白桜忌叶わぬ恋と知れば燃え
(はくおうきかなわぬこいとしればもえ)
女心の未だに不思議白桜忌
(おんなごころのいまだにふしぎはくおうき)
パラソルをくるりと回す待つ間かな
(ぱらそるをくるりとまわすまつまかな)
パラソルやリリイてふ名のをみな歌
(ぱらそるやりりいてふなのおみなうた)
女生徒の満面笑みや海芋咲く
(じょせいとのまんえみやかいうさく)
花紫蘭多恋多情の源氏かな
(はなしらんたれんたじょうのげんじかな)
紫というと、源氏物語の「紫の上」を想起します。
老うほどに少年の日の草矢かな
(おうほどにしょうねんのひのくさやかな)
野隠れの忍者ごっこや射る草矢
(のがくれのにんじゃごっこやいるくさや)
まなじりの緩む愁かな五月病
(まなじりのゆるむしゅうかなごがつびょう)
焦螟や払へど消えぬ飛蚊症
(しょうめいやはらえどきえぬひぶんしょう)
季語=焦螟、蚊のまつげに巣くうという想像上の小虫
青春と言ふ名の真白夏衣
(せいしゅんというなのましろ)
八十爺にときめく余力夏衣
(やそじいにときめくよりょくなつごろも)
薫風や若き女医師のお大事に
(くんぷうやわかきじょいしのおだいじに)
夏蕨バスが二便の里にかな
(なつわらびばすがにびんのさとにかな)
生く道に少し薹立ち夏蕨
(いくみちにすこしとうたちなつわらび)
少々のあくあるあいつ夏の独活
(しょうしょうのあくあるあいつなつのうど)
山ウドの酢味噌和えです。
巫女舞の剣一閃夏来る
(みこまいのつるぎいっせんなつきたる)
巫女舞の翻る裳裾や夏に入る
(みこまいのかえるもすそやなつにいる)
卑弥呼めく巫女の舞かな夏に入る
(ひみこめくみこのまいかななつにいる)