「どうして一つ一つしてるの?同じことはまとめてすれば早いのに」
と、少女が言いました。
男の子は
「僕はまとめてするのが苦手なんだよ。まとめるだろ。そうすると溜まってしまってね。するのがとても大変な量になってしまうんだ」
「だから適度にまとめてサッサとすればいいのよ」
「僕は適度に、が、わからないんだよ。」
女の子は気の毒そうな顔をして向こうに行ってしまいました。
彼はこの日
一つ一つのやらねばならないことを
一つやっては、
あ、あれを忘れてる!と、処理し、
あれが抜けているな、と、戻り
大変効率の悪いようなやり方で
朝の5時から午後3時まで費やしたんです。
でも彼はやり切りました。
何だかとても気分が良くて
やればできたなあ。って笑顔になりました。
女の子が
「そんなの3時間もあればできるじゃない。何やってんだか。」
と、ため息つきましたが
男の子はそれでもうれしそうでした。
彼は一人で全部キチンとやりきれたことが嬉しかったんです。
この前ある人から
「まとめても中途半端。なかなか完全にできないなら、一つ一つ気になることは先にやりなさい。まとめないで一つ一つ片付けて行けばいい」
彼はその事を心に刻んだんです。
不器用で段取り下手な彼にとって
一つ一つやっていくことは大変時間もかかります。
まとめてサッサとする女の子みたいにしたかったのですが、何年経っても同じようにはできないのでした。
3時間の仕事が10時間もかかるなんて馬鹿らしいと思われるかもしれないけれど
彼はキチンとやりきれたことが嬉しかったんです。
彼は窓から差し込む夕日を見ながら
「よーし。またがんばろう」
と、笑顔で言いました。
良かったね。