独りでふらっと入った、モンマルトルのピアノバーを思い出す。
カタツムリちゃん達が収まった丸い凹みを、
パンで掃除しながら、赤ワインをいただく。
めっちゃ安レストランでも、思い出に浸るには充分だ。
だってたぶんどんな高い店行ったって、
東京は東京なんだもの。
例えばタイ料理がすごく食べたいけれど、
なんなのあの値段の高さ!
しかも、美味しいとは思えない。
ああ、あの味に似てるなぁとは思うけど。
やっぱり、あの気温と湿気と、街や川の匂い、
全く訳わからん言葉なんかを聞きながら、
食べたいのだよ。
環境が味を決めるんだよなぁ。
東京でものを食べるには、
それなりの思い出が必要なのである。