言問ふてみたや里路のまむし草
(こととうてみたやさとじのまむしぐさ)
故郷の消息如何にまむし草
(ふるさとのしょうそくいかにまむしぐさ)
言問ふてみたや里路のまむし草
(こととうてみたやさとじのまむしぐさ)
故郷の消息如何にまむし草
(ふるさとのしょうそくいかにまむしぐさ)
過ぎ来れば辛苦も甘くかいやぐら
(すぎくればしんくもあまくかいやぐら)
追へば逃げまた来るをみなかいやぐら
(おえばにげまたくるおみなかいやぐら)
今泣いた子がもう笑ひ木の芽晴
(いまないたこがもうわらいこのめばれ)
人柄ののぞく笑顔や木の芽晴
(ひとがらののぞくえがおやこのめばれ)
春眠の夢に彷徨う昭和かな
(しゅんみんのゆめにさまようしょうわかな)
早逝の友を偲びて春灯
(そうせいのともをしのびてはるともし)
春灯や記憶の中のもらひ風呂
(しゅんとうやきおくのなかのもらいぶろ)
おかつぱをおさげに十三詣かな
(おかっぱをおさげにじゅうさんまいりかな)
少年の照れある笑みや知恵貰ひ
(しょうねんのてれあるえみやちえもらい)
書きては捨つる懸想の文や落椿
(かきてはすつるけそうのふみやおちつばき)
懸想文、若いときは、よく書いたものです。
癒えてまた恋と言ふ名の麻疹かな
(いえてまたこいというなのましんかな)