物語は進む
時計の針の後ろ側から
普段は現れない小さな人たちが顔を出す
彼らは時の女神の使いで
普段は時計の文字盤の後ろに隠れている
それが時折
誰も見ていない時間に現れる
そんな小さな人たちは
時計の針の後ろでクスクス笑いながら
針を押したり引っ張ったりしている
時々時間がゆっくり進んだり
特別早く感じたりするのは
概ね彼らのいたずらのせいなのである
人は自分の感じ方で時が長く感じたり短く感じたりすると思っているが
そうではなくて
実は小さな人たちの仕業なのである
小さな人たちの姿が見たければ
一度出かけたふりをして
こっそり裏口から家の中に入るのがいい
そうして静かに忍び足で時計の真下まで来たなら
ゆっくり上を見てご覧なさい
小さな人たちの小さな笑い声やささやく話し声を聞くことができるから
息を潜めて
そっとそっと。
そんな時に限って
おるごーる達はいたずら好きで
突然ポロンと音を立てる
彼らは見つかったと慌てふためき
文字盤の隙間からまた中に隠れてしまう
そんな場面を目にしたなら
あなたはとびきりの笑顔で
自分の胸に手を当てて
ドキドキしている自分の鼓動を確かめながら歌うといい
時の女神の愛の子守唄を