月のひびき (徳正寺だより)

“いま”出遇えた一瞬をパチリ
それは仏さまとの日暮らし…

K寺様のご法縁~母を偲んで~のはなし

2011年07月16日 21時43分19秒 | ふうわりふわり(坊守日記)
7月14日
島根県のK寺様のご法縁にお参りさせていただきました。

と言いましても、実は私のふるさと…実家のお寺であります。

この日は、母の祥月命日です。
21年目になりますが、毎年仏教婦人会のご法座を開いてくださるのです。
ありがたいことです。

懐かしい方々とご一緒に、母を偲びながら
あの急な別れから今日この日まで、大悲の御手に抱かれて、ようこそ生かさせていただきました…と味わわせていただきました。

先日『ねじり草のはなし』を書きましたが、
母が亡くなってから…あのねじり草の螺旋階段を一段、一段とおかげさまで昇らせていただいています。
今日は7673段目です。
でも、それもねじり草があの夏空につつまれているが如くに、阿弥陀さまの御手に抱かれての一段だったのです。
悲喜交々の日々…
わたしの生のよりどころとなってくださり
わたしのいのちの帰するところとなってくださる阿弥陀さまのおはたらきに
この度のご縁で出あわせていただきました。

K寺様、仏教婦人会の皆様、ありがとうございました。




里のお寺の参道に、今年もねじり草が咲いていました。
やはり、母を思います。

蝉之鳴声

2011年07月16日 19時06分34秒 | 仏々相念(住職日記)

カナカナ、カナカナ・・・

 

夕暮れになるとヒグラシが鳴きます。

西日が入るこの部屋にも少し涼しさが帰ってくるようです。

 

この鳴き声を聞くと「ちりとてちん」(連ドラ)を思い出します。

落語の師匠さん「草若」はこの鳴き声を聞きながら自らの死を見つめます。

儚い蝉の命を感じつつ、自らの命ももう後がない・・・

いいドラマでした、あんなに毎回泣いたり笑ったりしたドラマって他にありません。

 

今日いただいたご縁は、息子さんの1年忌でした。

息子さんといっても私より2,3つ年下の方です。

家族の方だけでのご縁となりましたが、未だに切ないひと時が流れることです。

「行ってきます!」その日も何ら変わることなく仕事に出掛けられた・・・

突然のご往生でした・・・

どんなにか辛かったことでしょう。

 

彼にも私の娘と同じ年の青年がいます。

懐かしい父のことを思ってくださったでしょうか・・・

あの日、目をつぶられたお顔に触れながら「お父さん・・・」って言ってたことを・・・

 

どのような形で自らの死が訪れるか分かりません。

そんな人生を抱きしめてくださる仏さま・・・

そのおはたらきに出遇い、そのこと喜ばずして何を喜ぶのか・・・

 

でも、この人生そのことを喜ばず、煩悩燃やすことに喜びを感じています。

 

悲しきカナ・・・