鎮魂の日のまた巡り来てクロツカス
東北忌歌声繋ぐ“花は咲く”
虚と実と表裏なるらし盆梅花
老梅の連れ舞ふ影も老いにけり
ものの芽や野生目覚むる飼はれ鳥
鳥交るこれより先は十八禁
春興やちよいと若ぶる黒毛染め
春光や患ふ目には余るほど
まだできる幸せあるや春の光
ものの芽や人恋初めし十二歳
激動を見来て静もる古雛かな
激動を見来て古雛の乱れ髪
雛の間に夜な夜な座敷わらしかな
はっきりと意見を言ふ子雛飾り
店街の華やぐあたり雛飾り
いにしへの子らの唄聞く古雛かな
美源氏のかくてありしか男雛
春思とや青春の日の忘れ物
遠き日の子らの文読む春思かな
母の愛の永遠とぞ思ふ春日かな
春眠や亀が追いこす事もあり
たどたどしき子らの手遊び春の興