月のひびき (徳正寺だより)

“いま”出遇えた一瞬をパチリ
それは仏さまとの日暮らし…

恩愛之情

2010年06月01日 19時03分03秒 | 仏々相念(住職日記)
仏さまの首がもげてしもうて・・・

陽気なご門徒さんからの電話でした。
新しい仏さまをお迎えしたので御入仏のご縁を・・・

こちらでのご縁を終え急ぎ車に乗りお参りさせていただいた。
「Yさん、すいません! 遅れました」
「なんちゃ遅れとらんよ、わぁ、よう参っていただきました!」
深々と頭を下げ迎え入れて下さる。
いつもと変わらぬ元気さに安心してお仏間に座らせていただきました。

「Yさん、元気やった?」
「それがなあ、悪うてもうちょっとでお参りするところやったんよ! 気が付いたら子ども・孫・曾孫まで揃って私を呼んどったんよ!」
「え~!そうなん。大変やったね。そんなこと全然感じんかった・・・」

「それでどうして仏さまの首が・・・」
Yさんが退院して家で療養するのに子どもさんがお内仏さまを移動されたのだとか・・・
その時になぁ・・・
見事に折れていました。
木造ではなく最近珍しいカナ仏さま・・・古いものなのでしょう・・・
接着剤で補修されていたものの・・・

「子どもらも気にしとったみたい・・・
 でもなぁ、仏さまも大事。大事だけど、母さんはもっと大事!」
照れくさそうに、でも嬉しそうにおっしゃっていました。
「でもこれじゃあんまり気の毒なので新たにお迎えしたのよ」

二人でほのぼのと優しいひと時を過ごさせていただきました。
「お茶と情は濃いほうがええわい」
美味しいお茶とお菓子をいただきながら情の深さと離れ難さをお味わいさせていただいたことです。