特殊清掃「戦う男たち」コメント公開

戦友の意見交換の場として公開しています。

Gambler(公開コメント版)

2016-12-27 09:27:39 | 特殊清掃 消臭消毒
唯一年の今年も残り少なくなってきた。
唯一生の私の人生も残り少なくなってきた。
「どうすれば、なりたい自分になれるのか・・・」
と苦悩しているうちに時間ばかりが過ぎている。
「この先、どう生きていくべきか・・・」
と思案しているうちに時間ばかりが過ぎている。

そんな年の瀬にあって、先日、不気味なくらい暖かい日があった。
日中も20℃近くまで気温が上がり、夜になってもほとんど下がらず。
車中だと暑いくらいで、とても12月の下旬とは思えないような気候だった。
冬の温暖と地球温暖化を直結するのは見識がなさすぎるのだろうけど、人知を超えた力が人類の望まない方向へいっていないことを願うばかり。
ただ、このところは冬らしい寒さが再来し、身体は縮こまっている。
プラス、年末の物入りで、懐まで寒くなっている人が少なくないのではないだろうか。

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困惑(公開コメント版)

2016-10-03 09:34:08 | 特殊清掃 消臭消毒
考えなければならないことが色々あり、気分散漫の状態が続いてブログが書けないでいるうちに、もう十月。
「早いもので、九月も もう半ば」と始めた前回記事を見ると時の速さを痛感するが、とにもかくにも季節は秋本番に入りつつある。
にも関わらず、現実は梅雨のような日々で少々困惑気味。
困惑しているのは人間ばかりではなく、私のウォーキングコース沿いにある家の生垣には、鮮やかな青紫の紫陽花が二輪咲いている。
季節はずれの曇天下にポツンと咲く様が、孤高の誉を映していると同時にどことなく寂しげでもあり、どこかの中年男に似て愛らしく思える。

・・・なんて、呑気なことばかりは言っていられない。
秋の味覚に悪影響があるからだ。
特に、農産物。
小売価格が上がるのは容易に想像できる。
ただでさえ消費税8%に日々の生活を圧迫されているのに、その上、値段が高くなるのは庶民には辛い。
もちろん、誰が悪いわけでもないのだけど、本当に困ってしまう。

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酒肴(公開コメント版)

2016-09-14 09:15:58 | 特殊清掃 消臭消毒
早いもので、九月も もう半ば。
朝晩は涼が感じられるようになってきた。
過去形にして油断するのは少し早いかもしれないけど、夏の酷暑は過ぎ去った。

幸い、今年は熱中症にはならなかった。
そうならないよう気をつけたのはもちろん、例年に比べて暑さが少し楽だったから。
そうは言っても、「暑くなかった」というわけではない。
多くはなかったけど、強烈な暑さに襲われてしんどい思いをしたことは何度かあった。

特にキツいのが、前回書いたようなサウナ部屋での作業。
そして、炎天下、階上から階段を使って荷物(不用家財等)を搬出する作業。
階段の上り下りは、かなり身体に堪える。
上るときは手ブラなのに、やたらと足(身体)が重い。
体重を増やしていないから少しはマシだと思うけど、汗が滝のように流れるのはもちろん、腕を見ると、汗が皮膚から噴き出しているように見えることもしばしば。
心臓はバクバクと鼓動するし、身体も、その核でマグマが燃えているように熱を帯びる。
酷いときは呼吸が苦しくなり危険な状態に陥る。
ここまでくると危険。
どんなに忙しくても、作業を中断して小休止しないと、とんでもないことになる。

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おもいやり(公開コメント版)

2016-08-09 08:58:27 | 特殊清掃 消臭消毒
出向いた現場は、“超”をつけてもいいくらいの老朽アパート。
その一室で、高齢の住人が孤独死。
死後、約一週間
夏も盛りを越えていたが残暑厳しく、遺体は重度に腐乱。
外部に異臭が漏れ出し、また、窓に無数のハエがたかり、事が明るみになった。

玄関前に立つと、私の鼻は早々と異臭を関知。
中が相当なことになっていることを想像しながら、私は、鍵を挿入。
ドアを開けると、それまでのものより数ランク上の異臭と熱気が噴出。
中が相当なことになっていることを更に想像しながら、私は、室内に足を踏み入れた。

間取りは2DK。
昔よくあった造りで、玄関を入るとすぐに小さな台所があり、その奥の左右に和室が二部屋。

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歩(公開コメント版)

2016-07-27 09:00:50 | 特殊清掃 消臭消毒
今年の梅雨明けはいつになるのか・・・
このままだと「○日に梅雨は明けていた」といった過去形の宣言になるのではないだろうか。

このところ、関東は曇天が多く、過ごしやすい日が続いている。
朝晩は涼しさが感じられ、このまま秋になるんじゃないかと錯覚するくらい。
陽が照らないと困る人もいるのだろうけど、私個人としては、この涼は歓迎できる。
日中はムシムシするけど、カンカン照りに比べたらマシ。かなり。
猛暑に比べたら、身体が随分と楽だからである。

しかし、残念ながら、それも束の間のことだろう。
暑さの本番はすぐにやってくる。
そんな中での現場作業は、ホントにキツい!!
暑い中、多くの人が頑張っているのだから、愚痴ばかり言ってはいられないけど、ホントにツラい!
汗は滝のように流れるし、心臓もバクバクしてくる。
目眩を起こしそうな、危険な状況になることもある。

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隙間風(公開コメント版)

2016-04-15 07:06:55 | 特殊清掃 消臭消毒
「取り壊す予定のアパートに白骨死体があった」
ある年の初冬、不動産会社から特殊清掃の依頼が入った。
“人の死”に慣れてしまっている私は、寒風吹く曇空の下、事務的に支度を整えて現場に向かった。

現場は木造二階建、“超”がつくほどの老朽アパート。
最後の住人が出て行ってから数年がたち、それからは、誰の手が入ることもなく放置。
雨風に晒されるまま朽ちていき、不気味な様相を呈していた。

そこは都会の一等地。
周辺には住宅やマンションが建ち並び、ハイソな雰囲気が漂っていた。
しかし、そのアパートだけは時代を異にし、周囲の景観を不自然なものにしていた。

遺体を発見したのは、アパートの解体業者。
マンションの建替計画を進めるため、解体調査に入ったときのこと。
妙な異臭がすることを怪訝に思いながら一室ずつ検分し、そして、二階の一室で遺体を発見したのだった。

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噴火(公開コメント版)

2016-03-15 09:02:21 | 特殊清掃 消臭消毒
依頼された現場は、孤独死が発生した賃貸マンション。
集まったのは、遺族・管理会社の責任者(以後「責任者」)・マンション管理人(以後「管理人」)、そして私。

遺族は、故人の遠い親戚。
悲しみのせいか、事の始末にかかる費用を心配してか、少し不機嫌な様子。
「ヨロシクお願いします・・・」
と、困惑の表情を露に私に頭を下げた。

責任者は、管理会社の管理職。
紳士的な人物で、物腰も穏やか。
「こういう経験は初めてなものですから、色々教えて下さい」
と、師に向かうかのように私に頭を下げた。

管理人は、その管理会社に有期契約で雇われた現地スタッフ。
組織上は、責任者の部下にあたり、マンション1Fに住み込み勤務。
自分の仕事場で孤独死が発生したことに戸惑っているのか、はたまた、上司が同席しているせいか緊張の面持ち。
とにかく落ち着かない様子で、意味もなくペコペコ。
「どうも・・・」
と、少しオドオドした感じで私に頭を下げた。

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ダメ人間参上!(公開コメント版)

2015-10-22 08:57:41 | 特殊清掃 消臭消毒
秋も深まる中、このところは気持ちのいい晴天が続いている。
四季折々の景色はどれも美しいが、秋の景色もまた格別。
清んだ青空に自由な雲、紅黄に染まる街路樹、店頭に並ぶ秋の味覚、暖色に変わりつつある街の色・・・
何より、肌寒いくらい凛とした涼気が心地いい。

しかし、この秋を迎える前の天気はちょっと異様で、8月半ばから9月半までの約一ヵ月間、雨天曇天が続いた。
まるで梅雨のような気候で・・・いや、梅雨より梅雨っぽかった。
各地で大きな災害も起こり、何人かの人が亡くなり、多くの人が家や土地を失った。
ニュースにもならなくなったけど、今でも避難生活を余儀なくされている人は多くいるのだろう。
将来に希望を持てないでいる人も多くいるのだろう。

それがわかっているのに・・・
私は、仕事を放りだしてまで救援のボランティアに参加しようとは思わない・・・
酒肴を削ってまで金を差し出そうとは思わない・・・
自分さえよければそれでいい?
そういう風に、人の災難を他人事として遠目に見ているダメな自分がいる。
ただ、言い訳にも聞こえるかもしれないけど、社会における自分のポジションを維持することも間違いではないと思っている。
いつも通り働くことも、キチンと納税することもまた社会貢献。
社会福祉政策も人や税金で動かされているわけだから、間接的にでも、災害復興の一端の端の端の端・・・くらいは担えているように思う。

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人の器(公開コメント版)

2015-09-30 10:53:08 | 特殊清掃 消臭消毒
今回は、前回の関連。
前回は遺族に焦点をあてたものだったが、今回は階下の住人に焦点をあてる。


アパート二階の故人宅が極めて悲惨な状態であったことは前回記した通り。
悪臭は下の部屋にまで漏洩し、ウジもまた発生していた。
普通なら、そんな状態の部屋にいられるはずはない。
多くのケースでは大騒ぎしたうえ即座に部屋を出、ホテル・親戚宅・友人知人宅などに避難する。
しかし、この部屋の住人は違っていた。
住人は高齢の女性で、故人同様、もう長くこのアパートに暮していた。
女性は、悪臭やウジが発生して難儀していることを大家に伝えただけで、無用に騒ぐこともせず、どこかに避難するようなこともなかった。
そうして、遺体発見から特掃に着手するまで数日もの間が空いていたにもかかわらず、自室にとどまり続けていた。

大家は、この地域に何軒もアパートを持つちょっとした資産家。
そうはいっても、偉そうな態度をとることもなく、目下の私にも礼儀正しく接してくれた。
そんな大家は、下階の住人に、
「別のアパートに空室があるから、一時的にでもそこへ越したら?」
「かかる費用は私が負担するから」
と、一時避難をすすめた。
それでも住人は、
「しばらく我慢すれば悪臭もウジ・ハエもいなくなるわけだし・・・」

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思い出(公開コメント版)

2015-09-10 08:56:40 | 特殊清掃 消臭消毒
8月後半から今日に至るまで、なんだか変な天気が続いている。
8月のうちは「このまま秋になるはずはない」「キツい残暑に襲われるはず」などと勝手に警戒していたけど、9月に入っても様子は変わらず。
酷暑・猛暑はどこへやら、曇天雨天が続き、まるで梅雨のよう・・・
・・・いや、梅雨時期よりも晴天が少ないくらい。
どうも、このまま秋が深まっていきそうな気配を感じる。
涼しくて過ごしやすいのはいいのだが、災害や農産物のことを考えると、やはり季節にあった陽はほしいと思う。

毎年、秋になると、“もの悲しさ”“もの淋しさ”を感じる人は多いみたい。
私にも少しはその気持ちがわかるが、どちらかというと私の場合は安堵感のほうが強い。
酷暑の重労働を乗り切った安堵感と、涼しくなっていくことへの安堵感だ。
ただ、安堵ばかりもしていられない。
私には恒例の?冬期欝が待っているからだ。
もちろん、今年、それに襲われるかどうかはまだわからないけど、考えると不安が過ぎる。
とにかく、つまらないことを考えないように努める必要がある。

幸か不幸か、昨季はチビ犬の死がそれを吹き飛ばした。
チビ犬との死別は、私にとって、かなりショックな出来事だったが、あれから明日で10ヶ月・・・
大袈裟でもなんでもなく、チビ犬のことを思い出さない日はない。
さすがに涙することはなくなったが、「あんなこともあった」「こんなこともあった」と、色々なことを思い出し、「楽しかったなぁ・・・」「可愛かったなぁ・・・」と微笑むことが日課みたいになっている。
死んだ直後は、どうしようもない寂しさと、怒りにも似た悲しみに苛まれていたけど、もうそれもおさまった。
このところは、どうしてだか自分でもわからないけど、チビ犬を思い出す度に何かに励まされるような気がして「頑張んなきゃな!」という思いが起こされ、自分に小さな気合を入れることができている。



特掃の依頼が入った。
依頼者はアパートの大家で、住人が孤独死したよう。
そして、異臭が外部に漏れ出し、近隣から苦情が入っている模様。
私は、依頼の現場を優先して予定を変更。
かかっていた作業をテキパキと片付け現場に急行した。

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