白靴を履きてちよい悪気取りかな
(しろぐつをはきてちょいわるきどりかな)
白靴やマドロス歌の白パイプ
(しろぐつやまどろすうたのしろぱいぷ)
白靴を履きてちよい悪気取りかな
(しろぐつをはきてちょいわるきどりかな)
白靴やマドロス歌の白パイプ
(しろぐつやまどろすうたのしろぱいぷ)
雷の如くドラムとティンパニー
(いかづちのごとくどらむとてぃんぱにー)
いかづちに矛を収める喧嘩かな
(いかづちにほこをおさめるけんかかな)
人住まぬ家の広さやかたつむり
(ひとすまぬいえのひろさやかたつむり)
ででむしや知らぬ存ぜぬてふ政府
(ででむしやしらぬぞんぜぬてふせいふ)
下校児の背押すカリヨン提灯花
(げこうじのせおすかりよんちょうちんか)
宵越しの銭は持ちたや提灯花
(よいごしのぜにはもちたやちょうちんか)
そうだねと空の相づちソーダ水
(そうだねとからのあいづちそーだすい)
好きですと言ひ出せぬままソーダ水
(すきですといいだせぬままそーだすい)
時の日や老いのひと日の速きこと
(ときのひやおいのひとひのはやきこと)
年々、時の流れが加速しているようで。
バリトンが自慢の響きひき蛙
(ばりとんがじまんのひびきひきがえる)
私の声域、声質はバリトンです。
物の怪の棲むてふ池や蝦蟇の声
(ものけのすむてふいけやがまのこえ)
母子程の年の差姉妹燕の子
(ぼしほどのとしのさしまいつばめのこ)
私の母と妹(叔母さん)です。
私より一つ年下の叔母さん、5歳下の叔父さんがいます。
鳴く子ほど逞しきなれ燕の子
(なくこほどたくましきなれつばめのこ)
皿数ふお菊の声や五月闇
(さらかぞふおきくのこえやさつきやみ)
結葉をくぐり文豪記念館
(むすびばをくぐりぶんごうきねんかん)
文豪を偲ぶ文机夏障子
(ぶんごうをしのぶふづくえなつしょうじ)
文豪の学びし町や合歓の風
(ぶんごうのまなびしまちやねむのかぜ)