春装や立居にほのと香の動き
行き会ひの風におしゃれを春の服
染まる色いまだ決まらず初蛙
目借時不要不急の身であれば
雪柳澱みに橋と架かりけり
清純てふ響き久しく雪柳
横丁の人情話春ともし
春疾風過ぎりゃ順風夫婦道
彼岸西風廓の門をくぐりけり
廓にて生きて散りたる春思かな
春袷江戸のめ組の法被かな
道草の許される齢蓮華草
初恋と知らずげんげの花冠
日野山を遥かす如くつくしんぼ
春分や延命水に人の列
春分や決断すべきこと一つ
落椿侍たちの夢の終(つい)
空の色こぼれ地上のイヌフグリ
追憶の色は青かなイヌフグリ
筆の花達筆我に遺伝せず
せせらぎに愛のデュオかなつくづくし
駄作句にもスランプのあり春の愁
不器用な男ですけどホワイトデー
春色や別れの色と出会ひ色
旅立ちの衣まとへば春の色