特殊清掃「戦う男たち」コメント公開

戦友の意見交換の場として公開しています。

縁の下に咲く花(公開コメント版)

2015-03-29 16:39:37 | 害虫駆除 消毒
今年もまたこの季節がやってきた。
そう、桜の季節だ。
今日も、日中の気温は高く、桜は一気に開花。
「もう一年過ぎたのか・・・早いもんだな・・・」
と、昨年の桜を昨日のことのように思い出しながら、あちらこちらに見える薄桃色を愛でている。
ただ、美しく咲くのは桜だけではない。
足元に目をやると、小さな春花がひっそりと咲いている。
人々の目は派手に咲く桜に奪われやすいけど、樹の陰や地ベタに咲く花もまたきれい。
小さな春花も桜も、その真美は変わらない。

そんな春、もうじき4月、年度始め。
卒業、進学、就職、転職、異動、転勤etc、新鮮な気持ちをもって新しいスタートをきる人も多いことだろう。
しかし、零細企業の一労働者である私にそんな新鮮さはない。
珍業・小組織にあっては異動や出世の概念そのものがない。
盆暮正月も年度始めも関係なく、長期的なビジョンもなく、日々与えられる業務をこなすのみ。
そんな代わり映えのしない毎日に浮沈する気分を乗せ、ウンザリしたり飽き飽きしたり、逆に、その無難さに感謝したり幸せを感じたりしながら過ごしている。

ただ、そんな代わり映えのしない毎日と戦っているのは私だけではない。
・・・多くの人がそうかもしれない。
折れながら、凹みながら、それでも立ち上がって戦う・・・
そして、それは、この依頼者女性も同じだった。

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大福中毒(公開コメント版)

2015-03-24 09:26:31 | 特殊清掃 消臭消毒
私は、甘味が好き。
食べることだけではなく、見るのも好き。
洋菓子・和菓子を問わず、色とりどり・多種多様の菓子が店頭に並んでいるのを見ると、子供のように気持ちが軽くなる。
クリスマスシーズンには、洋菓子店にかぎらずスーパーやコンビニにケーキのチラシが出回るが、それだけをもらって眺めてはほのぼの感を味わうこともある。
そういった具合に、菓子は、平和と豊かさを感じさせてくれる。
そして、それは、こんな社会にいられることがホントにありがたいことであることを気づかせてくれる。

そんな私だが、昨秋から冬にかけてプチダイエットを敢行。
その期間は、おのずと甘いものは控えざるを得なかった。
菓子は身体を生かすうえでの必需品ではない。
食べなくて精神の健康を害することはあるかもしれないけど、身体の健康を害することはないはず。
だから、とにかく、甘いものは口に入れないよう注意した。
しかし、理性で本性を変えることはできない。理性は本性を抑えるのみ。
“食べたい!”という欲求を抑えるのには、結構な辛抱を要した。

特に食べたくなったのは大福。
ケーキでもアイスクリームでも団子でもなく大福。
以前、大山(神奈川県伊勢原市)に登山した際の塩豆大福との葛藤を書いたことがあったが、アレで味を占めてしまい、以降、まるで中毒にでもかかったみたいに大福への欲求が治まらなくなってしまった。
しかし、まがりなりにもダイエット中。
自分の中では、おやつを食べるのはタブー!
そこで一考。
皿に切餅を並べ、チンしてやわらかくなったところに餡をかけたものを製作(“調理”といえるほどのものではない=カレーライスのカレーを餡に、ライスを餅にした感じのもの)。
そして、
「これは菓子じゃないぞ!御飯だ!御飯!」
「俺は欲望に負けたわけじゃない」
と、言い訳にしかきこえない屁理屈で痩せたダイエット魂を押さえ込んだ。
そして、これ一回きりでは済まず、以降、何回かこのヘンテコメニューに舌鼓を打ったのだった。

余談だが・・・

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馬鹿に説法(公開コメント版)

2015-03-20 15:16:05 | 遺品整理
私の世界は狭い。極めて小さい。
特異な小コミュニティーに属し、世の陰でレアな仕事をしながらひっそりと生きている。
一日中、外の誰とも会話しない日だってザラにある。
車での移動中、単独での作業中等、一人で黙っている時間は一日何時間もある。
だから、心の中の独り言が多い。自問自答が多い。
ただ、このポンコツ中年男、そうして歳は重ねているけど、中身はそれほど成長していない。
それでも、仕事においては大ベテラン。幸か不幸か。
教えることはあっても教わることはほとんどない。
新しいことは自らが吸収し、わからないことは自らが考えるしかない。
また、この歳になると、道を説いてくれる人もいない。
先に逝った人々の生き跡や、残された人々の生き様を受けて心の向きを変えながら、頭で理解する正義と心が傾く悪楽の狭間でブレながらフラフラと歩いている。

私は、子供の頃から、人見知りで引っ込み思案な性格。
人と競り合うことが苦手。単なる“負けず嫌い”とは少し違うと思う。
他人を押しのけて先頭を走るタイプではなく、誰かの後を大人しく着いていくタイプ。
性格なんて、そんなに変わるものではなく、その辺のところは、この歳になってもあまり変わらない。
しかも、私は社交的な人間ではない。
だから、大勢の中に属することにストレスを感じる。
ただ、前ブログにも書いたように、不特定の誰かと限られた時間関わることに面白みを感じることがある。
特段の話をするわけでもないのだが、何気ない言葉のやりとりで自分の存在意義を感じられるときがある。
好きでやっている仕事ではないし、他の仕事を羨んでばかりいるけど、誰かと競り合うこともいらず、そういうところでは、この仕事は自分に合っているのかもしれない。


呼ばれて出向いたのは、一般的な一戸建。
依頼者は、初老の男性。

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涙酒(公開コメント版)

2015-03-16 16:56:22 | 遺品整理
更新頻度が低いことの言い訳のようだけど・・・っていうか、モロ言い訳だけど、ブログ製作は私の本業ではない。
ま、そうは言っても、ある種、仕事のようなもの。
そしてまた、仕事外の務めのような、趣味のような、息抜きのような、気分転換のような、そんな感じのものである。
しかし、昔の筆圧はどこへやら、今は、気の向くまま時間がゆるす範囲でやっている。
ただ、筆圧は低下しても、現場へ向かう意気に低下はない。
一件一件、仕事になりそうでもならなそうでも、とにかく走る。
そして、色々な状況で、色々な人と出会い、関わる。
正直なところ、気持ちよく仕事ができない人や不快な人がいることも事実。
だけど、大半の人は良識をもって普通に仕事をさせてくれる。
接してて気持ちがいい人、話してて楽しい人、見てて愉快な人、生き様に頭が下がる人、走った先には色んな人がいてなかなか面白い。
私は、口下手で人付き合いが苦手な孤独好きだけど、楽しくない仕事をしているからこそ人との関わりを面白く感じるのかもしれない。

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小満足(公開コメント版)

2015-03-07 15:04:00 | 遺品整理
昨年秋からのプチダイエット。
約三ヶ月で標準体重まで落とし、以降は、その維持に努めている。
ただ、維持のつもりでも、ダイエットで身についた習慣をベースに生活しているから、体重は微減を継続。
今では、夕食後の計測でも標準体重を下回るようになっている。
必要以上に痩せたいわけではないので、今後は、摂取カロリーと消費カロリーのバランスをうまくとっていきたいと思っている。

ダイエットの収穫は減量だけではない。
私は、これを通じて面白いことを発見した。
それを一言でいうと、
「空腹でしか味わえない満足感がある」
ということ。
そして、
「満腹で味わう満足感より、空腹で味わう満足感のほうが充足度が高い」
ということ。
ダイエットに難なく成功した達成感がそう思わせているのかもしれないけど、少し腹が減っているくらいが身体にも精神にも健康的なような気がする。
実際、空腹のほうが夜よく眠れるし、朝の心身も軽い。
現場でも、身体がよく動く。
「努力して・忍耐して・挑戦して得られる満足感は、楽して・楽しようとして得られる満足感に勝る」
この感覚をうまく伝えられないのが歯痒いけど、そんなきれいごとを、私は実感として覚えているのである。



「相続するかどうか考えてまして・・・」
「相続しない場合は頼めませんけど・・・」
依頼者の女性は、少し気マズそうに言った。
「大丈夫ですよ・・・現場を見ないと何も始められませんから」
仕事にならなそうでも現場を見に行くことをモットーとする私は、女性の躊躇いを掃うように明るく応えた。


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