年送る

業のまた積み重なりて年惜しむ

年送る星に願いの灯りかな

逝く年や明けて希望とならまほし

喪中のため新年の挨拶は失礼いたします。

皆様、どうぞ良い年をお迎えください。

室の花

室の花夢を夢見る乙女かな

大海を知らぬ少女や室の花

極月

滑るまじ転ぶまじとぞ凍て世かな

かにかくに土に還れる落葉かな

極月や悲しみ数多重ねきて

欲張らず生きて行かねば実千両

星冴ゆ

荒星や世情荒ぶるこの星に

幾光年の旅の末とや星冴ゆる

年暮るる

年忘れ水に流せぬこと数多

山河破れ国の廃れて年暮るる

鎮魂の焔のさまに散り紅葉

聖夜

子の減りてサンタの手持ち無沙汰かな

聖なる夜よい子の眠る時を待ち

リストラに窮す人あり聖夜かな

凍空

凍空の果てより届く怒涛かな

凍空を映し静もる古池かな

かく老ゆることも良きかな落葉舟

縁遠くなるファッションや着膨れり

年の暮１

落葉踏む地の温もりの仄かかな

老骨に鞭打つ過疎の大根引き

新しき前掛け地蔵の年の暮

散り紅葉

散り黄葉共に白髪の目立ちきて

散り紅葉未練の縋る一糸かな

冬枯れてお爺ばかりの飲み屋かな

冬服、虎落笛

冬服を白にまとめて艶めけり

波跡の二重に三重に冬の浜

煩悩の怨み妬みや虎落笛