ることになるので、友人のひまわりは助かったし本当にありがたかった。
結構な量、発芽していました。


中にはとても大きくて厚みのある芽があった。

震災前なら今の時期、至る所にカボチャやキュウリ・米などの花が咲いていて、夏場は花に全然困らなかった。

去年から養蜂を始めたのだけど、今年、またピンチに立たされているんだと松ちゃん。

何が問題なのか?と聞いたら「巣に餌を運ぶ働き蜂が出たっきり帰って来ねぇ~んだ。多分、蜘蛛の巣に絡まったりして蜘蛛の餌になってんだと思う」と???

う~ん、確かに蜘蛛の巣は至る所にある・・・・

松ちゃんは続けて「女郎蜘蛛の巣に50匹くらいびっしり虫がついていてよ~、多分、帰って来ね~のはそういう事になってるんでねぇ~かなと思う」と言った。

蜘蛛以外にも天敵のオオスズメバチや鳥たちに食べられてしまうミツバチもいます。

あまりにもよくない環境で養蜂するという事は至難の業なんだと痛感しました。
がんばれ松ちゃん!です。


縦横20mL字型の畑で種の発芽を確認する松ちゃん。
「今の時期なら一気に大きくなっぺ」と言った松ちゃんに僕は、ひまわりの花が巣箱の近くに出来て良かったじゃんと返した。

そんな訳で彼が設置した巣箱の所へ。
着いたらすぐに巣箱を開けて見せてくれたけど、本当に蜂が半分しかいなくて僕もびっくりしました。
前回ネットを被らず刺されそうになったので、今回は写真は撮らず遠くから眺めていた僕でした。

「今、蓋ついてるとこの蛹が直ぐに孵らないとSOSだ、多分、間に合うと思うんだけどな」と・・・・。
松ちゃん曰く、上手くいくか?失敗するか?50対50の確率らしいとの事。
微妙です。


帰還困難区域の牧場に着いてすぐに作業を始めた松ちゃんでした。

みなさんは見た事ありますか?
女郎蜘蛛はめちゃくちゃ気味悪いです。
体は大きいし、あの独特の体の模様にはぞっとします。

ミツバチだけでなくスズメバチや、セミ・蝶にアブやバッタ、なかにはクワガタなどなど、巣に掛ったら女郎蜘蛛の餌食です。
女郎蜘蛛強し!

ちなみにあの大きな体の蜘蛛はメスで、オスは3分の1くらいの大きさしかないんですよ。

女郎蜘蛛の巣にたくさんの虫たちがかかり食べられた後の姿を、僕も以前、見た事がありますが気味悪くて好きじゃない。

彼の悪友の一人にイタリア人ジャーナリストのアントニオさんがいますが、彼は女郎蜘蛛が大の苦手だったのを思い出しました。(笑)

今週はめいっぱいな感じで富岡に行けないので、来週、松ちゃんに会いに行こうと思います。

それではみなさん、今日はこの辺で失礼いたします。
またお会いしましょう。























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福島と同じ。

2016-07-19 11:22:48 | 日記
みなさん、こんにちは。
先週の土曜日から3連休でした。

曜日の感覚がなく、土曜日の高速道路走行中に渋滞情報を聞いてそれを知りました。汗


なかなか植えることが出来ずにいたトマトの手入れをする松ちゃん。

ベト病っていうカビの一種の病気になった苗を手入れしながら「もう少し天気が良くなったら治るべ。原種のトマトは結構強いんだぞ」と。
知識経験が全くない僕は色々と教えてもらってます。

先週の参議院選挙のおいて福島では震災後、ついに野党が自民公明の与党に勝った。
戦後の統治から延々と基地問題に苦しむ沖縄でも野党が勝ち、大きな問題を抱えているこの2つの県で与党は破れた。
問題を先送りしてきた与党の政治に県民がNOを突き付けたということか。

結果は自民公明の与党が圧倒的に勝ってしまったのだが、問題を抱えている県と問題を抱えていない県との違いだと思った。
福島第二原発の再稼働だけは絶対に阻止してほしいので福島の野党には頑張ってほしい。
政治の話はこれくらいにしましょう。


リードを外すから「待て」の指示に従う石松君。

たまにはシロさびの写真をと思ったのですがシロはプチ家出の最中でしたので、今日は久々に石松君の写真を使います。
2~3日で家に戻って来るのでみなさん、心配しないで下さい。
松ちゃんの家の餌置き場当たりの草むらで遊んで、飽きたら帰って来る家出ですので。

2週間前になるだろうか?僕は九州の支援者の方と話すことが出来、熊本の被災者のみなさんはどうしているのか聞くことが出来た。
その方から「被災者はもうここに住めないと、九州の他県の親戚を頼ったりして避難した人がいるようです」と。

あの大きな地震の後の大雨被害。
本当にひどい状況なのをTVニュースで知り、大地震・津波のあと原発事故が起きた福島と似ていると思った。

地震があれほどひどかったのに、そのあとのあの大雨はさすがに辛かったでしょう。
ダブルパンチですよね。
住めない状況が同じでなくても避難を余儀なくされているのは福島と同じです。

内のかみさんもこの頃、TVで熊本のニュースを全くと言っていいほど放送しないと嘆いているというか憤っている。

この暑さの中、今でもテント暮らしをしている方もいるのだから、国は熊本の被災者の全ての人に住む場所を早く与えてあげてほしい。
全壊だとか、半壊だとか、一部損壊とか、関係なく全ての被災者に住む場所を。
今すぐにです!

熊本のみなさん、暑さに負けず気張ってください。
心から応援しています。


リードを外してもらい喜び走り回る石松くん。

福島では南相馬市の警戒区域の解除があった。
被災者は新しい住環境を形成していて戻って来る住民は、以前の1割程度とTVは放送していた。

来年の春には富岡町も避難指示が解除されるかも知れない。
帰還困難区域を除く2つの区域の解除を町は目指している。

来春で震災と原発事故から6年。
本当に長い道のりです。
今でも生活再建の途上の人たちが多い。
このことはこれからも時々書いていこうと思います。


一人散歩を終えてご飯の時間
松ちゃんの「待て!」に、ちゃんと反応出来るようになった石松君です。

松ちゃんは先週、ある国の取材を無事に終えたらしい。
早く終わって良かった。

僕は今、今年の夏の帰還困難区域の牧場で水不足にならないだろうか?と少しだけ心配している。

関東にいると水甕(ダム)の収容率何%とニュースで日々報じているので、福島の帰還困難区域の井戸の水は大丈夫かな?とついつい思ってしまう。

水は本当に大切です。
いざ、何が起こるか分からないので、みなさんも水の備蓄だけはしておいてくださいね。

今日は久々の休みなので水をケースで買いに行こうと思います。
みなさんも熱中症などに気をつけて、しっかり水分補給を取ってください。

それでは今日はこの辺で失礼します。
またお会いしましょう。





























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本来の姿。

2016-07-13 06:30:51 | 日記
みなさん、おはようございます。
一昨日も昨日も暑くて参りました。

30度超えるときつく感じるようになった。
オヤジだよなぁ~、元々体力がないからな。


帰還困難区域にて。
餌を覆っていたシートを外す写真。

帰還困難区域の牧場の餌場もドロドロになっていた。
今年の梅雨明けはいつ頃になるだろうかと思う。


松ちゃんを見てやって来た牛たち。


いつもと変わらぬ光景。
体の大きな牛は半分足が泥の中に埋まってしまう。
「ここも今日みたいな日が1週間続けば乾くんだけどな」と松ちゃん。

帰還困難区域の牧場の餌やりを終えて松ちゃんは、仲間の畜主さんの事を話してくれた。

その畜主さんは今、10日に一回の割合でしか牛を見に来ないと聞き僕は普通に驚いた。
どうして?と尋ねたら、彼はそのまま畜主さんの牧場へ連れて行ってくれた。


畜主さんの牛たちは草を食んでいた。
放牧されてる!いいなぁ~が僕の印象。

「ここは合わせて5町くらい(1万5千坪)あっぺ、これなら手が掛らねぇよな?草が生えてるところに牛を移動させればいいんだから、これなら10日に一度みるだけでいいべ!」と松ちゃん。

これいいよ!と絶叫し、こんな風に出来ない?と聞いてみた。
松ちゃんは「土地を貸してくれる人がいたとしても2年後だべな」と言った。

除染が終わっていないので終わるまでは出来ないとの事。
こんな風に出来れば松ちゃんもかなり自由な時間作れるのにと思った。


柵の杭がずっと続いていた。
5町分のくい打ち畜主さんも大変だっただろうなぁ~。

畜主さんも高齢で遠くに避難しているから、3日おきに来るのもなかなか辛かったのでは?
このやり方だったら凄く楽だと思う。

1町(3000坪)ごとに柵を作り、そこの草を牛たちに食べさせ草が無くなったら、草の生い茂る次の1町の柵へ移動させる。
今の時期は草の成長が速いのでなくなることがない。


いやぁ~やっぱりいいです。
牛たちはのんびりしているし牧場って感じする。
完璧!って思った。

このやり方だとロールわら餌の使用も少なくて済むから、畜主さんのわら餌は今、本当に少しだけしか使わないみたいです。
秋冬のために温存出来るって言う訳。

やっぱり自然体でいる牛の姿を見れたのが一番です。
これが本来の姿だと感じた。
今回はいいものを見れたし松ちゃんの牛の飼養もこんな風にやれたらいいなと思った1日でした。

それではみなさん、今日はこの辺で失礼します。
またお会いしましょう。


















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あと5年経ったら

2016-07-09 05:54:15 | 日記
みなさん、おはようございます。

今回、松ちゃんの家の下の牧場で、飛んでいる2羽のツバメを確認した。
元強制避難区域の故郷につばめが飛来した事を知り僕は素直に喜んだ。

喜ぶ僕を見てすかさず「ツバメは駅前当たりの家に巣を作っているんだ」と松ちゃん。


現在の中央商店街西側交差点

ツバメが飛んでいるのを見て喜ぶなんて、みなさんには理解できないかもしれませんが原発事故以来、町でツバメを見た事無かったから嬉しかったです。

本当に鳥の鳴き声をこの頃、良く聞くようになった。
震災後、全く聞けなかった懐かしい声を聞くことが出来る。
本当に変わったなぁ~。

この日、僕は何年ぶりかで富岡川の中に入った。
松ちゃんが今年のアユの生育状況を見るのに付き合ったから。


僕の足元を見て長靴を履いているのを確認して「おっ、大丈夫だな。じゃぁ一緒に行くべ」と川へ。

松ちゃんの趣味の魚釣りは今どうなのか聞いてみた。
「全然釣ってねぇ~、そんな気分にもなれねぇ~し、行ってねぇんだ」と言った。

忙しいから時間がないみたい。

「今度いつ来るんだ?そんとき一緒に釣りでもすっか」と松ちゃん。


この場所は震災直後、松ちゃんが大きなヒメマスと格闘した場所です。

太公望ばかりが顔を揃える鮎解禁なのに人がいない。
震災前は人・人・人で埋め尽くされた富岡川だけど、釣り人は何処にもいなかった。
寂しいかぎりです。

もっとも放射能の事を考えたら、釣った鮎を食べる事への抵抗はかなりのものがあるかもしれない。
まっ、そんな訳で誰もいない富岡川だった。

「一回、大雨が降って増水したらいい鮎が育つ。今の藻が流され新しい藻が付いてそれを鮎が食べると大きく育つんだ」と松ちゃん。


ヒメマスは確認できませんでしたが数匹は必ずいると彼は言っていた。
ここには鵜がいて鮎などの魚を独り占めしている。

松ちゃんは嘆くように言った「今年のアユは少ねぇ~な、全然いねぇ~」と。
上流から下流に流れおちるように小さな滝状態になっているところに、以前ならたくさんの鮎が飛び跳ねて上の堀に向かって飛んでいたというから断然に少ないです。

飛び跳ねている鮎は一匹もいませんでした。

それでも川の水の量が多く魚たちにはいい環境だろうと思った。


「じゃぁ~行くか」とジャンプ。
僕は別な場所で滑り両手をついて痛い思いをしました。
デジカメが壊れなくて良かった。

このあと帰還困難区域の牧場へ餌やりに行きましたが、人がいない富岡川の橋付近にこいのぼりが気持ちよさそうに揺れていた。

橋から下の川面を見て15cmほどの鮎を数匹確認。
大きく育つことを願う。


吊るされたこいのぼりは大小合わせて200以上の数あったかな?
景気つけみたいなものかも知れないけど、人の手がここに入っていることが分かる。

この富岡川で鮎解禁の時に人が溢れるほどになるのはいつだろうか?


復興を願う人の手によって川に飾られたこいのぼり。
色とりどりで見ていて気持ち良かった。

震災からとても長い5年だったけれど、あと5年経ったらどうなっているだろう。
そんな事を想いながら川を後にした僕だった。

それではみなさん、今日はこの辺で失礼します。
またお会いしましょう。





































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ドジョウ???

2016-07-08 07:00:23 | 日記
みなさん、おはようございます。
今日は松ちゃんが物知りだってことを書きます。


餌やり作業を終えて松ちゃんは「あれ見てみろ」と言い、除染されたきれいな場所で色が違っているところを目で合図を送りながら「イノシシが掘り起こした跡だ」と教えてくれた。

何か餌でもあるの?と無知で馬鹿みたいな僕の質問に「ミミズだとかいっぱいいるよ」と返し、そうなんだと納得。

そういえば一緒に歩いた農道をやや大きめの太いミミズが横切っていた。
球根とか植物の根の部分でもあるのかと思っていたから新鮮な驚きだった。
イノシシのレーダーは土の中のミミズまで探知して食べてるのか~と。


松ちゃんは元田んぼの用水路に足を運んだ。
「ドジョウいなくなっちまったかなぁ~」と独り言。

えっ、ドジョウがいるの?とまたまた馬鹿な質問をした僕だった。
「ここにドジョウがいたんだ、でも除染で泥も何もかもなくなっちまったから、いなくなったかな?でもまだ数匹はどこかにいるんでねぇ~か?」と。


じっくり用水路を見て生物の生息を観察する松ちゃんでした。

松ちゃんはドジョウが生息できる用水路になるには少し時間がかかると話してくれた。
牧場の中の用水路はまだ除染されていないので、そこにはドジョウがいるから大丈夫との事。

松ちゃんが立っている場所に僕も行き、用水路の中に足を入れた。


泥も何もないきれいな水が流れている底に黒い物体を発見!

僕はその物体を手で掴み松ちゃんに「貝がいたよ」と見せたら「それ蛍の幼虫の餌だ」と教えられ「ホタルの餌?ここにホタルいるの???」と瞬きするのも忘れていたら「カワニナっていう巻き貝だ」と貝の呼び名も教えてくれた。

そういえば震災前にお盆の時、兄弟や親せきが富岡の実家に泊まった時に夕涼みに川に行きホタルを見た事を思い出した。

富岡川はホタルが生息するきれいな川だったんだ。


「ほれっ、そこに蛍がいるべ!」と僕の目の前を指刺した。
言われて直ぐに見つけられなかったんだけど、一匹の昆虫がいた。

「蛍だよ」と今度は言葉少なめの説明。
「ゲンジホタルってやつ」と教えてくれた。

そうだ40年前には僕もこのゲンジホタル知っていたはずだ。

すっかり忘れていた。
ホタルの幼虫が水の中で成長することも。

そしてゲンジホタルは成虫になってから一週間しか生きられず、そのあいだは水だけしか摂らず短い一生を終えるのだと。
夜に見たかった。
ホタルがお尻を光らせて飛ぶ姿を。

ある意味感動だった。
今の富岡にもホタルがいることが分かっただけで嬉しかった。


ドジョウのための環境を作ってあげようと頭の中で闘っている松ちゃんに見えた。

こういう時の松ちゃんは、いつも真面目だ。
松ちゃんは富岡町の生き物のあらゆる生態を知っている。
日々の生活の中でたくさんの動・植物・昆虫を見ているからだ。

忘れていた記憶を取り戻したり、新たに取り入れる知識など、彼からもらう事が多い。
それが楽しいこともあり切っても切れない関係が続く。(笑)

さて今日は松ちゃんの一面をご紹介しました。
次回も彼の牛飼いでない部分を書きます。

それではみなさん今日はこの辺で失礼します。
またお会いしましょう。



















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草ぼうぼう。

2016-07-07 17:20:30 | 日記
みなさん、こんばんは。
今年は本当に暑いですね。

七夕だというのに今日は30度を超す気温にぐったり。
梅雨だというのに雨も少なくて関東の水問題に拍車をかけてます。

去年の富岡町は除染が盛んに行われてきれいだったけれど、今はあちらこちらで元通りの草ぼうぼうの状態に戻っていた。


「ほれ、見てみぃ~除染したとこ、草に覆われて車が入れなくなってっぺ」と松ちゃん。
町から外れた場所には、こんな感じのところがあり、ほんとに除染の意味を考えさせられた。

松ちゃんちの牧場の除染も雨が降っては延期になり、遅れに遅れているとのこと。
住民が帰る帰らないにかかわらず国の方針だからという事で始められたが、人のいない農道や田んぼは除染前の姿を取り戻そうとしている。

おそらくお盆過ぎ頃には、セイタカアワダチソウが伸びに伸びて徘徊しまくる野生のイノシシの隠れ蓑になりそう。


富岡の松ちゃんの元田んぼの牧場は前回よりずぶ泥の状態でした。
「あとひと月、梅雨が明けるまではしょうがねぇ~な」と、ズブズブの牧場を眺めた松ちゃん。

牛たちはずっと先の2段3段目の場所で草を食んでいた。

松ちゃんは「除染はあと2年あるらしいけど、ほんとによ~、どこもかしこも草が生え柳の木も生え森になっちまうべな?木や草に覆われて入ることが出来ない家だらけになるぞ」と言い作業を始めた。

以前も同じことを言った松ちゃんだったけど、今年の状態を目の当たりにして本当に言った通りになって来たと感じた。
これが現実かと痛感。

頭の中では分かっていたのだけれど・・・・。
誰も帰らない町、人のいない町、これで復興か・・・と。


松ちゃんの姿を確認した牛たちは、一斉に餌場を見て動き出した。
彼らは常にげんきん!

今回、松ちゃんには色々と渡すものがあり、またNPOの件の相談もあって会いに来た。

松ちゃんはすでに今年の秋冬用の餌の件で動いてくれ、例年よりかなり早いペースで動いている。
今年は花の開花など例年よりも一ヶ月早いペースなので、準備が早いのはいろんな意味で吉と出ると思っている。


牛たちは少しだけ伸びた草を食むより、松ちゃんがくれるわらの方がお腹いっぱいになるので、もう突進してくるって感じです。

松ちゃんは作業しながら今の町の事、養蜂のこと、今年の秋冬の餌のこと、川に住む魚のこと、山に自生する植物の事など色々と話してくれた。

松ちゃんの家の下の牧場の餌やりは、帰還困難区域の牧場での餌やりよりも大変だ。
餌を抱え運ぶ柵の側の道が日陰のため、雨が降れば乾かず常に滑る。
足場の悪い所を何度も運ばないとならないので結構な作業です。


牛たちは一斉に松ちゃんの後を追い餌を求めた。

十数回運んで戻って来た松ちゃんの額には玉のような汗が。
毎日本当にご苦労様と言いたかった。

この後、帰還困難区域の牧場に餌やりに行き、そのあともぐるぐると町の中を探索。
僕は色々な事をまた彼から教わった。
次回は松ちゃんの横顔でも書こうかなと思います。

今日、松ちゃんを取材したい国の人がいるので紹介したいと連絡が入った。
大丈夫だと思いますと勝手に返答しちゃった。

今の松ちゃんの忙しさに輪をかけてしまうかも知れないが、彼はがんばる福島の歩く広告塔。
更にパワーアップして頑張ってもらおうと思います。

それではみなさん、今日はこの辺で失礼します。
またお会いしましょう。










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