ロシア5人組って、高校の音楽の時間に無理やり暗記させられたんですが、今でもそうなんでしょうか。記憶力も悪いし、当時はクラシック音楽なんてなーんにも関心がなかったので、キュイ、バラキエフ、ボロディン、ムソルグスキー、リムスキー・コルサコフって言われても、鑑賞のページに「はげ山の一夜」なんていう変なタイトルの曲が載っているムソルグスキー以外は全然覚えられませんでした。
今でもバラキエフは聴いたことがないし、キュイは先日「25の前奏曲」というのを初めて聴きました。……感想は、まあわざわざ聴くほどのものではないなって感じでした。残りの3人は今さら言うまでもなく、ロシア音楽を代表する作曲家ですが、それぞれの個性なり音楽の質は違いますね。ムソルグスキーはごつごつした、不器用なところが魅力で、リムスキー・コルサコフやラヴェルを始めとしてどうにかしてあげたくなる音楽。リムスキー・コルサコフはオリジナリティや深みという点ではイマイチだけど、器用にオーケストレーションをする人。ボロディンはいちばん西欧風の、おしゃれというか、卓越したメロディ・メーカー。私の中ではそんな感じです。
それで、有名な「韃靼人の踊り」を含む「イーゴリ公」がDVDで図書館にあったので聴くというか、観てみました。ところが、これって1969年のソ連の映画なので、音はちょっとどうしようもないですね。ベートーヴェンならともかく、ボロディンで音が悪くては聴けないです。ほかの悪い点も先に言っちゃうと、話がおもしろくない。ブックレットを読んでわかったんですが、ボロディンが断片的に残した草稿をリムスキー・コルサコフとその弟子のグラズノフが何とか上演できるようにまとめ上げたものだそうですが、それだけじゃなくて、ストーリーが平板。
ロシア民族(ルス)のイーゴリ公が長年の宿敵のアジア系のポーロヴェッツ人(これを日本では韃靼人って言ってるんですね)のコンチャーク汗と戦ったものの敗れ、捕虜になったにもかかわらず、厚遇してもらい、イーゴリ公は汗の説得(ほとんどプロポーズみたいw)や歓待(ここで踊りが入ります)にもかかわらず、脱走して自国に帰り、汗を討つべく出陣するところで、終わり。これに一緒に捕まった息子のウラディミールと汗の娘コンチャコーヴナとの恋物語がからむだけ。これじゃあ、ロシア物でなくてもあんまり上演されないのは無理もないなぁ。オペラの筋ってふつう紹介するのが面倒になるくらいのもので、それが見てる分には紆余曲折って感じになってちょうどいいんですが、これはイーゴリ公の内面ってほとんど描かれていないし、子ども同士の愛情も、何より両民族の決戦も未消化のまま終わってしまうので、カタルシスがなくて困っちゃいます。
良い点は、「ベンハー」みたいな昔のハリウッド映画の向こうを張って、ソ連の威信をかけたスペクタクルです。戦闘シーンや草原いっぱいに広がる軍勢はCGを使ってないのになぁwって感心しますし、またキーロフ歌劇場バレエによる「ポーロヴェッツ人の踊り」は音楽とすばらしくよく合っていて、これだけでも一見の価値があります。やっぱりバレエはロシアって感じですね。
……それにしても美男、美女揃いの演技(歌手は別で、口パクなんです)を見てもかつてのハリウッドそっくりで、冷戦時代を懐かしんでしまったりしますw。
バレエはロシア、ですか。見たいなあ。。
でも、DVDのポーロヴェッツ人はモンゴロイドっぽいし、なんとか汗ってチンギス・ハンに由来するような気もするんですよねw。
ロシア人の目は、釣り上がっていると、西欧諸国のコーカソイドの人々は、こう評しています。
日本人を含む、モンゴロイドに対する白系ロシア人の憎しみの感情は、このあたりから、来ているのかも?、知れません。