下萌やラジオに聞こゆ青春歌
(したもえやらじおにきこゆせいしゅんか)
下萌や歌声軽き下校道
(したもえやうたごえかろきげこうみち)
春の野の小さき波乱や鳩翔てり
(はるのののちさきはらんやはとたてり)
ピッコロのヴィヴァルディめく春野かな
(ぴっころのびばるでぃめくはるのかな)
施設なる母を思ふ日多喜二の忌
(しせつなるははをおもうひたきじのき)
正論を言ひて孤独や多喜二の忌
(せいろんをいいてこどくやたきじのき)
愛の日や本命チョコは蝶結び
(あいのひやほんめいちょこはちょうむすび)
純愛は遠き日バレンタインの日
(じゅんあいはとおきひばれんたいんのひ)
七十路のときめきバレンタインの日
(ななそじのときめきばれんたいんのひ)
馬耳東風釈迦に説法田螺鳴く
(ばじとうふうしゃかにせっぽうたにしなく)
割れ鍋に綴じる蓋あり田螺鳴く
(われなべにとじるふたありたにしなく)
義母はもう阿弥陀に抱かれ遍路杖
(はははもうあみだにだかれへんろづえ)
昨年他界した義母を想っての一句です。
お逮夜に集ふ老女や遍路杖
(おたいやにつどうろうじょやへんろづえ)
運針の先読む妙や針供養
(うんしんのさきよむみょうやはりくよう)
針供養夫婦揃ひの老い目にて
(はりくようめおとそろいのおいめにて)
綻びを縫へる無骨や針供養
(ほころびをぬえるぶこつやはりくよう)