あの日のピアノに。。。。。。
封韻されていた
娘のピアノが
今・孫の手で。。。。。
鍵盤の上を
クルクルと栬の葉調となり
行ったり来たりしながら
季歴となって行く
娘に抱く期待感は
丁度水に薄めた12色のパレット
淡いパステルカラーのセレナーデー
居間に位置付けた
このピアノに夫と私は
無限大の可能性を
街迄バスに乗り
求めた楽典の表紙は
バッハの大きな手
秋の出口のアラベスク
黒い真珠が
この日の為に仕立てた
ビロードの赤いスカートの上を
小さな五本の指が
コロコロと転がって行く
秋の日のビオロンの鐘
温めて置いた空間の別窓
振り向くと
ピアノの発表会の孫のバラードが
辺りの電線の上の黒い鴉の音符
一羽はばたき
二羽飛び立ち
あの日の思いが風に運ばれ
忘れてしまっていた淡色のセレナーデー
あの日の初々しさを
゛ギュ゛っと握り返して来る