月のひびき (徳正寺だより)

“いま”出遇えた一瞬をパチリ
それは仏さまとの日暮らし…

母之微笑

2011年04月23日 19時56分34秒 | 仏々相念(住職日記)

その言葉・・・

 

来年で17年忌を迎えるお母さんのご祥月のご縁でした。

遠方から毎年この時期にお参り下さいます。

「お母さんがお亡くなりになられた時って何才だったのですか?」

「25歳です。今年でもう40になります。」

爽やかな体育会系の笑顔です。

 

あの頃のことってあまり覚えていないんです。

どうやって乗り越えて来たんだろう・・・

 

あの日、母から連絡があり、数日後のご法事のためにお婆ちゃんが大変そうだから先に行くねって・・・

ちょっと待ってよ!あと2,3時間で仕事が終わるから・・・ホントにもう・・・

ケンカ別れの状態で母は先に里へと出発しました。

次に掛かってきた電話では・・・もう、交通事故で亡くなっているのです。

 

あの時から「死」ということに敏感に・・・

今の子どもって簡単に「死」を口にするじゃないですか・・・

そんな会話の最中に「死んだらいい」ってことを小学生の息子さんが言うのです。

怒りました、「お母さんは、その言葉が一番嫌いって言ってるでしょ!」

そんな別れをして、本当に死を通して別れなければならなくなったしんどさを痛いほど知っておられるのです。

「もう、あんまり腹が立つからほっぺを抓っちゃろうと思うのですが、ハツハツのほっぺで抓ることができないんです!」

って優しく爽やかに微笑まれます。

可愛くて仕方がないんですね・・・

死の別れを辛い程知っているから、愛おしくてたまらないのでしょうね。

とってもいいお母さんになられました。

 

ごく稀に私も坊守とケンカしたりします。

いやいや、ケンカではなく私が一人でイライラして心配かけてしまっているだけなのですが、

イライラしている時は、ほっておいてもらったらいいのですが、優しい坊守はほっとくことができないのでしょうね。

そんな時の私でも出掛けるときにはいつもと変わらずちゃんと見送ってくださいます。

「気を付けていってらっしゃい!」

なにも言わない私に「これが最後かもしれんよ・・・」って坊守。

心では、本当にそうだよなって思いながらもムスっと出ていってしまう私。

 

坊守も知っているのです、命のはかなさを・・・

あっと言う間に別れなければならない一瞬がくることを・・・

 

できることであれば、いがみ合うより手を握り合いながら大切に生き抜きたいですね!