秋蝶の一隅照らす比叡かな
叡山の初秋彩る名画かな
無為自然説きし老荘ねこじやらし
一幅の名画となりて秋の園
秋の蝶浪花ですもの豹の柄
秋懐や人生未だ迷い道
秋野道何処に至るや我が行方
毬栗やちくりと痛き青き日々
「平田」てふ我が住む街や稲の花
夏の夜の眠れぬままに明けぬるを
告げて耳裂くクマゼミしぐれ
母おはす西方浄土かくてかや
言の葉詰まる河野の入日
今更に偲ばるる母虫すだく
太郎冠者次郎冠者とや虫時雨
虫を聴く「月見座頭」の悲哀かな
地蔵盆や仏縁地縁時代の縁
時代(とき)
おばちゃんのよもやま話地蔵盆
辻々を巡ればそこに地蔵盆
言はば言へ我道行かむ藪からし
藪枯らし古戰場てふ河川敷
過疎高齢の郷捨て難く藪枯らし
なるやうになるしかならぬ猫じゃらし
ゑのころや風に揺れをる青二才
写真短歌