特殊清掃「戦う男たち」コメント公開

戦友の意見交換の場として公開しています。

負け犬の遠吠え(公開コメント版)

2013-12-31 09:50:30 | 自殺 事故 処理
「お前は負け犬」
「お前のブログは負け犬の遠吠え」
時折、そんな声が聞こえる。
そして、それは、自分を見つめ直すきっかけを与えてくれる。

勝敗の判断基準をどこに置くかによると思うけど、私はそれを否定しない。
容姿、収入、学歴、職業etc・・・私は、金持ちでもなく、社会的に高地位についているわけでもない。
人から羨望されるようなこともない。
そういう面では、人との勝負にはほとんど負けている。
だから、一般的にみて、“負け犬”と思われても仕方がない。

また、私の話には、“きれいごと”とされやすいネタやネガティブな愚痴が多い。
常に、不平・不満・不安感に支配され、陰気クサイ雰囲気がプンプン。
こうして自分を卑下する自虐ネタも好きで、それが陰気臭さを倍増させているかもしれない。
このブログにしたって、読んで明るい気分になれることは少なく、どちらかというと神妙な気分になることのほうが多いのではないだろうか。

しかし、負け犬は負け犬でも、不戦敗ではないと思っている。
一応は、戦っているつもりである。
生きていること・生きることを当然のことと思い、生きるということはどういうことか・生きるためには何をしなければならないのかなんてことは何も考えず、生に対して無責任でいられた若い頃は戦いを避けて通り、不戦敗を続けてきたこともあった。
しかし、この仕事を始めてからは、それも減ってきたように思う。
そして、ときには善戦したこともあったように思う。
完敗ではなく惜敗だったことがあったかもしれない。
それらを経て、わずかながらでも、努力することと忍耐することが身についてきたように思える(この歳になって、“手遅れ”の感もあるけど)。

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Merry Christmas(公開コメント版)

2013-12-25 16:45:43 | 遺品整理
イヴの昨夜は、パーティーを楽しんだ人が多いのではないだろうか。
しかし、日本はキリスト教国ではない。
「キリスト教徒は100人に1人、またはそれ以下」とも言われる。
なのに、12月はクリスマスムード一色。
まるで、ほとんどの人がキリスト教徒であるかのように、「メリークリスマス!」と歓喜し、笑顔をふりまく。
正月は神式、葬儀は仏式、結婚式はキリスト教式等々、この節操を欠く無信心ぶりは、何ともおかしい。
それでも、クリスマスには、多くの人に幸せな時間が与えられるわけで、これもキリスト・イエスのお陰。
少なくとも、これくらいのことは覚えたいものである。

私は、例年通り、昨夜は静かに過ごした。
クリスマスケーキもなければ御馳走もなし。
夕飯はカレーにし、好物の酒も飲まなかった。
私にとってクリスマスイヴは、気分を騒がしくさせるものではない。
だからと言って、暗い気分で寂しくいたわけではない。
私なりに、幸せ気分を味わいながら、また、色んなことに感謝しながら過ごしたのである。


ある年の12月上旬、遺品処理の依頼が入った。
電話の向こうの声は、初老の男性。
落ち着いた話し方と丁寧な言葉遣いは、男性がそれなりの紳士であることを想像させた。


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女は度胸 男は愛嬌(公開コメント版)

2013-12-19 14:59:08 | 特殊清掃
出向いた現場は、古い一戸建。
私は、依頼者と約束したのよりだいぶはやい時刻に到着。
家の前の路上の車をとめ、依頼者がくるのを待った。
しばらくすると、一組の若い男女が視界に現れた。
二人には、私が“特掃屋”だとすぐにわかったのだろう、こちらに向かってペコリと頭を下げながら近づいてきた。

二人の外観年齢は20代前半。
だから、私の目には二人が姉弟に映った。
しかし、実際は夫婦。
まだ結婚して間もない、新婚夫婦だった。
そして、この家は女性の実家で、亡くなったのは、一人暮らしをしていた女性の父親だった。

警察から、
「家には入らないほうがいい」
と言われた二人は、まだ室内を確認しておらず。
それでも男性は、
「一緒に入らなくてもいいですか?」
と、部屋には入りたくない様子。
一方の女性は、
「一緒に入ってもいいですか?」
と、部屋に入りたい様子。
女性にとっては実家であるわけだから、貴重品や遺品のチェックをしたいのだろうと思った私は、
「どちらでも構いません」
と返答。
ただ、警察が入らないほうがいいと言うからには、部屋はそれなりに凄惨な状態のはず。
そして、心に何の準備もなく現場を見た場合、大きなショックを受ける可能性は大。
私は、
「私が先に入って、中の状況を確認してくることもできますけど・・・」
と、まずは私が部屋を見てくることを提案。
すると、二人は、
「それでお願いします」
と、口をそろえて応えた。

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大掃除(公開コメント版)

2013-12-14 13:58:28 | 餓死
暮れも押し迫ってきて、家や会社の大掃除を予定している人も多いのではないだろうか。
一年の汚れやホコリをサッパリ落とせば、気持ちもスッキリする。
新年を迎えるにあたって、身辺をリセットできる。
そうは言っても、私に大掃除の予定はない。
普段からきれいにしているからではない。
また、仕事のせいで掃除に飽きているのでもない。
ただ、面倒臭いだけ。
あと、特別な年末年始休暇があるわけでもないから、掃除によって気持ちがリフレッシュされることも期待できないといった諦めもある。
ま、私は、潔癖症の皮を被った不潔症といったところか。

この時季は、大掃除とあわせて忘年会のシーズンでもある。
会社の仲間や学校の友達等が寄り集まって、街では毎晩のように忘年会が開かれていることだろう。
美味しいモノを飲み食いして、一年の嫌なことを忘れることが忘年会の本来の趣旨だとも言われる。
一年過ごせば、忘れてしまいたいことはたくさんでてくるが、一度くらいの飲み会で嫌なことが忘れられるはずもない。
それどころか、酒に酔っての悪態や悪行で、嫌なことが増えてしまうようなこともありそう。
また、新人社員や下戸の人等、イヤイヤながら参加せざるを得ない人もいるだろう。
かくいう私もその一人。
私は、新人社員でも下戸でもないが、忘年会(飲み会)は好きじゃない。
大勢でワイワイ・ガヤガヤと騒ぎ、また、ダラダラと無意味な話で時間を浪費するのがイヤなのだ。
(“KY”“遊び心がない”“つまらない人間”と言われることもあるけど、あまり気にしてない。)

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Long way(公開コメント版)

2013-12-08 09:29:21 | 特殊清掃
今年も、残すところ23日余。
昨年までと同様、今年も色んなことがあった。
8月の末には、ひとつの“お別れ”があった。
「愛車」といっても過言ではない業務車両の5年のリース契約が満了となったのだ。
完全なる私の専用車ではなかったけど、先頭をきって現場に走る習性がある私が9割くらいは使ったと思う。

5年間の走行距離は、20万キロ余。
日々のメンテナンスをしっかりしていたからだろうが、故障もなくよく走ってくれた。
ディーラーによると、この後も廃車になることはなく、中古車として再販されるとのこと。
車ってただの機械だけど、長く付き合うものだし、何かと私を助けてくれるものだから、妙な情が湧いてしまう。
私が積んできた荷ほど“奇妙な物”を積まれることはないだろうが、また、誰かのもとで大事に使われてほしい。

そんな私は、依頼があれば場所を選ばない。
ほとんど一都三県内を動いているけど、その外に出ることも少なくない。
茨城・栃木・群馬・山梨・静岡はもちろん、お呼びがかかれば、それより遠いところにも行く。
福島、宮城、岩手、秋田、山形、新潟にも何度か出向いたことがある。
もちろん、すべて車で。
(西日本は他支店の担当エリアなので、東京所属の私が出向くことはない。)

福島、宮城、新潟くらいだと日帰りすることもある。
先月も日帰りで新潟に行ってきた(山々の紅葉がきれいだった)。
さすがに、岩手・秋田・山形まで行くと泊まりになる。
ただ、以前、秋田へ汚腐呂掃除に行ったことがあり、作業が思いのほか早く済んだので、会社がとってくれたホテルをキャンセルして、その日のうちに東京に帰ってきたことがあった。


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ワインと風呂と携帯電話(公開コメント版)

2013-12-02 08:19:30 | 特殊清掃
毎年思うことだけど、一年なんて過ぎてみるとはやいもの。
昨日から、もう12月。
師走に入り、外の寒さは増すばかり。
しかし、年末の商戦は加熱し、街は賑いを増している。
多くの子供達は懐があたたかくなり、逆に、私のようにボーナスがない大人達の懐は寒くなる季節である。

こんな季節は風呂がいい。
懐は温まらないけど、身体は芯まで温まる。
私は、そんな風呂が好き。
汚仕事に従事しているからではなく、もともと子供の頃から好きである。
晩春から初秋にかけての暑い季節はシャワーだけで済ませる。
今のような寒い時季は湯につかる。
それも、ゆ~っくり。
汗がダラダラ流れるまでつからないと、気が済まないのだ。

汗を流すのが好きでも、サウナはかなり苦手。
一分たりとも入っていられない。
あの乾いた熱さには、恐怖心すらおぼえる。
フツーの人なら、夏のサウナ状態の汚部屋のほうが恐いかもしれないけど、私は本物のサウナのほうが恐いのだ。

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