特殊清掃「戦う男たち」コメント公開

戦友の意見交換の場として公開しています。

血の重荷(公開コメント版)

2023-06-08 08:59:56 | 猫屋敷
梅雨入りが迫ってきている今日この頃。
だんだんと蒸し暑くはなってきているけど、まだまだ過ごしやすい。
週末ともなると、朝は下り、夕は上り、行楽の車で高速道路は渋滞。
家族と共に楽しい時間を過ごすことは、人生の大きな幸せの一つ。
行楽に無縁の私にとっては他人事ながら、喜ばしく思える。

多くの人が共感してくれるだろう、「家族」っていいもの。
「打算や利害はない」とまでは言えないけど、ほとんど無条件で、愛し合い、助け合い、信頼し合い、堅い絆で結びつき合える間柄。
外の世界では、そんな人間関係、そう簡単に構築できるものではない。
しかし、その反動か、揉めやすいのもまた事実。
心の距離が近い分、遠慮や尊重がしにくく、怒りや憎しみの感情を抑えにくい。
傷害や殺人についても、他人同士より血縁者同士の方が多いといったデータもあるらしく、日々において、そんなニュースを見聞きすることも少なくない。

また、「血のつながり」を重視するのが日本人の民族性なのか、古くから「家系」とか「血統」とかいったものが大事にされる。
それに裏打ちされるように、先祖崇拝の思想も根強いものがある。
それを否定する理由はない。
ただ、懸念もある。
それは、「問題を起こした者の血縁者」というだけで・・・続きはこちら

最期に向かって(公開コメント版)

2023-05-31 08:11:52 | 遺品整理
“生”と“死”は常に隣り合わせ、表裏一体。
病気、事件、事故、戦争、天災などで、日本や世界のあちらこちらで、毎日毎日、多くの命が失われている。
そして、それを伝えるニュースも日常に溢れている。
しかし、生きている我々は、“死”を縁遠いもののように錯覚している。
それが生存本能というヤツなのかもしれないし、そうしないと前向きに生きられないのかもしれない。

そうは言っても、“死”は、病人や高齢者だけにかぎったことではなく誰にでも訪れる。
ある日突然か、自分が想像しているより早いか、自分が覚悟しているより遅いか、たったそれだけの違いがあるだけで否が応でも。
一般的には、健康長寿をまっとうし、終活をキチンと済ませた上で“コロリ”と逝くのが理想と言えようか。
ただ、多くの人が思い知らされているように、人生なんてものは、そんな生易しいものではない。
人生はもちろん、死期も死に方も、なかなか思い通りにはいかない。
そんな荒道を、どれだけ頑張って、どれだけ辛抱して歩いていくか、そして、どれだけ真剣に最期に向かっていくか、それが“生”の課題なのかもしれない。

遺品整理の相談が入った。
声から判断するに、電話の主は老年の女性。
「身内が亡くなったので、部屋の家財を処分したい」とのこと。
そうなると、まずは、現地調査が必要。
その上で、見積金額と作業内容を提案することになる。
私は、そのことを説明し、私と女性 双方の都合を突き合わせて、現地調査の日時を定めた。

約束の日・・・続きはこちら

偽善意(公開コメント版)

2023-05-18 07:47:15 | 腐乱死体
もう、二十年も前のことになる。
私は、会社近くの賃貸マンションで暮らしていた。
駅近で立地はよかったのだが、その分、家賃は高め。
併せて、色々な事情があり、岐路に立たされ、人生は、入居時には想像できなかった方向へ進み、結局、たった一年で転居することになった。

そこで、不本意かつ不愉快なことが起こった。
それは、部屋の原状回復についてのこと。
ゴミを溜めていたわけでもなければ、掃除もキチンとしていた。
タバコも吸わなければ、動物も飼っていなかった(迷い犬を一時的に保護したことはあったけど)。
にも関わらず、退去時、預けていた敷金はまるごと没収され、追加の原状回復費用まで請求されてしまった。

「たった一年しか住んでいないのに・・・」
納得できなかった私は、不動産会社に説明を求めた。
しかし、
「居住期間を問わず、退去時には一律に請求させてもらうことになっているので」
と、無碍の一言。
その後、何度かやりとりしたが、納得のできる説明はなし。
結局、
「数万円で片付くなら・・・」


生くあて(公開コメント版)

2023-05-08 08:30:48 | その他
三年ぶり・・・
コロナ規制が大幅に緩和された今年のGWは、季節外れの暑さも手伝って、多くのところで盛り上がりをみせたよう。
ニュースが伝える各所の盛況ぶりは、コロナ禍について、悪い夢でも見ていたかのような錯覚を覚えるくらい。
そして、新型コロナウイルスも、「危険性がもっとも低い」とされる五類に引き下げられた。
ただ、引き続き、高齢者や基礎疾患のある人への配慮は必要だし、後遺症に苦しんでいる人も少なくないらしいから、まるっきり過去の禍として忘れていくわけにはいかないと思う。
また、倒産・失業、そして病死、この禍によって、取り返しのつかない事態に陥った人も少なくない。
社会経済や世の中が息を吹き返そうとしているところに水を差すようなことを言うのはナンセンスだとわかりつつも、諸手を挙げて喜ぶことはできない。
この社会には、いまだ、多くの弱者がいることも忘れてはならない。

物価も上がりっぱなし。
一部では賃金が上がっているところもあるらしいが・・・続きはこちら

鼻つき(公開コメント版)

2023-03-19 16:00:37 | 死臭 異臭 消臭
コロナが落ち着いてきたのを機に、「マナー推奨」の条件付きとはいえ、マスク着用が解禁となった。
議論されることは多々あったけど、マスクはウイルスの放出や吸引を抑制し、感染防止に一定の効果があったと思う。
(大金がつぎ込まれた“アベノマスク”は無駄以外の何者でもなかったように思うが。)
功罪は別として、前回書いたとおり“覆面”の効果もある。
これで安心感を得ている人も少なくないだろう。
また、ニオイについても影響がある。
自分の口臭に気づきやすくなったり、外のニオイに気づきにくくなったり。
事実、口臭対策の商品がよく売れているそう。
ただ、一般の不織布マスクでは、常日頃、私が遭遇している鼻を突くような悪臭を防ぐのは無理。
マスク自体が一瞬にしてクサくなって、防塵としての役割しか果たさなくなる。
何はともあれ、マスクの脱着が余計なトラブルを招くようなことがないまま月日が流れていってほしい。
デリケートな領域の事柄につき、誰かのちょっとした行為が鼻につく人も少なくないように思われるから。

しかし、いつの世にもどこの地にも、鼻につく人間っているもの。
良し悪しは別として、合わない人間はどこにでもいる。
ただ、他人の欠点や短所には敏感なクセに、自分のそれには気づかないのが人の性。
“自分が正しい”“自分は良い人間”と思っていたら大間違い。
結局のところ、誰かにとっては、自分も鼻につく人間の一人のはず。
そこのところを充分に弁えておくことが大切だと思う。

SNSを一切やらない私には縁のない世界の話だけど・・・続きはこちら


無駄(公開コメント版)

2023-02-24 08:55:27 | 特殊清掃
三年が経ち、コロナ禍も終盤に入りつつあるのか・・・
感染症の分類も5類に引き下げられることになり、マスク着用も原則として「個人の判断」となる模様。
そんな中、判断の難しさや想定されるトラブルをネタに各所で議論が巻き起こっている。

コロナ対策とは別の視点だが、人は マスクを着けていると美男美女に見えやすいそう。
事実、TVに映る一般人を観ても、多くの人が美男美女に見える。
同時に、身の回りには、マスクを外した素顔を見て、「この人、こんな顔だったんだ・・・」と、失礼ながら、想像していたほどの美形でなかったことに驚いてしまった人が何人かいた。
私の場合、マスクを着けていても美男には見えないだろうけど、その逆もあるかもしれない。
そう考えるとお互い様。
それを口に出さないことが大切なマナー。

顔半分を隠して生活することになれてしまって、人によっては、もはや、マスクは服の一部。
すでに、多くの人が「マスク依存症」「素顔アレルギー」に罹り、メンタルの問題に発展している気配もある。
「コロナもインフルも花粉も気にならないけど、顔を出すのが恥ずかしいから」と、マスクを着用し続ける人も少なくないのではないかと思う。

私の場合、人と人との距離が近くなる場面においては、“マスクを着けてほしい”と思う。
屋内はもちろん、屋外でも近い距離で会話する場合はマスクを着けてほしい。
心配してもキリがないのはわかりつつも、誰かから感染するのはイヤだし、誰かに感染させるのもイヤ。
そんな感覚だから、おそらく、私は、“着用派”になるだろう。
そして、それが無駄なこととも思わないだろう。
ただ、マスクを着けていない人に対して悪い感情を抱かないように気をつけなければいけないと思っている。
特殊清掃の相談が舞い込んだ。


意思不疎通(公開コメント版)

2023-02-06 08:51:48 | 孤独死
「一月は行く」「二月は逃げる」「三月は去る」とも言われるが、モタモタしている間にもう二月。
とはいえ、春はまだ遠く、寒い日が続いている。
とりわけ、この冬は、厳しい寒波が日本列島を襲っている。
太平洋側の一部を除き、各地、幾度となく大雪に見舞われ、車の立ち往生や家屋の倒壊など、トラブルが頻発。
スリップ事故、屋根の除雪作業、雪に埋もれた車中、バックカントリースキー中の雪崩・・・不慮の死を迎える人も。
TVを観ても、コロナのことより寒波を伝えるニュースの方が多いような気がする。

ただ、世界に目を向ければ、寒々しいのは季節ばかりではない。
世界各地で戦乱が後を絶たず、圧政が堂々と行われている国も少なくない。
“ペン”で解決できないから“銃”を出す。
現実には、話し合いで片付かないことがたくさんあり、結局、人間は暴力に走る。
これは国家レベルだけのことではなく、個人レベルでも同様。
“口”で解決できないから“手”を出す。
我々の社会の中でも暴力は日常的に横行しており、それで亡くなる人もいる。
この世の中には、少しでも気持ちを通じ合わせることができれば避けられる問題、解決できるはずの問題が何と多いことか。
これは、人間の愚かさ、人間の限界が生み出す、逃れることができない“負の定め”なのだろうか。

訪れた現場は、賃貸マンションの一室。
そこで暮らしていた高齢の住人が孤独死。
そして、そのまま数日が経過・・・続きはこちら

無関心と孤独(公開コメント版)

2022-12-31 10:00:02 | 腐乱死体
2022年大晦日、今年も今日でおしまい。
世間は、正月に向けて賑やかに華やかになっている。
ただ、そんな祝賀ムードに反して、コロナ禍が、再び暗い影を落としている。
まさか、こんなに長い戦いになるとは・・・
「もう、大きな波はこないのではないか・・・」
七波が過ぎた頃、何の根拠もない中で、私は、何となくそんな風に思っていた。
しかし、現実はこの通り。
再び、大波が押し寄せている。

ただ、世の中に漂う不安感は、それほど大きくない。
特段の行動制限もないうえ、メディアも、以前のような不安を煽るような?報道もしていないような気がするし。
また、外国人観光客も戻りつつあるようだし、気持ちにも財布にも余裕がない私には縁のない話だけど、TVをつけると、家族や友人を連れ立ってショッピングやレジャー、行楽や旅行、趣味や飲食を楽しむ人の姿が多く映し出される。
良し悪しは別として、“withコロナ”が定着しつつあるのだろう、慣れてしまった感が強い。

当初は、ワクチンを打たない人は少数派で、時には、非難の的になることもあった。
が、接種回数が進むにつれ、接種率も低下。
副反応のツラさや重症化率・死亡率の低下が影響しているのだろう、私の周りにも、「面倒くさいから」と、四回目を打たない人がでてきている。
私もその一人なのかもしれないけど、多くの人が、良くも悪くも危機感が低下、良くも悪くも無関心になっているような気がする。

しかし・・・続きはこちら

わけあり(公開コメント版)

2022-12-13 08:29:05 | 自殺現場
2022年も師走に突入。
忘年会やクリスマス、正月仕度で、何かと物入りな時季がやってきた。
しかし、そんなことおかまいなく、前回も書いたとおり、懐は寒々しいかぎり。
更に、昨今の物価高が、それに追い討ちをかけている。

色々な訳があることは理解できるけど、あちらこちらでモノの値段が上がりっぱなし。
とりわけ、庶民の財布を直撃する電気・ガス・食品については、頻繁にニュースになっている。
ガソリンも、一時期に比べれば下がりはしたものの、高止まりが続いている。
もともと使う金額が小さいから、これまであまり意識することはなかったが、ここにきて生活コストの高さを実感することが増えてきた。
私は、毎月、決めた予算内でやりくりしているのだが、以前に比べて、月末にかけての残金の少なさを痛感させられるようになってきたのだ。

予算を増やせない以上は、支出を抑えるしかない。
まずは、電気とガス。
もともと省エネ生活を心掛けている方だけど、今は、一層、それを強化。
エアコンはあるが、暖房で使うことはせず。
コンセントを抜いて休眠状態に。
コタツやホットカーペットは、そもそも持っておらず。
部屋にある暖房器具は、小さなガスストーブだけ。
どうしても寒いときにはこれを使い、あとは、厚着と靴下と膝掛でしのぐ。
また、どんなに寒い日でも、風呂は短いシャワーのみ。
浴槽に湯をためて温まるなんて贅沢なことは一切しない。

光熱費もさることながら、食費の節約効果は更に大きい。
その分、やり甲斐(?)はある。
ただ、単に「安ければいい」というのではなく・・・続きはこちら

貧しさと切なさと心細さと(公開コメント版)

2022-11-28 15:37:00 | ごみ処分
11月も下旬、師走が目前に迫っている今日この頃。
朝晩はもちろん、陽によっては日中も寒さが感じられるようになっているが、そんな季節の移ろいをよそに、春だろうが夏だろうが、懐はず~っと寒いまま。
足音聞こえる真冬に忖度しているわけでもないだろうに、温かくなりそうな兆しは一向にない。

少し前、TVの報道番組で観た切ない話。
そこでは、コロナ禍、円安、物価高により、経済的に困窮している人に焦点を当てたコーナーで、何人かの実例が取り上げられていた。
これを観ても明るい気分にならないことはわかりきっていた。
しかし、他人事として片付けられない不安感に駆られて、チャンネルを変えることなく視聴した。

派遣業の20代男性。
仕事がなく、取材時の所持金は百数十円。
働く気があっても 自分に回ってくる仕事はわずか。
少し前まではネットカフェで寝泊りできていたものの、金がなくなり路上生活に。
何度か役所に生活保護の相談に行ったが、「若いから」「住居がないから」と門前払いになっていた。

零細企業経営の50代男性。
コロナ禍で売上が激減。
それでも、「コロナが過ぎれば復活できる」と・・・続きはこちら