ショップ ダンケ

ドイツ雑貨「ショップ ダンケ」のオフィシャル・ブログ

寄り道

2006-07-06 01:32:13 | 小さな旅・ニッポン編

何年か前、信州へ旅する途中、時刻表を読み間違え、乗り換えしそこない、貴重な旅の半日を、ただ駅の周辺で、ウロウロ過ごすという失敗をしたことがある。

「オバカなあたし!」と悔やんでみたものの、諦めて、4時間の待ち時間を、その見知らぬ小さな町で過ごすことにした。今となっては、その名前も思い出せない。

本来なら、立ち寄るはずのなかった田舎町、もう二度と来ることもないだろう死んだような町、そこで私は、思いがけず、美味しいお蕎麦を食べることができ、初めて「蕎麦がき」というものを口にした。

低い屋根のついたさびれた駅前商店街を歩くと、床屋があって、その入り口に、ステンドグラスがはまっていた。都会では、もう見ることができないレトロな鳥の模様が連なっていた

その先の味噌屋には、えんじ色の暖簾がかかっていた。濃いえんじ色で、風に揺れる布の動きも、穏やかだった。

その前に犬がいた。忠犬ハチ公のようなポーズで味噌屋の前にいた。顔をのぞくと、はにかんでうつむいた。田舎の犬らしく内気な感じだった。こういう犬って好き。背中をポンとたたくと、犬からぼわっと埃が立った。

それから、坂道を行くと、桜の木が両側に植わって、アーチのようになっていた。毎日ここを通って家に帰れる人は、幸せだと思った。

瓦葺の民家の軒先に、かわいい赤い三輪車がひとつ。ところが、「早くしなさい」とお母さんらしき人の金切り声の後に、「うぇーん」という泣き声が聞こえてきて、思わず笑ってしまった。

駅前にある「パーラー」の「ラ」の字が抜けている喫茶店で、コーヒーを飲んでいたら、いい時間になった。駅に向かい、待ちかねた列車に乗った。シートに座って、安堵感がこみあげた。

その町がしだいに遠ざかる。列車は、山の中に入る。緑の木漏れ日が、私の顔にもかぶる。ガタンゴトンと、列車の振動に、身を任せ、目を閉じた。

まだ旅先に着いていないのに、何だかとても旅をした気分になっていた。


小豆島 お猿の国

2006-01-05 00:44:00 | 小さな旅・ニッポン編
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小豆島の銚子渓自然公園のおサルちゃん。ここのおサルちゃんは、ちょっと小ぶり。

放し飼いだから、身近に見れます。お母さんサルは、子供のお猿を、おなかに抱えて動き回る。

この小サルちゃんが、バナナを食べてるところ、キュートでしょ。

2002年春の旅 「カッチイの写真館」より移動




小豆島 二十四の瞳

2006-01-04 09:00:00 | 小さな旅・ニッポン編
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ここは、昭和62年、田中裕子さん(おしんの大人版を演じた女優、ジュリーの奥さん)主演で製作された「二十四の瞳」のオープンセットを保存した映画村。

昭和初期を模した日用雑貨のお店や、漁師の家々が並んでいる通り、青い海の広がる校庭と学校は、当時の雰囲気をよく残して、さながらミニテーマパークのよう。

白い帽子をかぶって紺のコートを着たヒトが、橋の近くにたたずんでいますが、Oh! My Father.



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壷井栄作「二十四の瞳」は、小豆島の岬の分校に赴任してきた若いおなご先生、大石先生と12人の小学生との交流を描いたものだが、足にケガをした大石先生に会いに子供たちが、遠い道を一生懸命歩く。ボンネットバスに乗っている先生を見つけて、涙の再会を果たすのだ。

前に来たときは、このボンネットバスに乗って案内してもらうツアーに参加した。ちょっとレトロで、乗りここちも良かった。

2002年春の旅 「カッチイの写真館」より移動




えべっさんオフ

2005-01-14 00:00:00 | 小さな旅・ニッポン編

このあいだの週末、(もう明日週末なのだが)京都に行った。カッチイの写真館で、写真をアップしたが、これは、トラベルライター関係のMLの面々が集まった小さなオフミーティングだった。つつましく4人が集まり、京都の恵比寿神社にお参りした。

「えびす神社」は、町の中に埋もれるようにあって、こじんまりしている。「商売繁盛で笹もってこい!」と大阪の神社なら、けたたましいくらい掛け声がかかるが、典雅な京都の神社はそんなことはない。飾りの笹も、品良く雅びなものだ。

せっかくだから、みんなで、おみくじをひいたのだが、カッチイは小吉だった。「運気容易に開けず、あせらばあせる程苦しみ多く、災添ふ時なりされども、諸事控目とし心正しく身を守り、えびすの神に信心怠りなくば、却って後は、大の幸福なり」

うーん、意味深ではないか!痛いところを突かれている気もする。震災直前に、ドイツから日本に帰ってきて10年目、本人としては、ちょっとターニングポイントを迎えていると思っているんだ。

そのあとは、日本最古の禅宗の本山寺院である「建仁寺」に移動。俵屋宗達の国宝「風神雷神図」を拝見。躍動感のある風神と雷神をひきたたせているのは、屏風の中央を占める黄金なのだとオフ参加のカメラマンに解説してもらう。なーるほど。

私たちが思わず声をあげたのが、法堂の天井に龍が舞う「双龍図」だった。創建800年を記念して小泉淳作画画伯が描かれたもので、2002年作だから、新しいものなのだが、100畳以上の規模で描かれた天井画は、迫力だった。最近、町歩きもロクにしてなかったから、こうして京都のお寺を見て回るのは、新鮮だった。

コーヒータイムのあと、先斗町の居酒屋さんで飲み会に流れたのだが、なんせ初対面、多少の硬さは否めない。興味の対象が、カメラ、アジア、南米、そしてドイツという面々が集まったのが、面白いところ。フリーのトラベルライターという生業が成立するか?などというシビアな話も話題になった。
飲むほどに、ほぐれたかなという感じ。カッチイは、こういう場所で、気楽に振舞ってしまうタチだ。

今年は、旅行に関わる仕事をしている人と交流を持ちたいな。人と知り合うのも、Webを通じてなんだね。旅行の分野は、ネットの世界と、非常になじみやすい性格を持っている。この媒体の可能性を今年も探ろう。