べらぼう第11回「富本 仁義の馬面」
「ただなら喜んで貰うが自分で金を出すとなるとね」
鶴屋が言った通りに、蔦重渾身の「青楼美人合わせ鏡」は一向に売れる気配はなく借金だけが残ってしまった。蔦重、腐っていましたね。でも一部の愛好家には絶大の支持を受けてましたね。自信作が受けないなんて。ちょっと子供の頃見た「太陽の王子 ホルスの大冒険」というアニメ映画を思い出しました。
「太陽の王子 ホルスの大冒険」は1968年7月に「東映まんがまつり」の一本として上映されました。制作のトップに立ったのは高畑勲氏。彼にとっては初めての監督作品で、その後の中編、長編アニメに進出する足がかりになった作品です。でも興行的には成功しなかったようですね。
この辺の所は広瀬すず主演のNHKの朝ドラ「なつぞら」でもやっておりました。映画を見に来た子供たちは飽きてしまって、映画館の中を走り回っているシーンがありました。内容が小さな子供向けでは無かったようですね。私もこの年の「漫画まつり」につれて行って貰ったのでしょうね。「太陽の王子 ホルスの大冒険」の事はよく覚えています。
封切りの年から逆算すると「漫画まつり」に行くような年齢ではなかったのでしょう。小さな子供たちがウロチョロする中、一人だけ感動して画面に食らいついていました。主役の女の子の声が市原悦子さんで、ちょっと暗い感じがしました。でも見ているうちにどんどんと引き込まれて、最後は大感激しました。
「太陽の王子 ホルスの大冒険」私的には今でもナンバーワンのアニメ作品です。どうしてこんないい作品が話題にならなかったのか、不思議に思っていましたが「なつぞら」を見てその謎が解けました。
さてその謎が解ける二十数年前のことです。まだレンタルビデオ屋さんの時代でした。ふとアニメのコーナーを覗くと有るではないですか「太陽の王子 ホルスの大冒険」が、早速喜んで借りてきました。ずっと子ども達に見せてあげたいと思っていたのです。
ところがテレビに写し出された画面を見て、子供たちからは大ブーイングがおこりました。とりわけこだわりの強い長男は「こんなの漫画じゃない」怒りまくっていました。確かに「ドラゴンボール」や「スラムダンク」に比べれば、絵なんかちっとも動きませんからね。無理もありません。
ところが長女の方は面白さが分かったようです。「面白から見てご覧よ」と長男を説得しています。長男の方も嫌なら見なきゃいいのに、怒りながらも見ていました。見ているうちに引き込まれていったのでしょう。最後はテレビの前に正座して見ていました。
見終わったあと「良かった!」と言って立ち上がった長男。皆様の想像の通りでした。今でも時々その話をします。それが高畑勲の作品だと知ったのは「なつぞら」を見てからのことです。
さて蔦重の「青楼美人合わせ鏡」結局売れずに、吉原のご贔屓さんに配られたみたいですね。ご贔屓さん達大喜びだったでしょうね。次回はどんな手で視聴者を楽しませてくれるのでしょうか。日曜日が待ち遠しいですね。