草むしりしながら

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草むしりの「幼年時代」その11

2019-03-04 10:48:06 | 草むしりの幼年時代
草むしりの「幼年時代」その11

糸水仙
  
 子どもの頃購読していた学習雑誌の付録が、チューリップともう一つ何か分からない球根だったことがあった。その頃は畑には家族が食べる野菜を植え、田んぼでは米を作っていた。だから庭は収穫した米や麦を干すための場所で、花など植える場所でもなかった。

 田舎ではまだチューリップの花が珍しい時代だった。母に頼んで畑の隅に植えさせてもらうと、翌年の春に赤いチューリップの花と、黄色い水仙の花が咲いた。

 水仙は葉が編み棒のように細くて、花は私の知っている花の中で一番いい香りがした。その水仙が、糸水仙という名前の花だと知ったのはかなり後のことだった。

 チューリップはその年限りだったが、糸水仙はそれから次々に増えてった。球根がたった一つだったのにと、母が喜んで庭のあちらこちらに植えかえた。そしてどんどん増えていった。

 今でも糸水仙は春になると黄色い可憐な花を咲かせ、どの花よりも一番いい香りをさせている。

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次回3月13日より、有吉佐和子「悪女について」のあらすじを連載致します。ご期待下さい。
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