特殊清掃「戦う男たち」コメント公開

戦友の意見交換の場として公開しています。

低所恐怖症(公開コメント版)

2010-01-27 17:07:43 | Weblog
首都圏にいる人で、工事中のスカイツリーを見たことがある人は多いだろう。
私が頻繁に使う首都高7号線からもよく見える。
まだ完成時の約三分の一しかできていないらしいが、かなり目立つ。
空中に三倍して想像してみると、感嘆の声がでる。

その昔、人々の目には、あの東京タワーもとてつもなく大きく映ったのだろう。
スカイツリーと重ねると、先人の想いがリアルに想像でき、時の妙を感じる。
しかし、その東京タワーも、今では周りのビルに押されて、わずかに目立つ程度。
もう、特段の輝きは放っていない。

そんな東京タワーに、私は、一度も上ったことがない。
上りたいと思ったこともない。
ビル数階の高さでも腰が引けるのだから、アノ高さは土台無理。
高所恐怖症の私には、間違いなく向かない。

しかし、あと何十年かしたら、スカイツリーの周りにも超高層ビルが建ち並び、東京タワーのように埋もれてしまうのだろうか。
その頃には、とっくにアノ世に逝っている私だろうけど、それを想像すると“楽しみ”というより怖い感じがする。



続きはこちら

一人と独り(公開コメント版)

2010-01-17 08:36:17 | Weblog
“亡くなった者の娘”と名乗る女性から、特掃の依頼が入った。
女性は、私の返事をロクに聞きもせず、同じ説明を繰り返し・・・
そしてまた、私の返答をロクに聞きもせず、同じ質問を繰り返し・・・
そこに、女性の心の動揺が見えた私は、口のスピードを落として女性の話に付き合った。

現場は、2LDKの分譲マンション。
故人の性別は男性、年齢は60代。
故人がいた場所はトイレ。
発見したのは、設備メンテナンスの会社。
警察の見立ては、“死後二ヶ月”。
警察は、部屋への立ち入ることも遺体と面会することも反対。
結果、女性は、何一つ自分の目で確かめておらず。
“女性に、具体的な状況説明は無理”と判断した私は、必要最低限のことだけ聞いて、あとの情報は現地調査にて収拾することにした。


続きはこちら

弱肉弱食 ~後編~(公開コメント版)

2010-01-12 13:58:06 | Weblog
「???・・・※○※△※□※!!!」
何も考えず鳥の骨らしき物体を拾い上げた私は、言葉にならない悲鳴を上げた。
と同時に、稲妻のような悪寒に身を震わせ、その場に立ち尽くした。

「何!?」
私は、とっさに手にした骨を床に放り投げた。
そして、離れたところからそれを凝視した。

「チキンじゃない・・・」
鶏の足骨によく似ていたが、足先の部分が鳥類ではなく・・・
毛・肉球・爪・・・
それは、どう見ても獣の脚・・・猫の脚のようだった。

「どういうこと?」
私は、状況がいまいち飲み込めず。
骨になったネコの脚が落ちている経緯を考えたが、その答えはすぐに浮かんでこなかった。

「行くか・・・」



続きはこちら

きれいごと(公開コメント版)

2010-01-04 09:55:29 | Weblog
2010年 謹賀新年
東京は、元旦から好天に恵まれ、晴れやか気分で新年がスタート。
が、言うまでもなく、私は、大晦日が仕事納めで、元旦が仕事始め。
休みらしい休みもなく、単調な年末年始であった。
大晦日は都内某所で汚腐呂掃除、元旦は現場業務には出ず、一日中会社で雑用を。
そして、壁に掲げた新しいカレンダーに妙な重さを感じながら、「今年も頑張るしかないな・・・」と疲労感に潰されそうな期待感と、溜息に消されそうな深呼吸をもって自分に気合を入れ直した。



続きはこちら