走る営業公務員、奮闘記!!

地方分権が進展する中での地方からみた木っ端役人の奮闘記です。

クレームから学べるもの

2008年03月21日 23時11分48秒 | その他
★★★ 思い返せば

 私は小さい時、引っ込み思案で、母親が学校の個別懇談会で「もっと積極的になるよう家庭でも指導してください。」とよく言われた。
その理由は、授業中、手をぜんぜん挙げない子だったからです。
先生の質問に対する答がわからなかったわけではありません。
当てられて、人前で答を話すのがとにかくイヤだったのです。

 今の私からは、想像もつかないような子でした。
人に流されるのが楽だと思っていましたから、自分がリーダーに成れるなんて思ったこともありません。

 多分、人と面と向かって話すのが嫌いでした。
恐らく、一人っ子で自分ひとりで遊ぶことが好きだったからでしょう。

 そんな私が市役所に入ってから、さまざまな窓口業務を担当してきました。
選挙管理委員会事務局の時には、当時は不在者投票事務がありましたから、その窓口(ほとんどがクレーム対応)でした。
かなりキャリアを踏んでも、なぜかクレーム対応からは抜け出せませんでした。
選挙管理委員会事務局は14年間勤務しましたから、その間の選挙全部でクレーム対応だったような気がします。
しかも、年を追うごとにクレームの質が複雑になってきていたような気がします。
 そして、その次の学校教育課時代の学籍事務担当の時もクレーム対応でした。
 なぜか、事業部門のときは、クレーム対応から抜け出せませんでした。

 こんな私も、最初頃は、クレーム対応がイヤでイヤで堪(たま)りませんでした。
でもいつしか、苦にならなくなり始めました。
いつからかはわかりません。

 民間では、クレームの中にビジネスチャンスが潜んでいると言われますが、行政に対するクレームは、そのほとんどが憤懣(ふんまん)やるせない思いからくるものですから、そんなに簡単ではありません。
つまり、理不尽なクレームが多いのです。

 でも、最初に気づいたことは、大きな声を出す人は攻略しやすいということです。
それは、人は何時間も大声を張り上げ続けることはできませんから、じっと疲れを待てばいいのです。
実は、議論の時もそうですが、相手が感情的になっている時には、どのような提案も受け入れてもらえないからです。
 それに反して、声の起伏が少なく、理詰めでクレームを言う人は、長丁場になると覚悟しなければなりません。

 クレーム対応の秘策はありませんが、私は怒られながら、しばしば「この人が本質的に求めているものは何なんだろう?」と思ってしまいます。
 そして、その求めるものが法的に問題ないのか、さらに仮に言い分どおり認めたときに今後、何の問題も起こらないのかなどを組み立てます。
 さらに、今まで認めなかった市民がいたとしたら、アンフェアな対応にならないかといった面からも考えます。
その判断を下していくと、大体はノーを言わなければならないことの方が多くあります。

 問題は、その時の断り方です。
 まず、相手を否定するような言い方はしないことです。
相手の感情を逆なでするだけですから。
どんな理不尽なクレームでも、何点かは理にかなったところがあります。
そこを徹底的に肯定しながら、できるだけ相手に自分の非があることを気づかせるようにもっていければ、師範代の腕前です。

 もう一度、クレーム対応について整理すると、
  ①相手の疲れを待つ
  ②相手を否定しない
  ③相手の肯定できる点を見つけ、何度も肯定する
  ④相手に自分の非を気づかせる
  ⑤今後の対応フローと予定日を明示する

 クレームは何度も申しますが、対応をするのは嫌なものです。
 でも、クレームが発生したときに「そらきた!!」と思えるようになったら、まちがいなく免許皆伝です。