ロイヤルエンフィールド初ツーリング・・・南東北・福島の真実をさぐる旅
2013年4月にロイヤルエンフィールド(以後「エンフィ」)を購入し、半年以上経った。この間、ツーリングらしき事と言えば近所を100キロ、ぶらり散歩。それと湯村への1泊キャンプ。いずれもエージングを進めるための慣らし運転である。
4000キロを走って出た故障は200キロ時に点火プラグのカブリによる起動不能。1500キロ時にメーターランプとポジションランプの球切れ。ハンドルロック故障。こんな調子のインド車ゆえ、いきなりの遠出を躊躇していた面もある。まあ、ダメ出しはできたろうし、躊躇している間に自分のエージングが進むという問題もある。
さて、旅のテーマだ。先月購入した「美味しんぼVOL110」は全11話、250頁に渡って「福島の真実」を取り上げている。無論、原発事故とその後の「食」についてだが、かなり踏み込んだ内容で原発の存在そのものを糾弾している。
震災後2年少々の間に東北は2回訪れた。原発事故をテーマに六カ所村を訪れたソロツーリング、津波による震災の状況を自分の目で確かめようと企画した夫婦でのキャンプ。しかしいずれも話の中心部であるべき福島第一原発からそれている。
比較的放射線量の低い地域では避難指示解除区域となり、住んではならないが立ち入り禁止は解除となっている。「ゴーストタウン」と表現して辞任に追い込まれた大臣がいたが、人が住まない町は=ゴーストタウン。辞任すべきは原発なのだ。そういう町を見てきたい。これが第一の目的。
第二は今まで何度も挑戦しながら通行止めで果たせていなかった朝日スーパー林道。
こうしてテーマが決まり、綿密な計画を立てた。
2013年 10月7日(月) ☀ 本日の走行距離=200Km
おうち→ 吉川(よかわ)IC→ 小浜IC→ 敦賀港
秋の東北だ。防寒対策はしっかりしていこう。革ジャン革ズボンに革グローブ、安全靴という全身皮革スタイル。下には半袖下着、薄手の長袖、防寒チョッキ、ジャージ。ネックウォーマーも装備した。
5時30分、自宅を出発し、青山のコスモで燃料を満タンにした。さあ、旅の始まりだ。
エンフィールドで高速道路の長距離は初体験。時速90キロで流す。これ以上の速度になると振動が固くなるので無理・・・しかしこれは想定内。
9時敦賀港着。手続きをしているうちに乗船が始まっていた。小樽航路と比較して1世代古い船なんで速度が遅いだけじゃなく、カップラーメンコーナーは無いしカフェは営業していなかった。これは淋しい。
衝撃!台風直撃情報
船内のテレビでニュースを見る。大型の台風24号が対馬を回って偏西風に乗り、東北南部を直撃という話になっている。もっと頑張れ太平洋高気圧!
10月8日(火) ☂のち☁ 本日の走行距離=320Km
朝から完全武装
5時30分、定刻通り秋田港着。降ってはいないが雨は確実だろう。最初から合羽上下、ゴム長、台所用ゴム手袋で完全装備。雨、かかってきなさい!
国道7号線から13号線へ。交通量は多いが結構な速度で流れている。協和で国道46号線と341号線の合同区間に入ると極端に交通量が減った。そして角館から約束通りの雨。
秋田県と岩手県の県境の峠越えは幾つものトンネルが整備され走り易い。とはいえかなりの急勾配だ。交通量はきわめて少なく、ロイヤルエンフィールドの鼓動を楽しみながら70キロ程度で流す。
8時15分、県境の仙岩峠を越えて道の駅「雫石あねっこ」に到着。昨年妻=智子と訪れて農産物、特に椎茸が旨かったのが印象に残っている。だが、ネーミングの「あねっこ」は不可解なままやったので、やけに気になっていた。
「あねっこ」の真実 絶対に聞いてやろうと思ってたら説明文が貼ってあった。なんでも「雫石には美人が多く、年頃になった女性のことを『あねっこ』とよぶ」そうな。アネゴぐらいの解釈をしていたが、まるっきりの的外れではなかったようだ。スッキリした。
計画変更
なんということだ、秋田、山形、岩手は今日から4日間雨!、宮城は今日だけ曇りで後は雨。福島だけが今日が晴れで後は曇り。これではわざわざ東北まで濡れに来たようなものだ。田代台と龍泉洞は諦めて計画では2日目であった宮城を目指すことにする。
あねっこを後にすると土砂降りになってきた。盛岡市内の渋滞に辟易しながら奥州街道=国道4号線を南下。
するとどうだ、天気予報通り南の空は明るく、雨は小降りになり、やがて上がってしまった。交通量は減り、雨合羽も乾き始めた♪
禁断の昼食・・・ラーメンが旨そう ♪♪♪
10時50分、盛岡から30キロほど南下して道の駅「石鳥谷(いしどりや)」に到着。昨年7月から1日1食健康法を続けているのに妙にラーメンが食いたくなった。ディスプレイが素晴らしすぎる。ラーメン・トンカツセット(980円)を注文。南部鉄器のような鍋に盛られたミニラーメンは醤油味、そして色の割に薄味。トンカツも薄味が嬉しかった。無論美味しゅうございました。
エンフィ快調 ・・・ 田舎道散策 花巻から国道4号線をはずれ、東へ10キロの東和(とうわ)から国道456号線を選択。信号機も交通量もごく少ない走りやすい道だ。緩い勾配に緩いカーブの田舎道にはまだ刈り取りの終わっていない稲の黄金色が煌めき、刈り取りの終わった田んぼには自然乾燥させるべく稲木が立ち並んでいる。一本の支柱に何重にも重ねられた稲の姿はまるで蓑をまとった旅人のよう。
16時。お宿に到着。長沼フートピア公園は大きな風車が目印でキャンプ場はこの公園の一角にある。温泉は2キロあまり離れたところにある「ヴィーナスの湯」(400円)。カルシウムやマグネシウムなどの成分を取り除き、軟水に仕上げているらしい。そのせいかサラリとしており、まるで普通の湯に浸かっている感触。
温泉から上がるとなぜかビールより牛乳が旨い。小岩井の牛乳が2種類。3.7%の自然味と濃厚味。値段は同じ。濃厚味を選んだ。飲み終えてさっき牛乳を売ってくれた受付のおねえさんに「やっぱり濃いですね」と言うと「そうでしょう♪」と返してくれた。そこで「小岩井牛乳やから濃いわい、なんちゃって」とオヤジギャク。しばらく間を置いて同僚のおばさんと2人で吹き出していた。それを見てピースサイン。
設営しながら宴会開始 ♪
ビールを飲みながらテント設営終了。さあ、野菜をつまみながら焼酎のお湯割りだ。湯を涌かそうとしたがライターが無い!絶対入れたという確信があるので徹底的に探したが無い!(ガソリンを注ぐじょうごの袋に入れていたのが後日判明)
10月9日(水) ☁ 本日の走行距離=308Km
5時起床。今日も雨合羽とゴム長をはじめから装備。500ccの牛乳を飲んで県道1号線から国道4号線へ。東北自動車道大和インターから高速走行を決意。仙台北部自動車道、南部自動車道、東部道路を経由し、終点の常磐自動車道山元インターから一般道路となる。
復興と放棄と・・・原発事故の異質さ
まずは海岸通りの地方道38号線を南下。おびただしい数のトラックが行き交っている。他県ナンバーも多い。土ぼこりがすごい。浜に大きな堤防を作っているようだ。だが今回並の津波が来たら意味がないのになあ。復興とか津波対策とかいうよりも「津波産業」と呼ぶのが分かりやすいかもしれない。
景勝地、松川浦は大橋が通行止めになっていたので国道6号線に戻り、相馬へ。いよいよ「美味しんぼ」に載っていた立ち入り禁止除外準備地区、南相馬市の小高(おだか)区だ。
双葉町に入る直前で「一般車通行禁止」となった。西側の県道120号線を北上。JR桃内駅に立ち寄る。レールは錆び付き、雑草が線路まで延びている。公衆電話ボックスにも葉の大きな蔓草が侵入。時刻表を見ると結構な本数で運行されていたようだ。
原の町に入ると人の姿がないではない。信号機も動いている。一方、店舗はすべて閉鎖され、「街」としての機能はしていない。
農村部へ入る。田畑は放置され、荒れ放題。民家は大きな傷みがないにもかかわらず、門扉が縄でくくりつけられるなど、住民の姿はない。
新しい公営住宅もカーテンが掛かっているのを見れば人が住んでいただろう。だが今はススキやセイダカアワダチソウが生い茂り、人の気配はない。
地震や津波での大きな被害がなかったにもかかわらず生活できなくなったのだ。普通の事故とは時間的・空間的・社会的に異質の事故、それが原発事故なのだ。福島第一原発が廃炉にできるまでの最低30年以上、常磐線も国道も南北につながることはないのだろう。
南相馬から地方道12号線を西へ、飯舘(いいたて)村へ入る。素晴らしい農村風景が広がる。ここに「村民の森 あいの沢」というキャンプ場があるが原発事故後、立ち入り禁止になっている。福島第一原発から直線距離で40キロ以上離れているのに線量が高いそうだ。
ナビに従い、伊達から丸森へ抜ける。15時、不動尊公園キャンプ場に到着。宿泊客は僕一人らしい。それにしても暑いことだ。道路の電光掲示板には連日28℃と表示されている。台風は温帯低気圧に変わったらしい。この暑さは彼が運んできたものかもしれない。
林間の昔風サイト、不動尊公園キャンプ場 キャンプサイトには小川の流れが聞こえる。上流部らしく、大きな岩がゴロリとしている。そこに木製の歩道が設置され、楽に渓流を散策できる。テントサイトは林間の土。現代のオートキャンプ場とはかなり趣が異なる。
さて温泉だ。キャンプ場から数百メートルの所に国民宿舎あぶくま荘があり、日帰り入浴ができる(¥500)。 「ヘルストン温泉」という表示があった。「温泉」の表示の上にテプラで「人工温泉」と貼ってあったが意味が分からなかったので帰ってから調べると「ヘルストン温泉システムとは、浴槽水をろ過、温泉化し、同時に浴槽水の殺菌、温度調整、水位調整等も制御するシステムです」ということであった。
管理人さんも帰り、誰もいないキャンプ場に一人で盛りあがる。野菜はニンジンとインゲンを茹でた。それにポテトサラダ、刻みキャベツ・・・野菜のオンパレード。カツヲの刺身がうまい。これは添え物でないショウガがほしかった。 宴もたけなわの頃、若い女性4人組が登場。「管理人さんですか?」と聞いてきた。「いや、宿泊者です」と答えたら困ったような顔をしていたので「テント張って明日手続きしたら?」と促すと「いえ、コテージを予約してるのです」。と言って立ち去った。
せせらぎの音を聞きながら21時就寝
10月10日(木)☀のち☁ 今日の走行=312Km
4時半起床。早朝の渓流散歩。モミジなど、広葉樹の葉はまだ青々としているが、来月になれば見事な渓谷美が拝めるのだろうな。
駐車場に昨夜の彼女たちの車が駐まっていた。車中泊かと思ったが中には居なかったのでコテージに入れたんやな、良かった良かった。
荷物の上に昨夜洗濯した下着類をくくりつける。風乾だ。
7時30分、管理棟にお礼のメモを残して出発。阿武隈川を左手に眺めながら国道349号線を西へ快走。往復2車線の交通量は通勤時間帯なのにきわめて少ない。
阿武隈川沿いを快走♪
マップルは「夕日を浴びた阿武隈川がすごくきれい!」とビックリマークまで付けているが降雨のせいか濁れていた。やがて険しいV字渓谷となり道路は狭く、タイトコーナーの連続となる。道路から数メートル上に洪水時にここまで水が来たというマークが付けられていた。
太平洋から50キロほど遡った所で景色が開け、空が大きくなる。それに反比例して走りは小さくなる。交通量と信号機が多くなってきたのだ。
磐梯吾妻スカイラインは1.100円と高額なので躊躇していたが、あの景色は捨てがたい。前回は日曜日だったので車が多かったが今日は平日だ。自分だけのゆったりとした走りができるだろうと考え直し、スカイラインに向かう。
スカイライン無料化
やけに交通量が多い。日曜日の時よりも多い???入り口の料金所がなくなっていた・・・つまりこの道路、無料になったのだ。だから交通量が多い、こんなことなら有料のままの方が良かった。
吾妻小富士の東側は濃霧が暴れているという感じだが西側は風に吹き飛ばされ、白い地肌を見せている。さらにその西側は黄色や朱に染まった紅葉が見事。
大勢の人たちが一眼から携帯まで様々なカメラで撮影に励んでいる。
下りは交通量が少なく、土湯峠まで快走。 裏磐梯周辺のキャンプ場は総じて値段が高いがその中では一番安く、ロケーションも良い曽原湖オートキャンプ場に契約。テントなら1.000円、バンガローでも4.000円だ。
テントを設営し、荷物を降ろして修理工具と雨具だけにすると見事に軽くなった。未踏の地、猪苗代湖の湖岸を一周しよう。これはマップルおすすめのコースだ。
初挑戦、猪苗代湖一周
磐梯山ゴールドライン(¥530)も7月から無料になっていた。前方に磐梯山を眺めながら下る。眼下の猪苗代湖がだんだん大きくなってくる。
国道49号線を東へ。小石ケ浜から地方道376号線を湖沿いに南下する。気持ちの良い走りもわずかで、やがて林道になった。マップルは「タンデムにも最適」と言うが、タンデムどころかトンデモ! 急カーブ急勾配の連続は想定内としても落石や落ち葉、砂などはいけません!
南岸西の秋山浜で林道を終え、複雑にカーブした岸沿いの走りとなる。南岸東の船津浜から北行きは今までの走行がうそのようにゆったりと流すことができた。左手西側には雲に隠れた夕日が湖面をキラキラと輝かせている。何度も立ち止まってシャッター!
裏磐梯にスーパーは無いど!
さて、食料調達だ。裏磐梯にはスーパーの類がないのでこの辺で仕入れておく必要がある。今日はチキン中心で行こう。
温泉はキャンプ場から2キロほど離れた所にある「香の湯」(¥800)。20畳ほどの暗い露天風呂には脱衣所と洗い場があるだけでその他の設備は何も無い。ついでに他の客も居ない。一人で十分に温もり、レークサイドグラウンドホテル!(グラウンドにテントを張ることをそう表現する。曽原湖の湖畔なのでレークサイドになる(^O^)
今夜も「おひとりさま」で孤独な大宴会だ。
10月11日(金) ☁のち ☂のち ☁ 本日の走行距離=231Km
そはら湖と呼ぶ
7時起床。全面曇りだが明るい。朝一番に散歩する。キャンプ場入り口には「無断立入禁止・そはら湖キャンプ場」とある。今まで何回か利用させて頂いているが、ずっと「そばら湖」だと思っていた。隣の大きな湖が檜原湖(ひばら湖)だからその流れなのだが、確かに「そばら」より「そはら」の方が上品に聞こえる。しかし「ひばら」が「ひはら」ではそうならない。日本語の妙だ。ついでに「ソファラ」と発音したら異国っぽくなるな。それより音階みたいかなどと考えながら鴨が浮かぶ湖を撮る
9時、管理人のおばさんに挨拶をして出発。檜原湖西岸を北上する。途中、道の駅「うらばんだい」に立ち寄る。天気の情報が分かるかもしれない。到着とともにすごい降り方になってきた。
道の駅で情報収集と・・・2時間の休憩&お悩みタイム ここの端末機は画面をタッチして操作できない。色々な情報が次々と現れ、天気予報もその中の一つとして扱われているので見るまでには時間がかかる。その上見たいと思う情報の画面は切り替わりが早い・・・と感じる。今日の宿泊予定地、宮城は☁☂、山形も福島会津も同じ。福島でも東部は☁☀。行こうとしている所はどこも雨で情けなくなってくる。
2時間も粘っていると小雨になり、お日様が見えたりしてきた。単純なものだ、こうなれば前向きな気持ちになる。
西吾妻スカイバレー
合羽は着用せず、そのまま西岸を北上。北塩原村から西吾妻スカイバレーへ。本日一番のハイライトだ。昨日と違って前に車がいないのが良い♪ とはいえ、つづら折れの登坂では3速中心の走りとなる。高度が増すに連れ、樹々のトンネルが色づきはじめた。
白布峠(1416m)から北への下りは南と比べてコーナーは緩い。右の谷を隔てて紅葉が見られる。福島県側とは違い、景色が大きい。曇り空なので色はくすんでいるが、時折陽が差すとそこの部分だけパァーっと煌めく。
「最上川源流」で記念撮影。米沢に向かう緩やかな下り坂にはのどかな農村風景が広がり気が和む。
「最上川源流」で記念撮影。米沢に向かう緩やかな下り坂にはのどかな農村風景が広がり気が和む。
米沢市内を外し、南北路では最も東側の「ぶどうまったけライン」を北上。このライン、南側はブドウばかりの緩やかな田舎道。対して北側は赤松のマッタケ山。この急カーブ急勾配は地図からは読み取ることができなかった。ま、平坦地でマッタケは採れんわな。
知ってしまった、エンフィもう一つの顔!
国道113号線を東へ。峠に向かい、どんどん高度を上げてゆく。時速70キロで走っている時のロイヤルエンフィールド、柔らかい鼓動が心地良い。だが重い荷物をしょってこのような坂道で負荷をかけるとどうだ、大量にガソリンを吸い込んだ500CC単気筒の爆発が一発一発大振動となってハンドルやステップに伝わってくる。アクセルを開けるとパワーは出る。しかし車体がこの振動に耐えられそうにないのでシフトダウン。そうすると今度は回転が上がるとによる小刻みな固い振動が発生。平坦路を「プテプテプテ」と軽い音で気持ちよく走っていたが「ドカドカドカ」になり、さらに「ピッピッピ」という硬質の高い周波数の音が加わる。これはちと豪快すぎだよ。日常ではこのような負荷をかけることが無いので気がつかなかったが、どうやらエンフィ、別の顔を持っていたようだ。
この国道は「七ケ宿街道」と名付けられているが、実は他にもいろんな名の「宿」がある。往時を偲ばせる雰囲気は時代劇の収録にも使えそう。思わず立ち止まって撮影。
15時40分、キャンプ場に着くと管理人さんが「バンガローを申し込まれましたがどうします?」と聞いてきた。
バンガローをキャンセル
恐らく貧乏そうに見える僕の外観と、薄日の差す今の天気を考えて選択の余地を与えてくれたのだろう。「現場を見て判断します」と言ってテントサイトを眺める。東屋がある♪下は砂利・土でゴワゴワしてはいるが、テントを張る広さがあるので雨が降れば逃げ込めば良いと判断。バンガローをキャンセルした。これで2千円節約できた。
東屋のそばに設営してから周辺散策に出発。右手に七ケ宿湖(ダム湖)を見ながら快走。さらに東へ進むと「材木岩」の看板が。3年前に将積サンとのツーリングで訪れた所である。柱状節理の多数の岩がまるで柱のように見えるから材木岩と呼ぶそうな。
だいぶ暗くなってきた。白石(しろいし)に入り国道4号線と合流。マップルが「大露天風呂が魅力」という蔵王開拓温泉をめざす。
4号線から国道457号線。どこまで登ったら気が済むのだ!と言いたくなるほど、どんどん高度を稼ぐ。地方道51号線をさらに登るとようやく看板を見つけた。営業時間は18時まで。今17時20分。え~い突撃!
今日も800円、大露天風呂?蔵王開拓温泉
受付のおばさんが「6時までなんですけど」と申し訳なさそうに言うので「30分もあれば大丈夫です」と返事して脱衣場へ。露天へ行くには内湯の浴槽を通らねばならない。「アッチー!」絶対に浸かることができないと思うほどの熱さに飛び上がった。足を付けることさえ困難なほどの温度。そこを通り過ぎて露天へ。こちらはかなり温度が低かった。しかし大露天風呂といっても昨日より狭い。その下側にも浴槽は1ああったがなぜか空っぽ。上がりがけ、また内湯を通らねばならない。湯船の縁の上を歩いて出る。
16時30分、キャンプ場に戻り着いてビールを飲みながら調理場で宴会の準備。ゴミ処理をしてくれるキャンプ場は料理も楽しい。
カツヲの刺身にショウガをすり下ろす。やっぱりおまけについてきたものとは雲泥の差。カツヲ自体脂がよく乗っており、ショウガのピリリとよく合う。地元で買った辛口の佳酒、七ケ宿湖(特別純米酒)が旨い。
そうしているうちにザ~という雨音が・・・。いかん!テントの中身を東屋の椅子に移し、テントを持ち上げてそのまま東屋へ移す。眠る前で良かった。
10月12日(土) ☁のち ☂ 本日の走行距離=251Km
3時30分に目が覚めてからウトウト。この緩い感触を楽しみながら5時30分起床。曇天ではあるが、星もある。カメラを片手に場内散策。芝生のサイトが美しい。栗の木からイガが落ちて小さいながらも実が入っている。食えそうなキノコもある?←食わなかったゾ!
特筆すべきは便所。男も女もすべて洋式なのだ。普通、一方が洋式なら一方は和式である。この構成を考えた人は若手で都市部の客対応を考えた上でのことだろう。今時、田舎でも洋式が主流になってるのだから当然かもしれない。しかしそれを実行できるのが驚きである。
だんだんと天気がおかしくなってきたので雨具で完全装備、とりあえず遠刈田(とうがった)温泉を目指す。
国道113号線から457号線へ。約束通り降り始めた。牧場と牧場を結ぶなだらかな道は雨さえなければ最高の走りを楽しめた事だろう。
のどかな457号線から286号線へ。交通量はきわめて少なく走りやすい道だ・・・と思っていたのも山形自動車道、笹谷インターチェンジまで。ここから先は「大型車通行不可」という立て看板が。
看板さえおどろおどろしい・・・酷道286号線
急勾配急カーブは地図から容易に読み取れたが、カーブミラーの数が少ない。やがてヘアピンカーブの連続となってきた。カーブミラーのほとんどはヘアピンの所にしかないのでミラーがあればヘアピン、要注意だ。
きわめて交通量の少ない笹谷峠に突風が吹き付け、山がザワザワと鳴っている。
下りに入る。左カーブではキープレフトでカーブに入ると出口では右側にはみ出してしまう。それほど狭くて急なのだ。道いっぱい使ってアウト・イン・インの手法でしのぐことにする。これは文句なしの酷道だ。
やや渋滞気味の山形市内を抜け、雨に打たれながら「絶好の森林散策路」(マップル)という県民の森へ。森林浴というより水浴だなあ。県民の森を抜けると民芸風の家屋が建ち並ぶのどかな農村風景の集落が現れた。
13時20分、道の駅「白鷹ヤナ公園」に到着。「ヤナ」とは長い割竹のスノコのようなものを下流から上流の底に設置し、下ってきた魚を捕る漁法。鮎だけではなく、どんな生き物も根こそぎ捕獲することになるので川幅の半分は通路として残していた。 長い間眺めていたが全然獲れていない。一方、道の駅では大量の鮎が焼かれていた。別の所で獲れたものを仕入れたのじゃなかろうか?
鮎、買って持ち運ぶという手もあったのに
とはいえ、腐ってもアユだ、いい匂いが漂っている。小学校低学年女子4人が母親らしき人と一緒にそれを食ってる。金が無いわけじゃないけれど一日一食健康法のアサノがそれを食ってはいけない。ニオイだけ頂こう。
山形自動車道月山インターチェンジから西の112号線は高速道路並の高規格道路となる。速度は80キロ。西からの強い向かい風を受けながら峠を登る。
電光掲示板は13℃となっていた。初めて20℃を切った。少し寒い。峠付近まで来ると土砂降りとなり、股の所が湿ってきた。これは合羽の泣き所、左右の足で受けた雨、上から垂れてきた雨がここに集中し、縫い目から侵入するという構造的な問題をもっている。
ついに野宿を決意
こうなるとキャンプ場は無理と判断。3年前の東北ツーリングで利用した月山ダムの西側から1キロほど入った所ににある多目的広場。そこには東屋があってテントを張れるスペースがある。さらに便所、水道も完備。東屋内にはL型の長いすとテーブルも備え付けてある。さらに2方は下から1メートルほどの板張りがあり、風よけにもなっている。
とりあえず現場を確認する。あの時と同じ状態でその東屋は存在していた。今日の宿をここに決め、まずは温泉だ。近くにあるかたくり温泉「ぼんぼ」の入浴料は400円。昨日一昨日の半額だ。僕は使わないがサウナもある。露天風呂は無いが浴槽は大きなガラスで開放的。20分間浸かった後は発汗防止のために水風呂に入る。
食料調達は「Aコープあさひ」。今日は調理場がないしゴミ処理もできないので徹底的に手を抜こう・・・と考えて食材を選び始めた。だが買い物カゴの中を見ると、東北最後の夜が一番みすぼらしいものになりそう。やはりこだわらなくては・・・。
この店で一番目を引いたのが厚揚げ売り場。2種類の大きなものが「これでもか」と並べられている。そしてそれはパック詰めではない。「なんと庄内地方の山形ケンミンはでっかい厚揚げを美味そうにほおばったのだ~」というケンミンショーのナレーションが聞こえてきそうだ。ようしこれをフライパンで炒めてショウガをすり下ろし、ひっくり返して頃合いを見て醤油をジュッと・・・。これをメインに、しめ鯖とロースハムで補完。究極のメニューの完成だ♪
10月13日(月) ☀時々☁ 本日の走行距離=178Km
7時起床。計画ではすでに出発時刻だが、午前中雨が残るという予報なのでゆっくりと出発しよう。時間に余裕はある。空は全面的に雲に覆われてはいるが、降ってはいないし明るい。
ふとエンフィに目をやるとリヤショックの所に取り付けてある荷台がボルトからズレて抜け始めているような形跡を見つけた。増し締めをして荷物をまとめる。
林道の記述が少ないナビへの打ち込みに手こずったが、9時出発。国道を左折し、継ぎ接ぎだらけの路面をゴトンゴトンと進む。その度にバイクは弾んでいるが、僕の心はもっと弾んでいる。計画するたびに「通行止め」で未踏の地であった朝日スーパー林道。10数年来の夢が今、実現するのだ。
やがてトンネルが現れた。長くて暗くて細い、車1台が通れる幅しかない。途中に2カ所、離合のための膨らみが設けられていた。いやそれより路面がひどい。2本のワダチは深く、水がたまっている。
それを過ぎると荒沢ダムのダム湖が現れた。ダム湖の北端に集落があり、キャンプ場や旅館がある。しばし休憩。
一服したらいよいよスーパー林道だ。いや、今はスーパーラインと言うらしい。森林資源よりも観光資源としての性格が強くなったので名を変えたのかな?
継ぎ接ぎ舗装路がついに砂利道になった。路面に岩が露出したり、こぶし大の石があったりで気が抜けない。とりあえず路面ばかりに神経を集中させて進む。車体に負担がかからないよう、2~3速、時速30キロ程度で登る。
雨上がりの緑が白い空に映えている。砂利道で後輪がジョリジョリと流れる感じが楽しい。日曜日だからか、時々対向車に出会う。
左手に西大鳥川の清流を眺めながら進むが展望は開けない。
山形県と新潟県の県境の直前から舗装路となる。朝日林道竣工記念碑とか案内図のある名無し峠で小休止。この辺から東側に大きく展望が開ける。どれがどの山なのか地図と照合するが分からなかった。でも全体が朝日連峰なのには違いないからよしとしよう。ただ、空の色が白~灰色なので山全体がくすんでいたのはちと残念。先ほどは「白い空に映えている」と書いたが、同じ天気でも近景と遠景では評価が変わる。
エンフィ修理
撮影を終えてエンフィを見ると、気になっていたリヤショック上部の荷台取り付け部が左側も抜けかかっている。こりゃあかんわ・・・修理を決意。積み荷をみんな降ろしてボルトを緩める。渾身の力を振り絞って荷台を押さえつけると「ガキッ」という音とともに取り付け部は元に戻った。
原因はエンフィの荷台が小型のため、自作で荷台を作った事。元の倍以上の大きさになり、これが後部まで伸びている。林道走行の振動で後部が下がった分、テコの原理で前部の取り付け部が上がってきたのだ。構造に無理があるようだ、帰ってから改修しよう。
長い林道だったが、未舗装部は約15キロほどと短い。でもエンフィにとっては長く感じられた道のりだった。
国道7号線に入り、13時30分、道の駅「神林」で休憩。サイドボックスから生ぬるくなった牛乳を取り出し、パックのまま飲み干す。缶コーヒーも飲んで14時出発。
新潟港の位置が分かりにくく、出航1時間前の15時30分を少々過ぎた(汗)。しかし港はガランとしている。なんと1時間半ほど船が遅れるらしい。焦る必要はなかったのだ。
18時乗船。バイクは15台。その内の10台がハーレーだった。
食事は夕べの残りのハムと刻みキャベツ、新潟市内で調達したコロッケとポテトサラダ。あっ、ハシを忘れた!日焼け止めクリームのチューブをスプーン代わりにしてお食事再開。
10月14日(月) ☀ 本日の走行距離=230Km(番外編)
東北本編を外れるが記載したい記事があるので「番外編」として記す。
いい天気だこと。国道8号線から高規格道路、国道161号線を時速70キロで疾走。
最低気温8℃
しかし寒いことだ。朽木村(くつきむら)に至る上り坂の電光掲示板には「9℃」という表示が。東北では最低気温が13℃で、ほとんど20℃以上だったのに。
7時30分、道の駅「くつき新本陣」で熱~い缶コーヒーを飲み、東北では着用しなかった防寒チョッキを着る。
国道367号線は安(あ)曇(ど)川(がわ)沿いの谷。なかなかお日様が昇らない。
酷道を楽しむ
8時30分、国道477号線と交差し、西へ。これが噂の酷道だ。四輪車だと切り返ししなければ曲がれないカーブとか百(もも)井(い)峠(とうげ)も楽しみだ。
往復2車線の急勾配を豪快に駆け上る。トップバッター、前ケ畑峠の入口には「この先道狭し 車両離合困難」の看板が立ててあった。
急勾配急カーブに加えて路面状態もろよろしくない。低速ギアを駆使して通過。
次が百井峠だ。雪対策か路面維持対策かわからないが入り口部分はアスファルトではなく、コンクリートで舗装されている。両側には杉が立ち並びまるで林道。路面状況はさらに悪くなってきた。舗装のはがれやツギだらけ。そこに木の枝や葉が平気で落ちている。切り返ししないと曲がれないコーナーは地方道38号線との交点にあった。ヘアピンと言うほどではない。が、それでも車は曲がれない。道路が狭いのだ。
ここから花脊(はなせ)峠に向けて高度を上げてゆく。百井峠よりも路面状態は良いが「スゲエ!」という写真になっていないのが悔しい。
峠を下ろうとすると、うっひゃああ!、15度の下り坂。別所の集落が見えてきた所からようやく普通の道になってきた。しかし酷道走行、大変楽しめました。
府道366号線、地方道19号線を抜け、道の駅「スプリング日吉」で休憩。枝豆などを買い込み、篠山、吉川を抜けて12時45分、無事生還♪
2013年4月にロイヤルエンフィールド(以後「エンフィ」)を購入し、半年以上経った。この間、ツーリングらしき事と言えば近所を100キロ、ぶらり散歩。それと湯村への1泊キャンプ。いずれもエージングを進めるための慣らし運転である。
4000キロを走って出た故障は200キロ時に点火プラグのカブリによる起動不能。1500キロ時にメーターランプとポジションランプの球切れ。ハンドルロック故障。こんな調子のインド車ゆえ、いきなりの遠出を躊躇していた面もある。まあ、ダメ出しはできたろうし、躊躇している間に自分のエージングが進むという問題もある。
さて、旅のテーマだ。先月購入した「美味しんぼVOL110」は全11話、250頁に渡って「福島の真実」を取り上げている。無論、原発事故とその後の「食」についてだが、かなり踏み込んだ内容で原発の存在そのものを糾弾している。
震災後2年少々の間に東北は2回訪れた。原発事故をテーマに六カ所村を訪れたソロツーリング、津波による震災の状況を自分の目で確かめようと企画した夫婦でのキャンプ。しかしいずれも話の中心部であるべき福島第一原発からそれている。
比較的放射線量の低い地域では避難指示解除区域となり、住んではならないが立ち入り禁止は解除となっている。「ゴーストタウン」と表現して辞任に追い込まれた大臣がいたが、人が住まない町は=ゴーストタウン。辞任すべきは原発なのだ。そういう町を見てきたい。これが第一の目的。
第二は今まで何度も挑戦しながら通行止めで果たせていなかった朝日スーパー林道。
こうしてテーマが決まり、綿密な計画を立てた。
2013年 10月7日(月) ☀ 本日の走行距離=200Km
おうち→ 吉川(よかわ)IC→ 小浜IC→ 敦賀港
秋の東北だ。防寒対策はしっかりしていこう。革ジャン革ズボンに革グローブ、安全靴という全身皮革スタイル。下には半袖下着、薄手の長袖、防寒チョッキ、ジャージ。ネックウォーマーも装備した。
5時30分、自宅を出発し、青山のコスモで燃料を満タンにした。さあ、旅の始まりだ。
エンフィールドで高速道路の長距離は初体験。時速90キロで流す。これ以上の速度になると振動が固くなるので無理・・・しかしこれは想定内。
9時敦賀港着。手続きをしているうちに乗船が始まっていた。小樽航路と比較して1世代古い船なんで速度が遅いだけじゃなく、カップラーメンコーナーは無いしカフェは営業していなかった。これは淋しい。
衝撃!台風直撃情報
船内のテレビでニュースを見る。大型の台風24号が対馬を回って偏西風に乗り、東北南部を直撃という話になっている。もっと頑張れ太平洋高気圧!
10月8日(火) ☂のち☁ 本日の走行距離=320Km
朝から完全武装
5時30分、定刻通り秋田港着。降ってはいないが雨は確実だろう。最初から合羽上下、ゴム長、台所用ゴム手袋で完全装備。雨、かかってきなさい!
国道7号線から13号線へ。交通量は多いが結構な速度で流れている。協和で国道46号線と341号線の合同区間に入ると極端に交通量が減った。そして角館から約束通りの雨。
秋田県と岩手県の県境の峠越えは幾つものトンネルが整備され走り易い。とはいえかなりの急勾配だ。交通量はきわめて少なく、ロイヤルエンフィールドの鼓動を楽しみながら70キロ程度で流す。
8時15分、県境の仙岩峠を越えて道の駅「雫石あねっこ」に到着。昨年妻=智子と訪れて農産物、特に椎茸が旨かったのが印象に残っている。だが、ネーミングの「あねっこ」は不可解なままやったので、やけに気になっていた。
「あねっこ」の真実 絶対に聞いてやろうと思ってたら説明文が貼ってあった。なんでも「雫石には美人が多く、年頃になった女性のことを『あねっこ』とよぶ」そうな。アネゴぐらいの解釈をしていたが、まるっきりの的外れではなかったようだ。スッキリした。
計画変更
なんということだ、秋田、山形、岩手は今日から4日間雨!、宮城は今日だけ曇りで後は雨。福島だけが今日が晴れで後は曇り。これではわざわざ東北まで濡れに来たようなものだ。田代台と龍泉洞は諦めて計画では2日目であった宮城を目指すことにする。
あねっこを後にすると土砂降りになってきた。盛岡市内の渋滞に辟易しながら奥州街道=国道4号線を南下。
するとどうだ、天気予報通り南の空は明るく、雨は小降りになり、やがて上がってしまった。交通量は減り、雨合羽も乾き始めた♪
禁断の昼食・・・ラーメンが旨そう ♪♪♪
10時50分、盛岡から30キロほど南下して道の駅「石鳥谷(いしどりや)」に到着。昨年7月から1日1食健康法を続けているのに妙にラーメンが食いたくなった。ディスプレイが素晴らしすぎる。ラーメン・トンカツセット(980円)を注文。南部鉄器のような鍋に盛られたミニラーメンは醤油味、そして色の割に薄味。トンカツも薄味が嬉しかった。無論美味しゅうございました。
エンフィ快調 ・・・ 田舎道散策 花巻から国道4号線をはずれ、東へ10キロの東和(とうわ)から国道456号線を選択。信号機も交通量もごく少ない走りやすい道だ。緩い勾配に緩いカーブの田舎道にはまだ刈り取りの終わっていない稲の黄金色が煌めき、刈り取りの終わった田んぼには自然乾燥させるべく稲木が立ち並んでいる。一本の支柱に何重にも重ねられた稲の姿はまるで蓑をまとった旅人のよう。
16時。お宿に到着。長沼フートピア公園は大きな風車が目印でキャンプ場はこの公園の一角にある。温泉は2キロあまり離れたところにある「ヴィーナスの湯」(400円)。カルシウムやマグネシウムなどの成分を取り除き、軟水に仕上げているらしい。そのせいかサラリとしており、まるで普通の湯に浸かっている感触。
温泉から上がるとなぜかビールより牛乳が旨い。小岩井の牛乳が2種類。3.7%の自然味と濃厚味。値段は同じ。濃厚味を選んだ。飲み終えてさっき牛乳を売ってくれた受付のおねえさんに「やっぱり濃いですね」と言うと「そうでしょう♪」と返してくれた。そこで「小岩井牛乳やから濃いわい、なんちゃって」とオヤジギャク。しばらく間を置いて同僚のおばさんと2人で吹き出していた。それを見てピースサイン。
設営しながら宴会開始 ♪
ビールを飲みながらテント設営終了。さあ、野菜をつまみながら焼酎のお湯割りだ。湯を涌かそうとしたがライターが無い!絶対入れたという確信があるので徹底的に探したが無い!(ガソリンを注ぐじょうごの袋に入れていたのが後日判明)
10月9日(水) ☁ 本日の走行距離=308Km
5時起床。今日も雨合羽とゴム長をはじめから装備。500ccの牛乳を飲んで県道1号線から国道4号線へ。東北自動車道大和インターから高速走行を決意。仙台北部自動車道、南部自動車道、東部道路を経由し、終点の常磐自動車道山元インターから一般道路となる。
復興と放棄と・・・原発事故の異質さ
まずは海岸通りの地方道38号線を南下。おびただしい数のトラックが行き交っている。他県ナンバーも多い。土ぼこりがすごい。浜に大きな堤防を作っているようだ。だが今回並の津波が来たら意味がないのになあ。復興とか津波対策とかいうよりも「津波産業」と呼ぶのが分かりやすいかもしれない。
景勝地、松川浦は大橋が通行止めになっていたので国道6号線に戻り、相馬へ。いよいよ「美味しんぼ」に載っていた立ち入り禁止除外準備地区、南相馬市の小高(おだか)区だ。
双葉町に入る直前で「一般車通行禁止」となった。西側の県道120号線を北上。JR桃内駅に立ち寄る。レールは錆び付き、雑草が線路まで延びている。公衆電話ボックスにも葉の大きな蔓草が侵入。時刻表を見ると結構な本数で運行されていたようだ。
原の町に入ると人の姿がないではない。信号機も動いている。一方、店舗はすべて閉鎖され、「街」としての機能はしていない。
農村部へ入る。田畑は放置され、荒れ放題。民家は大きな傷みがないにもかかわらず、門扉が縄でくくりつけられるなど、住民の姿はない。
新しい公営住宅もカーテンが掛かっているのを見れば人が住んでいただろう。だが今はススキやセイダカアワダチソウが生い茂り、人の気配はない。
地震や津波での大きな被害がなかったにもかかわらず生活できなくなったのだ。普通の事故とは時間的・空間的・社会的に異質の事故、それが原発事故なのだ。福島第一原発が廃炉にできるまでの最低30年以上、常磐線も国道も南北につながることはないのだろう。
南相馬から地方道12号線を西へ、飯舘(いいたて)村へ入る。素晴らしい農村風景が広がる。ここに「村民の森 あいの沢」というキャンプ場があるが原発事故後、立ち入り禁止になっている。福島第一原発から直線距離で40キロ以上離れているのに線量が高いそうだ。
ナビに従い、伊達から丸森へ抜ける。15時、不動尊公園キャンプ場に到着。宿泊客は僕一人らしい。それにしても暑いことだ。道路の電光掲示板には連日28℃と表示されている。台風は温帯低気圧に変わったらしい。この暑さは彼が運んできたものかもしれない。
林間の昔風サイト、不動尊公園キャンプ場 キャンプサイトには小川の流れが聞こえる。上流部らしく、大きな岩がゴロリとしている。そこに木製の歩道が設置され、楽に渓流を散策できる。テントサイトは林間の土。現代のオートキャンプ場とはかなり趣が異なる。
さて温泉だ。キャンプ場から数百メートルの所に国民宿舎あぶくま荘があり、日帰り入浴ができる(¥500)。 「ヘルストン温泉」という表示があった。「温泉」の表示の上にテプラで「人工温泉」と貼ってあったが意味が分からなかったので帰ってから調べると「ヘルストン温泉システムとは、浴槽水をろ過、温泉化し、同時に浴槽水の殺菌、温度調整、水位調整等も制御するシステムです」ということであった。
管理人さんも帰り、誰もいないキャンプ場に一人で盛りあがる。野菜はニンジンとインゲンを茹でた。それにポテトサラダ、刻みキャベツ・・・野菜のオンパレード。カツヲの刺身がうまい。これは添え物でないショウガがほしかった。 宴もたけなわの頃、若い女性4人組が登場。「管理人さんですか?」と聞いてきた。「いや、宿泊者です」と答えたら困ったような顔をしていたので「テント張って明日手続きしたら?」と促すと「いえ、コテージを予約してるのです」。と言って立ち去った。
せせらぎの音を聞きながら21時就寝
10月10日(木)☀のち☁ 今日の走行=312Km
4時半起床。早朝の渓流散歩。モミジなど、広葉樹の葉はまだ青々としているが、来月になれば見事な渓谷美が拝めるのだろうな。
駐車場に昨夜の彼女たちの車が駐まっていた。車中泊かと思ったが中には居なかったのでコテージに入れたんやな、良かった良かった。
荷物の上に昨夜洗濯した下着類をくくりつける。風乾だ。
7時30分、管理棟にお礼のメモを残して出発。阿武隈川を左手に眺めながら国道349号線を西へ快走。往復2車線の交通量は通勤時間帯なのにきわめて少ない。
阿武隈川沿いを快走♪
マップルは「夕日を浴びた阿武隈川がすごくきれい!」とビックリマークまで付けているが降雨のせいか濁れていた。やがて険しいV字渓谷となり道路は狭く、タイトコーナーの連続となる。道路から数メートル上に洪水時にここまで水が来たというマークが付けられていた。
太平洋から50キロほど遡った所で景色が開け、空が大きくなる。それに反比例して走りは小さくなる。交通量と信号機が多くなってきたのだ。
磐梯吾妻スカイラインは1.100円と高額なので躊躇していたが、あの景色は捨てがたい。前回は日曜日だったので車が多かったが今日は平日だ。自分だけのゆったりとした走りができるだろうと考え直し、スカイラインに向かう。
スカイライン無料化
やけに交通量が多い。日曜日の時よりも多い???入り口の料金所がなくなっていた・・・つまりこの道路、無料になったのだ。だから交通量が多い、こんなことなら有料のままの方が良かった。
吾妻小富士の東側は濃霧が暴れているという感じだが西側は風に吹き飛ばされ、白い地肌を見せている。さらにその西側は黄色や朱に染まった紅葉が見事。
大勢の人たちが一眼から携帯まで様々なカメラで撮影に励んでいる。
下りは交通量が少なく、土湯峠まで快走。 裏磐梯周辺のキャンプ場は総じて値段が高いがその中では一番安く、ロケーションも良い曽原湖オートキャンプ場に契約。テントなら1.000円、バンガローでも4.000円だ。
テントを設営し、荷物を降ろして修理工具と雨具だけにすると見事に軽くなった。未踏の地、猪苗代湖の湖岸を一周しよう。これはマップルおすすめのコースだ。
初挑戦、猪苗代湖一周
磐梯山ゴールドライン(¥530)も7月から無料になっていた。前方に磐梯山を眺めながら下る。眼下の猪苗代湖がだんだん大きくなってくる。
国道49号線を東へ。小石ケ浜から地方道376号線を湖沿いに南下する。気持ちの良い走りもわずかで、やがて林道になった。マップルは「タンデムにも最適」と言うが、タンデムどころかトンデモ! 急カーブ急勾配の連続は想定内としても落石や落ち葉、砂などはいけません!
南岸西の秋山浜で林道を終え、複雑にカーブした岸沿いの走りとなる。南岸東の船津浜から北行きは今までの走行がうそのようにゆったりと流すことができた。左手西側には雲に隠れた夕日が湖面をキラキラと輝かせている。何度も立ち止まってシャッター!
裏磐梯にスーパーは無いど!
さて、食料調達だ。裏磐梯にはスーパーの類がないのでこの辺で仕入れておく必要がある。今日はチキン中心で行こう。
温泉はキャンプ場から2キロほど離れた所にある「香の湯」(¥800)。20畳ほどの暗い露天風呂には脱衣所と洗い場があるだけでその他の設備は何も無い。ついでに他の客も居ない。一人で十分に温もり、レークサイドグラウンドホテル!(グラウンドにテントを張ることをそう表現する。曽原湖の湖畔なのでレークサイドになる(^O^)
今夜も「おひとりさま」で孤独な大宴会だ。
10月11日(金) ☁のち ☂のち ☁ 本日の走行距離=231Km
そはら湖と呼ぶ
7時起床。全面曇りだが明るい。朝一番に散歩する。キャンプ場入り口には「無断立入禁止・そはら湖キャンプ場」とある。今まで何回か利用させて頂いているが、ずっと「そばら湖」だと思っていた。隣の大きな湖が檜原湖(ひばら湖)だからその流れなのだが、確かに「そばら」より「そはら」の方が上品に聞こえる。しかし「ひばら」が「ひはら」ではそうならない。日本語の妙だ。ついでに「ソファラ」と発音したら異国っぽくなるな。それより音階みたいかなどと考えながら鴨が浮かぶ湖を撮る
9時、管理人のおばさんに挨拶をして出発。檜原湖西岸を北上する。途中、道の駅「うらばんだい」に立ち寄る。天気の情報が分かるかもしれない。到着とともにすごい降り方になってきた。
道の駅で情報収集と・・・2時間の休憩&お悩みタイム ここの端末機は画面をタッチして操作できない。色々な情報が次々と現れ、天気予報もその中の一つとして扱われているので見るまでには時間がかかる。その上見たいと思う情報の画面は切り替わりが早い・・・と感じる。今日の宿泊予定地、宮城は☁☂、山形も福島会津も同じ。福島でも東部は☁☀。行こうとしている所はどこも雨で情けなくなってくる。
2時間も粘っていると小雨になり、お日様が見えたりしてきた。単純なものだ、こうなれば前向きな気持ちになる。
西吾妻スカイバレー
合羽は着用せず、そのまま西岸を北上。北塩原村から西吾妻スカイバレーへ。本日一番のハイライトだ。昨日と違って前に車がいないのが良い♪ とはいえ、つづら折れの登坂では3速中心の走りとなる。高度が増すに連れ、樹々のトンネルが色づきはじめた。
白布峠(1416m)から北への下りは南と比べてコーナーは緩い。右の谷を隔てて紅葉が見られる。福島県側とは違い、景色が大きい。曇り空なので色はくすんでいるが、時折陽が差すとそこの部分だけパァーっと煌めく。
「最上川源流」で記念撮影。米沢に向かう緩やかな下り坂にはのどかな農村風景が広がり気が和む。
「最上川源流」で記念撮影。米沢に向かう緩やかな下り坂にはのどかな農村風景が広がり気が和む。
米沢市内を外し、南北路では最も東側の「ぶどうまったけライン」を北上。このライン、南側はブドウばかりの緩やかな田舎道。対して北側は赤松のマッタケ山。この急カーブ急勾配は地図からは読み取ることができなかった。ま、平坦地でマッタケは採れんわな。
知ってしまった、エンフィもう一つの顔!
国道113号線を東へ。峠に向かい、どんどん高度を上げてゆく。時速70キロで走っている時のロイヤルエンフィールド、柔らかい鼓動が心地良い。だが重い荷物をしょってこのような坂道で負荷をかけるとどうだ、大量にガソリンを吸い込んだ500CC単気筒の爆発が一発一発大振動となってハンドルやステップに伝わってくる。アクセルを開けるとパワーは出る。しかし車体がこの振動に耐えられそうにないのでシフトダウン。そうすると今度は回転が上がるとによる小刻みな固い振動が発生。平坦路を「プテプテプテ」と軽い音で気持ちよく走っていたが「ドカドカドカ」になり、さらに「ピッピッピ」という硬質の高い周波数の音が加わる。これはちと豪快すぎだよ。日常ではこのような負荷をかけることが無いので気がつかなかったが、どうやらエンフィ、別の顔を持っていたようだ。
この国道は「七ケ宿街道」と名付けられているが、実は他にもいろんな名の「宿」がある。往時を偲ばせる雰囲気は時代劇の収録にも使えそう。思わず立ち止まって撮影。
15時40分、キャンプ場に着くと管理人さんが「バンガローを申し込まれましたがどうします?」と聞いてきた。
バンガローをキャンセル
恐らく貧乏そうに見える僕の外観と、薄日の差す今の天気を考えて選択の余地を与えてくれたのだろう。「現場を見て判断します」と言ってテントサイトを眺める。東屋がある♪下は砂利・土でゴワゴワしてはいるが、テントを張る広さがあるので雨が降れば逃げ込めば良いと判断。バンガローをキャンセルした。これで2千円節約できた。
東屋のそばに設営してから周辺散策に出発。右手に七ケ宿湖(ダム湖)を見ながら快走。さらに東へ進むと「材木岩」の看板が。3年前に将積サンとのツーリングで訪れた所である。柱状節理の多数の岩がまるで柱のように見えるから材木岩と呼ぶそうな。
だいぶ暗くなってきた。白石(しろいし)に入り国道4号線と合流。マップルが「大露天風呂が魅力」という蔵王開拓温泉をめざす。
4号線から国道457号線。どこまで登ったら気が済むのだ!と言いたくなるほど、どんどん高度を稼ぐ。地方道51号線をさらに登るとようやく看板を見つけた。営業時間は18時まで。今17時20分。え~い突撃!
今日も800円、大露天風呂?蔵王開拓温泉
受付のおばさんが「6時までなんですけど」と申し訳なさそうに言うので「30分もあれば大丈夫です」と返事して脱衣場へ。露天へ行くには内湯の浴槽を通らねばならない。「アッチー!」絶対に浸かることができないと思うほどの熱さに飛び上がった。足を付けることさえ困難なほどの温度。そこを通り過ぎて露天へ。こちらはかなり温度が低かった。しかし大露天風呂といっても昨日より狭い。その下側にも浴槽は1ああったがなぜか空っぽ。上がりがけ、また内湯を通らねばならない。湯船の縁の上を歩いて出る。
16時30分、キャンプ場に戻り着いてビールを飲みながら調理場で宴会の準備。ゴミ処理をしてくれるキャンプ場は料理も楽しい。
カツヲの刺身にショウガをすり下ろす。やっぱりおまけについてきたものとは雲泥の差。カツヲ自体脂がよく乗っており、ショウガのピリリとよく合う。地元で買った辛口の佳酒、七ケ宿湖(特別純米酒)が旨い。
そうしているうちにザ~という雨音が・・・。いかん!テントの中身を東屋の椅子に移し、テントを持ち上げてそのまま東屋へ移す。眠る前で良かった。
10月12日(土) ☁のち ☂ 本日の走行距離=251Km
3時30分に目が覚めてからウトウト。この緩い感触を楽しみながら5時30分起床。曇天ではあるが、星もある。カメラを片手に場内散策。芝生のサイトが美しい。栗の木からイガが落ちて小さいながらも実が入っている。食えそうなキノコもある?←食わなかったゾ!
特筆すべきは便所。男も女もすべて洋式なのだ。普通、一方が洋式なら一方は和式である。この構成を考えた人は若手で都市部の客対応を考えた上でのことだろう。今時、田舎でも洋式が主流になってるのだから当然かもしれない。しかしそれを実行できるのが驚きである。
だんだんと天気がおかしくなってきたので雨具で完全装備、とりあえず遠刈田(とうがった)温泉を目指す。
国道113号線から457号線へ。約束通り降り始めた。牧場と牧場を結ぶなだらかな道は雨さえなければ最高の走りを楽しめた事だろう。
のどかな457号線から286号線へ。交通量はきわめて少なく走りやすい道だ・・・と思っていたのも山形自動車道、笹谷インターチェンジまで。ここから先は「大型車通行不可」という立て看板が。
看板さえおどろおどろしい・・・酷道286号線
急勾配急カーブは地図から容易に読み取れたが、カーブミラーの数が少ない。やがてヘアピンカーブの連続となってきた。カーブミラーのほとんどはヘアピンの所にしかないのでミラーがあればヘアピン、要注意だ。
きわめて交通量の少ない笹谷峠に突風が吹き付け、山がザワザワと鳴っている。
下りに入る。左カーブではキープレフトでカーブに入ると出口では右側にはみ出してしまう。それほど狭くて急なのだ。道いっぱい使ってアウト・イン・インの手法でしのぐことにする。これは文句なしの酷道だ。
やや渋滞気味の山形市内を抜け、雨に打たれながら「絶好の森林散策路」(マップル)という県民の森へ。森林浴というより水浴だなあ。県民の森を抜けると民芸風の家屋が建ち並ぶのどかな農村風景の集落が現れた。
13時20分、道の駅「白鷹ヤナ公園」に到着。「ヤナ」とは長い割竹のスノコのようなものを下流から上流の底に設置し、下ってきた魚を捕る漁法。鮎だけではなく、どんな生き物も根こそぎ捕獲することになるので川幅の半分は通路として残していた。 長い間眺めていたが全然獲れていない。一方、道の駅では大量の鮎が焼かれていた。別の所で獲れたものを仕入れたのじゃなかろうか?
鮎、買って持ち運ぶという手もあったのに
とはいえ、腐ってもアユだ、いい匂いが漂っている。小学校低学年女子4人が母親らしき人と一緒にそれを食ってる。金が無いわけじゃないけれど一日一食健康法のアサノがそれを食ってはいけない。ニオイだけ頂こう。
山形自動車道月山インターチェンジから西の112号線は高速道路並の高規格道路となる。速度は80キロ。西からの強い向かい風を受けながら峠を登る。
電光掲示板は13℃となっていた。初めて20℃を切った。少し寒い。峠付近まで来ると土砂降りとなり、股の所が湿ってきた。これは合羽の泣き所、左右の足で受けた雨、上から垂れてきた雨がここに集中し、縫い目から侵入するという構造的な問題をもっている。
ついに野宿を決意
こうなるとキャンプ場は無理と判断。3年前の東北ツーリングで利用した月山ダムの西側から1キロほど入った所ににある多目的広場。そこには東屋があってテントを張れるスペースがある。さらに便所、水道も完備。東屋内にはL型の長いすとテーブルも備え付けてある。さらに2方は下から1メートルほどの板張りがあり、風よけにもなっている。
とりあえず現場を確認する。あの時と同じ状態でその東屋は存在していた。今日の宿をここに決め、まずは温泉だ。近くにあるかたくり温泉「ぼんぼ」の入浴料は400円。昨日一昨日の半額だ。僕は使わないがサウナもある。露天風呂は無いが浴槽は大きなガラスで開放的。20分間浸かった後は発汗防止のために水風呂に入る。
食料調達は「Aコープあさひ」。今日は調理場がないしゴミ処理もできないので徹底的に手を抜こう・・・と考えて食材を選び始めた。だが買い物カゴの中を見ると、東北最後の夜が一番みすぼらしいものになりそう。やはりこだわらなくては・・・。
この店で一番目を引いたのが厚揚げ売り場。2種類の大きなものが「これでもか」と並べられている。そしてそれはパック詰めではない。「なんと庄内地方の山形ケンミンはでっかい厚揚げを美味そうにほおばったのだ~」というケンミンショーのナレーションが聞こえてきそうだ。ようしこれをフライパンで炒めてショウガをすり下ろし、ひっくり返して頃合いを見て醤油をジュッと・・・。これをメインに、しめ鯖とロースハムで補完。究極のメニューの完成だ♪
10月13日(月) ☀時々☁ 本日の走行距離=178Km
7時起床。計画ではすでに出発時刻だが、午前中雨が残るという予報なのでゆっくりと出発しよう。時間に余裕はある。空は全面的に雲に覆われてはいるが、降ってはいないし明るい。
ふとエンフィに目をやるとリヤショックの所に取り付けてある荷台がボルトからズレて抜け始めているような形跡を見つけた。増し締めをして荷物をまとめる。
林道の記述が少ないナビへの打ち込みに手こずったが、9時出発。国道を左折し、継ぎ接ぎだらけの路面をゴトンゴトンと進む。その度にバイクは弾んでいるが、僕の心はもっと弾んでいる。計画するたびに「通行止め」で未踏の地であった朝日スーパー林道。10数年来の夢が今、実現するのだ。
やがてトンネルが現れた。長くて暗くて細い、車1台が通れる幅しかない。途中に2カ所、離合のための膨らみが設けられていた。いやそれより路面がひどい。2本のワダチは深く、水がたまっている。
それを過ぎると荒沢ダムのダム湖が現れた。ダム湖の北端に集落があり、キャンプ場や旅館がある。しばし休憩。
一服したらいよいよスーパー林道だ。いや、今はスーパーラインと言うらしい。森林資源よりも観光資源としての性格が強くなったので名を変えたのかな?
継ぎ接ぎ舗装路がついに砂利道になった。路面に岩が露出したり、こぶし大の石があったりで気が抜けない。とりあえず路面ばかりに神経を集中させて進む。車体に負担がかからないよう、2~3速、時速30キロ程度で登る。
雨上がりの緑が白い空に映えている。砂利道で後輪がジョリジョリと流れる感じが楽しい。日曜日だからか、時々対向車に出会う。
左手に西大鳥川の清流を眺めながら進むが展望は開けない。
山形県と新潟県の県境の直前から舗装路となる。朝日林道竣工記念碑とか案内図のある名無し峠で小休止。この辺から東側に大きく展望が開ける。どれがどの山なのか地図と照合するが分からなかった。でも全体が朝日連峰なのには違いないからよしとしよう。ただ、空の色が白~灰色なので山全体がくすんでいたのはちと残念。先ほどは「白い空に映えている」と書いたが、同じ天気でも近景と遠景では評価が変わる。
エンフィ修理
撮影を終えてエンフィを見ると、気になっていたリヤショック上部の荷台取り付け部が左側も抜けかかっている。こりゃあかんわ・・・修理を決意。積み荷をみんな降ろしてボルトを緩める。渾身の力を振り絞って荷台を押さえつけると「ガキッ」という音とともに取り付け部は元に戻った。
原因はエンフィの荷台が小型のため、自作で荷台を作った事。元の倍以上の大きさになり、これが後部まで伸びている。林道走行の振動で後部が下がった分、テコの原理で前部の取り付け部が上がってきたのだ。構造に無理があるようだ、帰ってから改修しよう。
長い林道だったが、未舗装部は約15キロほどと短い。でもエンフィにとっては長く感じられた道のりだった。
国道7号線に入り、13時30分、道の駅「神林」で休憩。サイドボックスから生ぬるくなった牛乳を取り出し、パックのまま飲み干す。缶コーヒーも飲んで14時出発。
新潟港の位置が分かりにくく、出航1時間前の15時30分を少々過ぎた(汗)。しかし港はガランとしている。なんと1時間半ほど船が遅れるらしい。焦る必要はなかったのだ。
18時乗船。バイクは15台。その内の10台がハーレーだった。
食事は夕べの残りのハムと刻みキャベツ、新潟市内で調達したコロッケとポテトサラダ。あっ、ハシを忘れた!日焼け止めクリームのチューブをスプーン代わりにしてお食事再開。
10月14日(月) ☀ 本日の走行距離=230Km(番外編)
東北本編を外れるが記載したい記事があるので「番外編」として記す。
いい天気だこと。国道8号線から高規格道路、国道161号線を時速70キロで疾走。
最低気温8℃
しかし寒いことだ。朽木村(くつきむら)に至る上り坂の電光掲示板には「9℃」という表示が。東北では最低気温が13℃で、ほとんど20℃以上だったのに。
7時30分、道の駅「くつき新本陣」で熱~い缶コーヒーを飲み、東北では着用しなかった防寒チョッキを着る。
国道367号線は安(あ)曇(ど)川(がわ)沿いの谷。なかなかお日様が昇らない。
酷道を楽しむ
8時30分、国道477号線と交差し、西へ。これが噂の酷道だ。四輪車だと切り返ししなければ曲がれないカーブとか百(もも)井(い)峠(とうげ)も楽しみだ。
往復2車線の急勾配を豪快に駆け上る。トップバッター、前ケ畑峠の入口には「この先道狭し 車両離合困難」の看板が立ててあった。
急勾配急カーブに加えて路面状態もろよろしくない。低速ギアを駆使して通過。
次が百井峠だ。雪対策か路面維持対策かわからないが入り口部分はアスファルトではなく、コンクリートで舗装されている。両側には杉が立ち並びまるで林道。路面状況はさらに悪くなってきた。舗装のはがれやツギだらけ。そこに木の枝や葉が平気で落ちている。切り返ししないと曲がれないコーナーは地方道38号線との交点にあった。ヘアピンと言うほどではない。が、それでも車は曲がれない。道路が狭いのだ。
ここから花脊(はなせ)峠に向けて高度を上げてゆく。百井峠よりも路面状態は良いが「スゲエ!」という写真になっていないのが悔しい。
峠を下ろうとすると、うっひゃああ!、15度の下り坂。別所の集落が見えてきた所からようやく普通の道になってきた。しかし酷道走行、大変楽しめました。
府道366号線、地方道19号線を抜け、道の駅「スプリング日吉」で休憩。枝豆などを買い込み、篠山、吉川を抜けて12時45分、無事生還♪
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