地域の勉強会をしていて得をすることが多くなった。
まず、この職場に来て、早1年と9ヶ月。
支所長の顔を地域の人たちが知っているかというと、案外知られていない。
進行役として司会をさせていただいているので、どうやら顔を覚え始めていただいたようである。
失礼な話だが、私の方は顔のイメージはあっても名前がすぐに出てこない方もおられる。
でも地域を回っていて、挨拶をすると笑顔で挨拶が返ってくるようになった。
この笑顔が返ってくるというのが重要である。
笑顔だと挨拶に続く言葉がかけやすい。
「ヒヤイ(寒い)ですねぇ」と続く。
すると、大概は
「ほんとにねぇ」と返ってくる。
ここまでくると話しやすくなる。
「何してるんですか?」とずうずうしく相手の懐に入っていく。
怪訝な顔をされることが多いので、きちんと名のる。
すると、「ああ」といった表情になる。
そして、地域の歴史や言い伝えなどを聞きだしていく。
ときどき、「そうなんや」、「なるほど・なるほど」、「確かにそうですね」の合いの手を入れる。
相手は調子に乗ってきていろいろなことを教えてくれる。
ときには、お茶までご馳走になる。
なによりも、次回から「こんちわ!」と挨拶ができる。
話は変わって、地区防災連合会長さんと年度初めはギクシャクしていた。
会長さんとしては、一生懸命やっているのに行政は怠けているといったイメージをもたれていたようである。
一番は、他団体ならわかる独居老人の情報が防災組織ではわからない。
災害が起こった時に近隣の人たちが助けたくてもわからないから助け出すことができない。
だから、支所が仲介して何とか入手して欲しいということなのである。
個人情報の開示なので一朝一夕には進まないと思ったので、珍しく歯切れが悪い答をした。
すると、烈火のごとく怒られた。
仕方がない。黙るしかない。
だが、諦めたわけではない。
互いがその必要性を認めた上でないと、解決策は見出せない。
そこで考えたのが勉強会という手法である。
そして、時間がたち、地区の勉強会で「防災」のテーマを二回に渡ってやったおかげで、この会長さんととても仲良くなった。
どうやら、こちらの思いが伝わったようである。
烈火のごとく怒った記憶は両方に残っている。
謝りたいのだろうなと感じるのだが、あえて触れないようにもっていく。
相手の自尊心を傷つけたくない。
でも、今度、支所長の発表会で「防災」がテーマになったので色々と教えを請うと、自らの資料をわざわざ支所まで持参してくれた。
その気持ちがとっても嬉しくて、「会長、これからも甘えていいですか?」と訊ねると、
「ええですよ、何でも言うてよ!」と返ってきた。
これですべてのわだかまりが消えた。