お題に従って100の詩を作るシリーズのパート1はエロだったんで、今回はグロにしました。Grotesqueっていってもネットにころがっているひどい文章や画像に比べればかわいいもので、かえって私の上品さが表れてしまっていますね。って自分で言っちゃダメですけどw。
それもそのはず最初はホラーで作ってたんですが、なんかズレてる気がして、じゃあシュールかな? いや、それとも違うだろ。……うーん、じゃあいちばん広くグロで。そんな経過です。これまでもこういう傾向のは時々書いてたんですが、なんか調子出なかったですね。つまり早々に飽きちゃったってことです。
エロ、グロと来れば次はナンセンスっていうのがお約束ですけど、それっていちばんむずかしいんですよね。なんせ頭で言葉の効果を計算してこしらえちゃう方だから。って、また自慢くさいことを言ってるわけで、その辺が調子がよくない証拠です。
011 オークション
仕事をサボってネカフェでヤフオクを見てたら
あたしの持ってるのとそっくりの靴があった
「六本木勤務のOLが3か月履いたレアモノw」
リロードするたびに値段が上がっていく
嫌な予感がして他のページを見ると
上着から下着からアクセからメイクから
「つまり、あとは中身だけね」
それもどこかでなかなかの値段になってるんだろう
そんな感じの咳払いが聞こえた
012 贈りもの
「宅配便です」
夜の10時に必ず届く贈りもの
いつも帽子を目深にかぶったお兄さん
目を合わせることができない
彼は段ボール箱の中身が空なのを
いつから気づいているんだろう
あたしは彼が贈ってるんだと思ってる
彼はあたしが自分で贈ってると思ってるだろう
いつもより闇の濃い今夜は箱が不安に揺れる
013 お願い神様
あたしだけに永遠の生命をください
毎年春になると花を咲かせるあの木のように
どんなに年老いても若い花粉を受精して
新たな娘たちを産み出せるように
誰よりも長く、少しでも長く生きさせてください
あたしを蔑み、捨てた男たちと
あたしを憐れみ、あざ笑った友だちが
鉛のように死に絶えるまで
増殖し続ける癌細胞のようなあたしだけが残る
014 朧月
むくんだような顔を夜空に向けると
血糊のついたような月が
腐敗したあたしを見る
いくつも橋をくぐって聖橋を見上げる
中央特快の窓が流れてとてもきれい
ししゃものような目をしたサラリーマンが
つり革にぶら下げられている
015 おみくじ
旅行 履物を北に向けて出かけよ
縁談 鶴亀の松が枝より滑り落ちるがごとし
病い くすしのさじを拾えばわろし
待ち人 赤子の泣きやまぬ夜に現る
失せ物 親の墓をいま少し掘りてみよ
争い事 骨を食らい肉を捨てればよろし
願い事 竹の花が咲けば叶う
016 Only One
二目と見れないあたしが
身動きできないあなたに寄り添う
血の気を失って、声も出なくて
一段と魅力的
ずっと二人きりでいたいから
思いきってやってみたの
死体が三つでも四つでもあまり変わらない
朝まではまだまだ時間がある
もう一人じゃないもんね
017 輝く
暗い部屋の中で
君は不思議な光を放つ
夜明け前の山の端のような肩
夜光虫のような太ももの奥
忍び寄るチータのような瞳
脱皮した蛇のような唇
体全体と凝った感情は闇に溶けて
部屋の隅々にまで広がっている
018 確率
花びらをちぎって
会える、会えない
それぞれ二つの瓶に閉じ込める
二人の小さなあたしが時を待つ
会えないときは
会えると言った花びらを呪って
海に瓶を葬りに行く
風に少し血のにおいが混じる
019 風に乗って
あたしの悪い噂が広まっていく
まるで病原菌のように
家から家へ、街から街へ
さわやかな風は悪意を忍ばせている
あたしは澄ました顔の
トランプのクィーンのように
薔薇の花を片手に格言をつぶやく
愚か者たちは噂から噂へ、悪徳から悪徳へ
蜜蜂のように群れ集う
020 叶わない
さあ、世迷言はもう終わり
あたしは最初からいなかった
あなただって同じじゃないの?
ここで出会って、愛をささやき
夢を語り合い、将来を約束する
みんな水面に書いた文字
それもプログラムのいたずら
それもそのはず最初はホラーで作ってたんですが、なんかズレてる気がして、じゃあシュールかな? いや、それとも違うだろ。……うーん、じゃあいちばん広くグロで。そんな経過です。これまでもこういう傾向のは時々書いてたんですが、なんか調子出なかったですね。つまり早々に飽きちゃったってことです。
エロ、グロと来れば次はナンセンスっていうのがお約束ですけど、それっていちばんむずかしいんですよね。なんせ頭で言葉の効果を計算してこしらえちゃう方だから。って、また自慢くさいことを言ってるわけで、その辺が調子がよくない証拠です。
011 オークション
仕事をサボってネカフェでヤフオクを見てたら
あたしの持ってるのとそっくりの靴があった
「六本木勤務のOLが3か月履いたレアモノw」
リロードするたびに値段が上がっていく
嫌な予感がして他のページを見ると
上着から下着からアクセからメイクから
「つまり、あとは中身だけね」
それもどこかでなかなかの値段になってるんだろう
そんな感じの咳払いが聞こえた
012 贈りもの
「宅配便です」
夜の10時に必ず届く贈りもの
いつも帽子を目深にかぶったお兄さん
目を合わせることができない
彼は段ボール箱の中身が空なのを
いつから気づいているんだろう
あたしは彼が贈ってるんだと思ってる
彼はあたしが自分で贈ってると思ってるだろう
いつもより闇の濃い今夜は箱が不安に揺れる
013 お願い神様
あたしだけに永遠の生命をください
毎年春になると花を咲かせるあの木のように
どんなに年老いても若い花粉を受精して
新たな娘たちを産み出せるように
誰よりも長く、少しでも長く生きさせてください
あたしを蔑み、捨てた男たちと
あたしを憐れみ、あざ笑った友だちが
鉛のように死に絶えるまで
増殖し続ける癌細胞のようなあたしだけが残る
014 朧月
むくんだような顔を夜空に向けると
血糊のついたような月が
腐敗したあたしを見る
いくつも橋をくぐって聖橋を見上げる
中央特快の窓が流れてとてもきれい
ししゃものような目をしたサラリーマンが
つり革にぶら下げられている
015 おみくじ
旅行 履物を北に向けて出かけよ
縁談 鶴亀の松が枝より滑り落ちるがごとし
病い くすしのさじを拾えばわろし
待ち人 赤子の泣きやまぬ夜に現る
失せ物 親の墓をいま少し掘りてみよ
争い事 骨を食らい肉を捨てればよろし
願い事 竹の花が咲けば叶う
016 Only One
二目と見れないあたしが
身動きできないあなたに寄り添う
血の気を失って、声も出なくて
一段と魅力的
ずっと二人きりでいたいから
思いきってやってみたの
死体が三つでも四つでもあまり変わらない
朝まではまだまだ時間がある
もう一人じゃないもんね
017 輝く
暗い部屋の中で
君は不思議な光を放つ
夜明け前の山の端のような肩
夜光虫のような太ももの奥
忍び寄るチータのような瞳
脱皮した蛇のような唇
体全体と凝った感情は闇に溶けて
部屋の隅々にまで広がっている
018 確率
花びらをちぎって
会える、会えない
それぞれ二つの瓶に閉じ込める
二人の小さなあたしが時を待つ
会えないときは
会えると言った花びらを呪って
海に瓶を葬りに行く
風に少し血のにおいが混じる
019 風に乗って
あたしの悪い噂が広まっていく
まるで病原菌のように
家から家へ、街から街へ
さわやかな風は悪意を忍ばせている
あたしは澄ました顔の
トランプのクィーンのように
薔薇の花を片手に格言をつぶやく
愚か者たちは噂から噂へ、悪徳から悪徳へ
蜜蜂のように群れ集う
020 叶わない
さあ、世迷言はもう終わり
あたしは最初からいなかった
あなただって同じじゃないの?
ここで出会って、愛をささやき
夢を語り合い、将来を約束する
みんな水面に書いた文字
それもプログラムのいたずら
*************
なんかいろんなものがあるサイトです。
金田一少年に出てきそうな、豪華な舞台設定の中の血みどろの残酷というか、ドラキュラ伯爵の悲しみを伴った冷酷ドラマというか、確かに全編シュール&ホラー&ブラックのちょっとした世界を醸し出していますね。
これがもうちょっと長いとショートショートになるのかなあ。
となっていて、形が歪んでるとか異様とかだけなんですね。だからかえって意味の範囲は広いわけです。
実際の作品としても「ノートルダムのせむし男」や「不思議の国のアリス」が挙げられていて、ふつうに「グロテスク」って言葉から想像するものより穏やかかもしれません。
ショートショートが作れるようなストーリーテラーならもっと長いものにしますよ
Gothicも出てきたところで、確かBaroqueも歪んだ真珠とかだったよね、と思って辞書みたら、グロ趣味なんて意味もありました。
この間、都知事選に出た某建築家wは奥さんに「あなたはバロックのような女性」だと言ってプロポーズしたそうですが、私なら「失礼ね!」とほっぺたを叩いたでしょうね。……芸術での様式や派閥を表わす言葉の多くは悪口です