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陸軍二式複座戦闘機屠龍を読む

2019-04-28 02:04:03 | 日記
 隔月で発行されている世界の傑作機のスペシャル・エデイションの陸軍の二式複座戦闘機屠龍を読みました。スペシャル・エディションは普通の世界の傑作機の倍ぐらいの分量があり、写真も豊富になっています。しかし、屠龍とはなかなかしぶい選択のような気がします。

 この二式複座戦闘機屠龍が開発されたのは、ちょうどヨーロッパで双発複座の戦闘機の開発がブームになっていて、陸軍もこれといって明確に戦闘機としてどのように使うかというようなことはあまり深く考えずに、流行の波に乗って川崎に開発をさせたという感じでした。

 双発複座の戦闘機は単発単座の戦闘機よりも航続距離が長く火力も強力で速度も優位とことだったのですが、実際に戦ってみてどうなったかと言うと、バトル・オブ・ブリテンでドイツ空軍の双発複座の戦闘機Bf110は爆撃機を護衛したのですが、イギリス空軍のスピットファイアやハリーケーンには全くかなわず大きな損害を受け、ついには単発単座のBf109の護衛をうけるというおかしな事態までになってしまったと言います。双発複座の戦闘機は単発単座の戦闘機にはかなわないことが明らかになりました。その後Bf110はレーダーを搭載して夜間戦闘機として対爆撃機戦に活躍することとなります。

 さて、屠龍ですが川崎で開発された最初のタイプは指定されたエンジンの不具合などから予定された性能がでませんでした。このエンジンは新開発されたもので、結局のところ失敗作のエンジンでそれを搭載したがために性能がでず苦労することとなりました。私も屠龍の最初のタイプの性能が出ずに苦労したという話は知っていたのですが、その原因がエンジンにあったというのは初めて知りました。

 そして開発責任者が変わったりして改設計し、エンジンも変更したところようやく性能がでるようになり、正式に採用されることとなりました。配備される機体のパイロットはそれまで究極の格闘戦能力をもつキ27を操縦してきたパイロットなので、双発で小回りの利かない機体が好きに慣れずにいやいや乗っている人が多かったようです。希望としては単発の戦闘機に乗りたいという希望を持つ人が多かったような。

 そして、Bf110でも降れたように屠龍も米軍の単発戦闘機との空中戦は勝負にならないので、米空軍の単発機が飛んで着ない場所とか爆撃機の要撃に使われていました。特に37mm砲を搭載した機体は当たれば一発で4発重爆を撃墜できる威力をもっていましたが、熟練搭乗員でないと扱いが難しかったように思われます。そして夜間戦闘機としても活躍し、硫黄島が陥落してP-51が護衛につくようになる前は対B-29戦に活躍しました。また海軍の夜間戦闘機月光の斜銃と同じような上向き銃を装備した機体もありましたが、あまり活用されてはいなかったようです。

 性能的には不十分でしたが、B-29を撃墜できる可能性の高い機体としての屠龍の存在は陸軍の航空部隊にとって大きなものがあったのではないかと感じています。ただし、パイロットからはあまり歓迎されない機体であったことだけは確かなようなのですが。




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