金堂へ万緑くぐる鞍馬路
(こんどうへばんりょくくぐるくらまみち)
青嵐天狗棲むてふ鞍馬かな
(あおあらしてんぐすむてふくらまかな)
6月11日~20日のツイッターつぶやき句をまとめました。
(一部省略、一部推敲)
少年に秘密基地あり子蟷螂 遠き日のチヤンバラごつこ子蟷螂
少年に秘め事ひとつ子蟷螂 子蟷螂性善説を思ひけり
旧邸の苔むす池や錦鯉 錦鯉津和野の町の古色かな
人の世の淀む流れや錦鯉 錦鯉淀水にありてなほ紅く
五月闇為替株価の乱高下 丹波路は雨にけぶりて栗の花
九十九折の峠の路や栗の花 身隠せどにほい隠せず栗の花
丹波路の山けぶるごと栗の花 しのぶれど香に出でにけり栗の花
電波塔田面に映して早苗月 さゆらぎの風とたわむる早苗月
風渡る水面ゆるりと早苗月 休日は少年となり今年竹
硬骨であれ柔軟であれ今年竹 躍動の新人投手今年竹
故郷の古りし社や今年竹 食べられし兄弟数多今年竹
若竹を切りし一閃居合刀 集汁人それぞれに隠し味
それぞれに人に味あり集汁 知るほどに味ある人や集汁
明け易し夢の続きを見れぬまま 口づけの寸での夢や明け易し
明け易く起承転結始まりぬ 隣家より聞こゆ目覚まし明け易し
南天の花の身丈の主張かな 熊の鈴付け行く山路蛇の衣
脱ぎ捨てを妻に叱られ蛇の衣 脱ぎ捨てたことの数多や蛇の衣
蛇衣や浪花をみなは豹の柄 それなりに背負うものあり大昼寝
お絞りにフツと肩書はずしけり お絞りにフツと肩の荷おろしけ
お絞りに忘れゐしこと思ひだし 饒舌やお絞り使ふ間もあらず
よき人のよき笑顔かなさくらんぼ
(よきひとのよきえがおかなさくらんぼ)
桜桃やそれでも饒舌止まぬ人
(おうとうやそれでもじょうぜつやまぬひと)
こういう、美味しいものを食べながらも
おしゃべりがやまないお方。
たわわなさくらんぼから、おしゃべりが聞こえるようです。
6月1日~10日のツイッターつぶやき句をまとめました。
(一部省略、一部推敲)
未だ解けぬラムネの栓の不思議かな 紙芝居の名調子かなラムネ飲む
ラムネ飲む帽子の似合う老女かな ラムネ飲むこれより心整へて
日野山を遠くけぶらせ若葉雨 若葉雨降る最澄の山比叡
わづらへる我が目拭へよ若葉雨 結末のなく夢覚まし時鳥
洗ひ髪梳いて紅引くをみなかな 天土の息にあわせて芒種かな
老いなりの日課を刻む芒種かな 老農の雲行き眺む芒種かな
憂きことを断ち切る決意けふ芒種 芒種かな生命育む星に住み
明日思ひ得る幸せありて芒種かな 提灯草老躯に灯り抱き生く
蛍袋夢見し少女老いにけり 蛍袋夢を語りし日々ありき
片笑窪可愛いき人やさくらんぼ さくらんぼ昔唄ひしグレイセス
ゆきちゃんのおどけ笑顔やさくらんぼ 口づけを初めし日のことさくらんぼ
くちづけの乾かぬうちのさくらんぼ 不如帰帰る故郷あればこそ
株安やアベノミクスてふ梅雨曇り 万緑や鞍馬の寺の朱の伽藍
万緑を抜けて叡電鞍馬着 万緑や貴船へ辿る木の根道
万緑へ出町柳を出る電車 青嵐天狗棲むてふ鞍馬山
夾竹桃“沖縄返せ”と叫びし日 夾竹桃沖縄未だ基地の島
木漏れ日の影さす道や夾竹桃 夾竹桃ひめゆり隊の眠る島
刻まれし戦禍の島や夾竹桃 玉葱の甘きを知りて大人ぶる
玉葱を掘りて農婆のしたり顔 玉葱やひと皮剥けば美味き人
時の日と知りて時計をあわせけり 時の日や職退きてより速き日々