昆布だし
かつお節のうま味は「イノシン酸」、昆布のうま味は「グルタミン酸」である。この二つを合わせると、うま味が数倍に高まる。これを「味の相乗効果」という。
「味の相乗効果」という言葉を習ったのは、中学か高校時の家庭科の時間だった。その時実際に昆布とかつお節でだしを取って作った「庄内麩のすまし汁」の何と美味しかったことか。「なるほど、これが味の相乗効果か」などと感心したことを覚えている。
その時に習っただしの取り方を、最近まで律義に守ってきたのだが、2年ほど前に昆布だしだけでも、十分にいいだしが取れることに気づいた。
だしの取り方はいたって簡単で、麦茶の容器に水と昆布を入れて、一晩冷蔵庫の中に入れて置くだけでいい。日持ちもよく、市販の濃縮タイプの麺つゆなど、このだしで割るとワンランク上の味になる。
また和風だけではなく、カレーやシチューなどの煮込み料理にもよく合う。すぐに使えるように、冷蔵庫の中に常備しておくことが、このだしの使い方の一番のポイントである。
さて、話はかわるが、クリスマス前の土曜日のことになる。ロールキャベツ、ぶり大根、生姜ご飯等々。例のだしで作った差し入れを持って、長女一家を訪ねた。大して珍しくもないのだが、休みに日に少しでも楽ができるようにとの親心からだ。
車で行けば二十分くらいの距離なのだが、長い間あってはいない。しかも家には入らず外で十分かそこら、立ち話をしただけだ。このご時世なのでそれも仕方の無い事だ。
「祖母ちゃんだよ。祖父ちゃんだよ」
一歳半になる孫にマスク越しに話しかるのだが、誰この人達って顔をして見ていた。それでよしとしなければ……。
それにしても今年は私だけではなく、世界中の人にとって忘れなれない年になった。その上私の方は、孫に忘れられた年にもなった……。
来年は孫に会えますように。
皆さま良いお年を。 草むしり