特殊清掃「戦う男たち」コメント公開

戦友の意見交換の場として公開しています。

冬の花(前編)

2007-02-28 08:44:39 | Weblog
花って、その多くが暖かい季節に咲くのだろうが、暗く寒い冬にもきれいに咲く花もある。
歳を食ってくると、そんな些細なことにも気持ちが動くようになる。
それは、決して悪いことではなく、感性が豊かになっているものと自分では歓迎している。

もともと私は、花を愛でるような感性を持ち合わせている人間ではなかった。
「好きな花は?」
と尋かれても、
「桜・・・くらいかな」
と、中途半端に答えるのみ(桜って、花?樹?)。
現実主義と言うか、味気ないと言うか・・・子供の頃から、そんな情緒を育むことなく大人になった。


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奴隷

2007-02-26 15:18:45 | Weblog
「働けど働けど、なお我が暮らし楽にならざり、じっと汚手をみる」

「奴隷のように働かされてる」
とは言えないけど、こんなに働いていても何年も前から生活レベルは一向に上がらない私。
上がっていくのは年齢ばかり。
平均的に生きるとすれば、私の人生マラソンは折り返し地点にさしかかっている。
このまま向上心を持ち続けて攻めるか、諦めて守りに入るか、選択を迫られるつつあるデリケートな年頃だ。

日本もそうだが、ロシアや中国では所得格差の広がりが著しいらしい。
以前に比べて富裕層が増えているものの、それ以上に貧困層の増加が激しいとのこと。
お金が払えなければ、病気療養中の人でも病院から追い出されるような社会で、浮浪者は大人だけにとどまらず多くの浮浪児も発生。
見るに耐えない、聞くに耐えないニュースである。
そんな国の底辺では、それこそ奴隷のように酷使されている人も少なくないのだろう。


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空たかく

2007-02-24 09:40:52 | Weblog
今年の冬は暖冬と言われている。
確かに、その実感はある。
東京では、例年2~3回は積もる雪も、今だに降っていない。
空の高い晴天の日は、春を思わせるような日が多い。
地球温暖化・異常気象云々の難しい話は置いといて、単純にそんな陽気は気持ちいいものだ。

私にとって冬という季節は、肉体的には楽で精神的にはツラい季節。
ただ単に、「寒さが苦手」とか「夜の長さが気持ちを暗くさせる」と言うことだけではなく、何とも説明のつかない闇が心を支配してくるのだ。
そんな冬の日々の中で最もツラいのが明け方・早朝。
ただ単に、「眠い」とか「寒い」と言うことだけではなく、何とも言えない悲壮感に苛まれるのだ。

「このまま、夜が明けなければいいのに・・・」
「このまま、目が覚めなくてもいいかもな・・・」



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マッサージ(後編)

2007-02-22 08:41:21 | Weblog
普段の私は、風俗街にも風俗店にも縁がない。
男の端クレとして全く興味がないわけではないが、「行ってみよう」という気にはならない。
料金も安くなさそうだし、さすがにこの歳になると小っ恥ずかしい。

随分前の話だが、
「風俗遊びをしたことがない」
と言うだけで、
「半人前・未熟な男」
みたいな評されたことがある。
もちろん、男同士の内輪の話だが。

愛人を囲えるような男性を「甲斐性のある男」として、どことなく上に見てしまうようなところはないだろうか。
「女遊びの一つや二つできないようじゃ、一人前の男じゃない」と言われてしまいそうな世の価値観に、何となく馴染めない私。
そうは言っても、私にも情欲はある。
とても、世の男性を批難できる立場ではない。
ま、「他人を批難するのは簡単で、己を知ることこそが難しい」と言うことだ。



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マッサージ(中編)

2007-02-20 09:23:00 | Weblog
「仕事!仕事!」
私は、冷汗をかきかき店の中に入った。

「いらっしゃいませ~!」
蝶ネクタイ姿の店員が、愛想よく出迎えてくれた。
私を客と勘違いしていることは明らかだった。

場所が場所だけに、その誤解は直ちに解いておかなくてはならない。
「消臭消毒の業者なんですけど・・・」
その途端、店員は自分の口に人差指を立て、他に客がないかを確認。

「!」




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マッサージ(前編)

2007-02-18 08:59:07 | Weblog
現代社会では、男女を問わずひどい肩コリや腰痛に悩まされている人が多いようだ。
詳しいことは分からないけど、その原因も色々あるみたい。
肉体的な原因はもちろん、精神的なストレスも原因になるかもしれない。

何年か前、私も腰を痛めて整体院に通っていたことがある。
痛みがとれるまで、かなり時間と費用がかかった。
腰をやっちゃった理由は恥ずかしくて言えないけど・・・仕事じゃないことは確か。

整体院や接骨院は、街でもよく見かけるようになってきた。
特に、ここ2~3年の間に急激に増えてきたように思うけど、どうだろうか。
ま、それだけニーズがあるってことだろうね。

家電量販店などに置いてある電動マッサージチェアにも、いつも誰かが座っている。
すごく気持ちよさそうにしている姿を見ると、ついつい私も座ってみたくなる。
しかし、私にとっては「痛い」or「くすぐったい」ばかりで、とても気持ちいいものではない。
幸い、今の私には肩コリも腰痛もないのだ。



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メッセージ

2007-02-16 08:33:39 | Weblog
普段は、ほとんどテレビを観ない私。
しかも、新聞も読まず、インターネットもほとんどやらないときた。
そんな私は、世の中の流れや新しい情報にはかなり疎くなっている。
しかし、情報が溢れるこの社会では、そんな受け身一辺倒の私にでも、色んな角度から世間のニュースが入ってくる。
いちいち興味を持たない私は、膨大な情報のほとんど聞き流すのだか、ついつい耳を澄ませるニュースがある。
そう、人の死にまつわるニュースだ。

事件・事故・災害・戦争・病気・自殺etc
毎日、何人もの人が死んでいる。
そんな中でも特に、
「いつ・何が起きるか分からないもんだなぁ」
と思わせるような死のニュースには、いつも偶然の生と必然の死を痛感させられる。
「俺には、いつ・どんな死が待っているのだろうか」
なんて考えると、不安と恐怖でドキドキだ。


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フォトグラフ

2007-02-14 07:43:28 | Weblog
日本人が写真好きであることは、海外から皮肉られるくらいに有名な話である。
メガネをかけ、首からカメラをブラ下げてペコペコと頭を下げる姿が、外国人が見る日本人像らしい(かなり古い情報かもしれないけど)。

今の時代、カメラと言えばデジカメだろう。
そんなデジカメも、数年前は画素数も少なくやたらと重くて、持っている人もまだ少なかった。
そして、カメラ付携帯電話もまだ珍しく、性能も粗末なものだった。

それが今じゃどうだろう。
デジカメはどんどん小型化・高性能化し、格段に使いやすくなっている。
今では、かなりの人が使っているのではないだろうか。
更に、携帯電話には驚きだ。
そのカメラの画素数は、デジカメに劣らない。
アナログ人間の私は、もう完全について行けなくなっている。
(そうは言っても、blogを書くためにケータイをWordなみに使っている私は、別の意味で先端を行っている?)



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ぽっぽっぽ(後編)

2007-02-12 08:52:51 | Weblog
「す、巣と玉子を処分するんですか!?」
予想してなかった依頼者の男性の反応に、私は動揺した。

近隣からの苦情を恐れる男性の心情も分からないではなかった。
この家に対する近隣住民の心象を少しでも改善しておくことは、男性本人の保身にもつながる大事なこと。
地域社会を敵に回しては、何かにつけてやりにくい。

しかし・・・
身の危険を感じても子供を守ろうとするアノ母鳩から玉子を奪うなんて、気の弱い私には到底できるものではなかった。
「あの母鳩がハエで、あの玉子がウジだったらなぁ・・・難なく始末できるのに」
生き物・生命に対する自分のエゴと矛盾を忘れて、そんな風に思った。


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ぽっぽっぽ(中編)

2007-02-10 09:01:03 | Weblog
「な!なんじゃ?ごりゃーっ!」
マスクを通じて、自分のの汚叫びが耳にこだました。

部屋は全体的に白っぽく、モヤがかかったように空気が汚れていた。
家具や生活洋品は少なかったものの、部屋の至るところに鳩の糞と羽が散らばり、場所によっては糞が厚い層・山を形成していた。
しかも、それだけじゃなく、鳩死骸と玉子も無数に散乱。
それは、人の腐乱とは趣を変えた、凄まじい光景だった。
普段、簡易マスクだけで現場に入ることも少なくない私だが、この時はゴーグルと防毒マスクを着けておいて正解だった。

「これを片付けろってか!?」
「故人も、よくこの状態で暮らせてたよな」
私は、呆れるやら感心するやら。

しばらく後、作業の日を迎えた。
結局、やるしかなくなったのである。




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