草むしりしながら

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ことしの花火はどこにいこうかな。

2023-11-01 09:28:23 | 草むしりの幼年時代

 ことしの花火はどこにいこうかな。

 「神田古本まつり」では山下清原画展図録「ことしの花火はどこにいこうかな。」を買いました。

 本をリュックに入れて背負うと、すごく重く感じました。もちろん本自体も重かったのですが、何よりもその存在感が大きかったからではないでしょうか。

 山下清は大正11年(1922年)3月10日、東京市浅草区田中町で生まれ。昭和46年7月10日「今年の花火はどこへ行こうかな!!」の言葉を残し突然の脳出血で倒れ、2日後の12日二度と帰らぬ永遠の旅にでました。享年49歳。

 山下清と言えばその作品とともに、蘆屋雁之助主演の「裸の大将放浪記」というドラマを思い浮かばれる方も多いのでは。二代目裸の大将窪地武雅版もありましたね。また古いところでは昭和33年10月に封切られた小林桂樹主演の東宝映画もあります。

 子供の頃この小林桂樹版の映画「裸の大将」を見た覚えがあります。当時は「映画教室」と言って、小学校の講堂で映画の鑑賞会がありました。たぶんその時に見たのだと思います。

 詳しい内容は覚えてはいなのですが、でかいパンツにランニング姿の山下清がリュックを背負って旅をする話だったと思います。映画の最後の方で花火大会がありました。喜んで見ている清の次に、貼り絵をしている清が登場しました。それから花火の貼り絵が大写しされて終わりでした。

 その絵のなんと素晴らしかったことか。それが紙を手でちぎって貼ったものだったと知り、もっと驚きました。できれば実物を見てみたいと思いました。当時私はまだ、小学校3年か4年だったと思います。

 その子供の頃の思いが叶ったのは、ほんの数年前のことです。山下清原画展が当地で開催されたのです。さっそく夫と二人で出かけました。

 今私の手元にある「ことしの花火はどこにいこうかな。」の表紙にもなっている「湖に映った花火」ではないでしょうか?小学校の時に見た映画のラストで見た花火の絵は……。

 この原画図録では彼の絵を「純真・素朴」と表現していますが、黒い夜空にパッと咲いた花火は素朴ではありますが華やかさもあります。素朴な華やかさ?花や虫が好きだったとか。蜂や蜘蛛や蟻に愛情を感じました。友達の蜂クン蜘蛛クンみたいな……。

 でも子供の頃にはいじめられたのでしょうね。清の生い立ちを考えると心が痛みました。

 幼い頃から孤独な清にとって八幡学園での農園作業で出会った、花や虫はかけがえのない友だちであり、心を癒してくれる存在であったであろう。と、この本には書かれておりました。

 さてこの原画展では、もう一つ忘れられない思い出があります。

 できればずっと見ていたかったのですが、夫と二人で来たのが間違いでした。夫は出口でかなり待っていたのでしょう。ひと通り見終わったので、引き返してもう一度見たといという私の願いを聞き入れて貰えませんでした。「腹が減った」からと無理やり外に引っ張り出されました。

 その時何を食べたか覚えていませんが、きっとおいしかったでしょう。私もお腹が空いていたことでしょうから……。

でももっと見たかったです。やはりおひとりさまで来るべきでした。



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